プロローグ
【聖・アノマラス学園】
______そこは世界各国から集いし聖なる血統を残すべく立てられた四年制の学園。
その学園では高貴な血統を残すべきという考えのもと、とある奇妙な校則が存在した。
《必ず在学期間中は異性とペアを組み“パートナー“として生活すること》
そのパートナーの条件において、国籍、地位、国同士の敵味方は問わない。
この学園に通う生徒は皆平等であり、聖なる血筋が流れているのだ。
…なあんて、都合のいいことを言ってるものの、実態は存続が危ぶまれている王侯貴族達の厄介払い先というべきだろうか。そこに通う生徒たちは皆、どいつもこいつも一癖も二癖もある人間ばかりなのだ。
周囲と明らかに浮いている、または恋愛対象が普通ではない。そんな子息に危機感を抱いた親たちがどうにか婚約者を見つけさせるために送り込む最終手段、それがこの学園の役割だった。
しかしそんな入学早々パートナーを組めと言ったところで、初めのうちは何もわからないじゃないかって?大丈夫、反りが合わなければその契約を破棄することも可能だ。しかしそうしてパートナーがいなくなり“フリー”となった者は必ず三週間以内に次のパートナーを見つけなければならない。
そのまま卒業までに何人もの人間と『擬似お付き合い』をさせることで、ふさわしい婚約者を見つけるのだ。
……そううまくいくだろうか?
いや、これが案外収まるところに収まるというもので。変人は変人と惹かれ合うものなのだなと個々の卒業生はみんな幸せそうな顔で笑った。
凹凸は凹と凹だけでもその気になれば四角になる。むしろ四角が二つできてお得じゃんなんて無茶苦茶がまかり通るこの学園、そんな彼らが世を揺るがせたり揺るがせなかったりするなかなかに騒がしい日常は、いまここに始まったばかりである。