夢の名残
真夜中に目覚めて
そっと闇を探る
待っている 待っていると
何を待っているのかもわからずに
闇に目を凝らして
息を潜めて
張り詰めた糸のように
闇の中の気配を探る
ああ どうして
手にしていたはずのものが
見つからないのか
見つからないのか
それさえも
分からない 分からない
分からなくて掌に落ちる
涙の意味さえ曖昧で
夜の闇に途方に暮れて
探し続ける
言葉の意味が
ああ どうして
すり抜けて消えてしまうのを
じっと見つめる
じっと見つめる
それさえも
見えなくて 見えなくて
見えなくて涙あふれる
言葉の行方も曖昧で
夜の静寂に彷徨って
手繰り続ける
涙の理由を
どうか教えて
どうか教えて
この闇の中に何があるのか
あれは過去なのか
あれは未来なのか
あれは現在なのか
私はどこにいるのか
立ち竦むこの場所は何処
朝日に溶けて消える
この虚無と喪失と悲しみと
全ては頬に乾いた
夢の名残