第二十三話 報酬は手料理とスマイル一つ
碧ストーカー事件が解決した次の日。
俺は自宅で療養していた。
「にしても銃弾くらってよくそんなにぴんぴんしてるよな」
「まあ、鍛え方が違うからな」
「いや、それ鍛え方の違いじゃねえだろ。絶対痛いし、体よりも精神の強さじゃねえのか?」
確かにそうかもしれない。
「まあ、結構痛かったからな」
「いや、結構じゃねえだろ。そこから違うんだよお前と一般人は」
確かにそうでなきゃ病院に行って半日くらいで自宅療養の許可がでるわけない。
「にしてもよく捕まえたな。あのヤクザ、ここ最近警察の間でも有名になってた連続殺人事件の犯人でもあるみたいだぞ?」
そう、ここが問題で、碧をストーカーしてたヤクザは実は連続殺人犯であり、そいつを仕留めたことによる報奨金も貰ってしまった。
ちなみに報奨金の一部は俺の治療費にされた。
「にしても藤原さんも動いてくれるなんてね」
そう。藤原さんが痴漢の冤罪を被せて豚箱行きになったあの小太りストーカーは当初の予定では俺とあのヤクザの戦いを見せて碧を諦めてもらう予定だったのだが、藤原さんが動いたのでこれから先あの小太りストーカーが碧の所に来ることは無くなった。
ちなみに玲二が相手していた小柄なストーカーは銃刀法違反で逮捕され、玲二はその犯人を足止めしていた事により警察から報奨金が出た。
「にしても騒がしいテスト最終日だったな」
「そうだな」
正直こんな風になるなんて思わなかった。
「テスト休みが明けたらまたゆっくり過ごしていくんだろうな」
そんな事を思っていると、
「さあ?それはどうなのかな?少なくとも俺はこれからもなんやかんや忙しくなると思うけどね」
玲二はそんな意味深な言葉を残して、俺の家から出ていった。
□■
玲二が帰ってからしばらく経った。
時間的にはそろそろ晩御飯の時間だ。肩怪我してなかったら普通に料理したんだろうけど、今はちょっと厳しいから外食するしかないかな。
そんなことを考えていると、家のチャイムが鳴った。
「はーい」
ピンポーンという音とともに俺は玄関のドアを開けると、そこに立っていたのは
「昨日ぶりですね涼くん。肩の怪我大丈夫ですか?」
「なんとかな。にしても今日はどうしたんだ?碧」
急な訪問に対して不思議に思ってると
「あの、夕飯はどうしましたか?」
「夕飯?これから外食しようと思ってたけど」
この怪我じゃ料理出来ないしな。
とか思ってると、
「よかったら家で食べませんか?」
ああ。昨日のお礼とかか?
「昨日のお礼とかだったら気にしなくてもいいぞ。俺が勝手にやったことだしな」
「昨日のお礼がすべてっていうわけではありません。それに勝手にやったって言われても私のせいでそんな怪我までして……」
俺はそこで碧の言葉を遮ってこう言った。
「いいか?碧。俺たちは友達なんだ。友達。わかるか?」
「はい。わかりますが」
「友達だから助けた。これでいいだろ?理由は。理由はなんであれ俺にとって碧が助かってよかったって思ってるからそれ以上の何かはいらねえよ。正直言って警察からの報奨金も返却したいくらいの気持ちだ」
俺がそう言うと、碧は不思議そうな目をしながら小さく微笑み、
「それは欲が無さすぎですよ」
そう言って笑った。
「それでは、私は怪我をしている友達を助けたくて手料理を振舞ったってことでどうでしょうか?」
なるほどそう来たか。でも、
「それなら断る理由はないな」
俺はそう言って家を出る。
碧は前を歩いていたが、ふと立ち止まって振り返り、
「涼くん、改めてお礼を。昨日は本当にありがとう」
そう言って碧は笑いかけてくれた。
あんなに警戒してあんなに準備もして、ナイフを持った大人を返り討ちにした後に全力で走り、ヤクザと喧嘩をして銃に撃たれ、絶叫したい程の痛みに耐えながら倒して得た彼女の安全。
その報酬は碧の手料理と笑顔のみ。
「まったく、割に合わねぇな」
俺はそう言った笑いながら碧の後について行った
はい、というわけで『また君に逢えたから』の序章が完結しました!!
そうです。序章です。
当初の予定では10話くらいで終わらせる予定だった序章ですが、なんの間違えか二十三話構成となりました。
自分も途中で「あれ?序章ってなんだっけ?」とか思いながらも必死に「これは序章。これは序章」とか考えながら書いてました。
まあどう考えても序章の終わり方じゃ無いですけどね(笑)
まあ序章と言ったとおり、このお話はまだまだ続きます。ていうか、これからの話しが本番です。
1章は序章の4倍くらいの量になるかもですが、お付き合いよろしくお願いします!




