第二十九話 エレベーターでの事件
私が桜さんとの買い物を終えてマンションに帰ると、
「おう、碧も今帰りか?」
涼くんと一緒のタイミングみたいでした。
うぅ。さっきの会話思い出したら緊張します。
「はい。涼くんは今日は外出したのですか?」
「まあな。買いたいもんあったし」
涼くんはそう言いながら手に持っていた買い物袋を持ち上げて見せてくれました。
私と涼くんはそのままマンションに入り、エレベーターに乗りました。
「じゃあ今日はもうこのまま家に来るのか?」
「はい。今日の晩御飯に必要な食材はもう冷蔵庫に入れてありますから」
そんなたわいの無い会話。
そして私たちがエレベーターのボタンを押し、エレベーターが上昇を始めてすぐに止まってしまいました。
「ん?なんだ?」
最初に違和感に気づいたのは涼くん。
そのすぐ後にエレベーターが急停止してしまい、私たちは閉じ込められてしまいました。
「ど、どうしましょう」
「とりあえず落ち着け、碧」
ものすごく動揺している私に対し、今も尚冷静でいる涼くん。
やっぱり凄い。
「とりあえずここから出る方法を考えよう」
涼くんはそう言いましたが、
「あの、涼くんならエレベーターのドアも壊せませんか?」
それは至極真っ当な質問。
普通の人ならえ?って言いそうな質問ですが、あの驚異的な身体能力を持つ涼くんならば。
「いや、確かに破壊自体は可能だが脱出は無理だな」
だけど私の希望も涼くんのその言葉によって打ち砕かれました。
「えっと、どうしてでしょうか?」
「そうだな。まずこのエレベーターは上昇中に止まったわけだから今は一階と二階の中間ぐらいにある。だからたとえドアの破壊ができても人が通れるスペースはない」
そうでしたか。
「それに、万が一ドアを壊した衝撃でエレベーターが下に落ちることになったらここはまだ位置的に大丈夫だろうが、最悪軽傷でも足は二度と使い物にならなくなるな」
そんな危険性があったのですか。
エレベーター、これから一人で乗ること出来ますかね?
「そういえば、エレベーターって止まった時ように電池があって最悪その電池でもう一回ボタンを押せばまだ動くって聞いたことがあります!」
私がいつぞやの知識を披露しますと、涼くんは「そうだな」って言ってから一度適当なボタンを何度か押して見たものの動く気配はありませんでした。
「やっぱり。電話も繋がらないしこのエレベーターにもう電力は残ってないな」
私たちのたった一筋の希望は潰えました。
「とりあえず碧はスマホの充電あとどれくらいある?」
私はその言葉であっと思いました。
そうですよスマホがあるじゃないですか!!
そう思いながら私はスマホを出したものの
「充電が、ありません」
スマホの充電はつい先程0%になってました。
「涼くんのスマホは?」
最後の希望!とばかりに聞いてみますが、
「俺、そもそも今日スマホ持って出かけてなかったからな」
そもそも持ってきていませんでしたか。
私たち、これからどうしましょう。




