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GHOST  作者: 十月 十陽
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19/25

筆記者 西垣靖

 間違ったことをして生きていることを伝えたい。

 HERAは正しい殺人鬼なのかもしれない。HERAが殺人を犯すたびに、その被害者の身元を調べ上げた。そして全員が死んで当然のことをしているのだ。

 最初の、HERAと呼ばれる前の殺人の相手は、夫を毒殺した疑いのある女だった。

 二番目の殺人は、友人間での揉め事がきっかけで、誤って殺した男だった。

 三番目の事件は、汚職をしている警官、その妻と娘を殺していた。

 HERAは他にも七件の殺人をした。それらすべてを調べられたわけではないが、これだけでHERAは間違っていないのだと、十分に理解することができた。

 殺した理由が分からなければ、言語化できなければ、それらは忘れて許される。

 HERAという存在はそういった者たちを裁いたのだ。

 俺はHERAのような存在になりたい。いつまでもくすぶっていた気持ちはHERAが教えてくれた。俺がやりたい事は見逃された人を、見逃さず裁くことにある。それは誰にもわからないように、殺してきた殺人者たちと同じ行為なのだろう。

 間違っていることは分かっている。そのことを弁解する気もない。

 しかし、殺人者の中にも家族を持った者たちがいる。

 俺も鬼じゃない。そういった者にはチャンスを与える。人を殺してもなお隠れ、笑い、愛し合うような人間には平等な話し合いが必要だ。

 愛していた人が殺人をしていた、と知ってどうするのか。


 結果を書いておく。


 生徒をイジメ、自殺に追い込んだ教師。

彼女は同じ学校の男性教師と結婚していた。男性教師に彼女が生徒を殺した証拠を見せると、彼はイジメの証拠と一緒に彼女を警察署に連れて行った。


 部下を襲い、誤って殺してしまった上司。彼は自殺として処理した。

そのことを彼の両親に伝えると、責任感が強い父親は息子に見切りをつけ、母親もそれに協力した。事故として処理された。


 方法は人それぞれだが、信じていた人間がおぞましい生物だと知ったとき、正しい人間は間違った行動をする可能性があることを知った。

 間違っていることは、正しいこともあるのだ。

 最後に、気になっていることを書いておこう。誘拐した少年のことだ。彼は今、どこで何をしているのだろう。

 また彼に会う機会があったなら、説明をしなければ。


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