最大の修羅場
とりあえず俺は花梨の家から離れたところにある公園で休むことにした。
しかし花梨があそこまでヤバい人だったなんて。
絶対lineで1分以内に返信しないと家の前に包丁持って立っているタイプの人やん。
身近にヤンヘラが二人もいるとかどんなエロゲーだよ。
そんなことを思いながら自分以外誰もいない公園のベンチで休んでいると人影が見えた。
「み〜ぃつっけた!」
!?
「もぉ〜勝手に逃げ出しちゃダメじゃない。」
ゲームオーバー。
そこには姉の蜜葉がいた。
「いや〜びっくりしたわよ。帰ってくると友里がいないんだもん。」
「ちょっと拘束が緩かったのかな?」
どうする。
とてもじゃないが逃げ切れる気がしない。
でもワンチャン.....
「おい、何逃げようとしてんだ?」
ですよねー。
「お前、何勝手に家から出てんだよ?
「さっさと答えろ。まぁ答えようによってはちょっときつめのお仕置きするかもしれないけどな。」
ヤバい。怖すぎておしっこちびりそう。
「だいたい下品で劣化生物の分際で私の命令破っていいと思ってんの?」
何この理不尽な女尊男卑。
「で?なんで逃げたんだよ?」
「いや、ちょっと怖くて.....」
「あ?はっきり聞こえないんですけど?」
マジでおしっこが出てきそう
もうこうなったらあの手しかない。
「お、お姉ちゃんちゅきー!」
「キャ。」
(蜜葉に全力で抱きつく)
恐る恐る目を開けると....
「もぉ!可愛いんだから!」
ちょろ。
「あれれ〜。なんで友里がこんなところにいるのかな〜?」
oh.....
「目が覚めたら友里がいなかったら探しにきたんだけど、こんなところで女とイチャイチャしてたとかどういうこと?」
ヤバい!あの目は完全にヤバい!
「え?誰この女!」
姉も正気に戻りやがった。
「あれ?よく見たら友里のお姉さんじゃありませんか。いつも友里と仲良くさせてもらってる花梨です。はじめまして。」
「はじめまして。さっそくで悪いんだけど花梨ちゃん、とっとこここから消えてもらえないかしら?」
いきなりぶっ込みすぎー。
「え?なんでですか?てか私友里と早く家に帰りたいんで、お姉さんこそ消えてもらえません?」
「は?何言ってるの貴女。この子を今から私が呪
いから救ってあげないといけないんだから、さっさと一人で家に帰ってちょうだい。」
「いやいや、お姉さんこそ何言ってるんですか。これから私と友里は私の部屋で愛を育み合うんですから、さっさと帰ってもらっていいですか。」
これがいわゆる修羅場ってやつか。
「花梨ちゃん。悪いことは言わないわ。私が冷静なうちに....さっさと消えろっつってんだよ!」
いやもう冷静じゃないですやん。
「は〜。もういいわ。友里、もうこんな発狂女はほっといてさっさとお家に帰りましょ。」
ちょっとこれどうしよう。
「おい、いい加減にしろよ。こいつを今から男という邪悪な呪いから救わなきゃいけないんだよ。だいたいお前とこいつが恋人関係になるとか私は許さないからな。」
「あの、そもそもお姉さんと友里って姉妹....じゃなくて姉弟ですよね?弟に執着するとか気持ち悪いですよ。」
あわわわわわわわわ
逃げ出したい。とてつもなく逃げ出したい。
でも、どうやってもこの2人がいるこの状況から逃れるわけがない。
いや、諦めるにはまだ早い。
よくゲームでやるステルスモードと同じ。
「おいどこ行くんだ。」
「あれれ〜友里ちゃんどこ行くのかな〜?」
はいステルス終了。
「なぁ!お前はどうすんだよ?」
「え?」
「だ〜が〜ら〜。友里は私たちのどっちについて行くの?って話。」
「......」
「まぁ元々お前に選択肢なんてないからね?男の癖に私に歯向かう気。(ギロ)」
これ断ったらマジで殺されるパターンだ。
「まさか友里がこんな発狂女を選ぶってことはないよね?(ニコッ)」
あの笑顔.....断ったら楽には死なせてくれなさそうだ。
ここは腹括るしかないな......。
「ごめん、姉さん。俺は花梨について行くよ。」
「は?」
「やった〜」
「おい、お前何言ってるかわかってる?」
姉が今にも殴りかかってきそうな目つきで睨んでくる。
「姉さん、俺は男だ。姉さんがどれほど頑張って何かをしようとしてもその事実は覆らないんだ。」
「.....」
「それに、養子だから本当の姉弟じゃないけどやっぱり側から見たらそんなもんだから、そんな関係でずっと一緒に暮らすってのも変な感じがするから....。」
「おお!よく言った友里!それでこそ私の愛しの愛しの男の娘!」
「じゃほら、さっさと私たちの愛の巣に行こ?じゃお姉さん、永遠にさようなら。」
花梨が俺の手を掴み、無理矢理公園から離れさせようとした。
その時
「待てやコラ。」
姉が敵意剥き出しの目をしながら言った。
てかさっきから口調がずっと男口調なんですけど。
「はい?まだ何か用ですか?」
「とりあえずここは引いてやる。けどお前らが幸せになるなんて絶対許さない。いつか必ずお前から友里を奪い返して、女の子に戻してもう私がいないと生きていけないくらいに調教してやるからな。覚悟しておけよ。」
さっきの怒鳴り声とは違い、冷静に低い声で言ってきたから余計に怖い。
「まぁ勝手に何とでも言っといてください。じゃ友里、帰ろうか?」
(花梨の部屋に入る。)
「じゃ今からご飯作ってあげるから大人しく待っといてね。」
「わかった。」
甘いね花梨ちゃん。
俺がそんな素直に言うこと聞くわけないだろ。
花梨が出て行ったらまたステルスゲームの始まりだ!
「あ、そうだ。前回の反省を踏まえて今回はベッドに拘束させてもらうよ。」
「へ?」
今度はステルスゲームを始めることすら許されないようだ。
てかこれ、振り出しに戻っただけじゃね?
しかも姉の拘束よりちょっとキツくなってるし。
多分今回は外に出てもすぐあの本気モードのヤンヘラお姉さんに捕まるし。
これってまさかどんどん難易度上がっていく感じ?
てかゴールとかあんの?
あれ?まさか俺.....
詰んだ?
(完)
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