第二十一話 声がした
お久しぶりです
今日からまた毎日更新頑張っていきたいと思います!
「ねえ、こんな所で何してるの?」
その人は身長190くらいの高さで、Theヤクザっていう感じの人だった。
「どちら様ですか?」
正直言って怖い。
怖いけど、きっと私が全力で走ってもすぐに追いつかれてしまうだろう。
それに、この人からはここ最近感じた視線と同じ視線を感じる。
でもここ最近感じた視線よりはほんの少しだけ弱いかも?
そう思いつつ、この場から離れようとしてみるも、
「ちょっと待ってくれねえか?お嬢ちゃんよ」
簡単にバレて捕まってしまった。
「離してください!」
「いいや、離さないよ?碧ちゃん」
なんで私の名前を?でも今はそんな事どうでもいい。
そう、問題はそこじゃない。
1番の問題はこの人の目。
この目は2年前に見たあの人と一緒の目。
人を殺した事のある人がする目だ。
「私を、どうするつもりですか?」
「さあ?どうすると思う?」
あの事件から私は人の視線などに敏感になって、更に殺気に関してはよりはやく気づけるようになったけど、この人からは殺気あまり感じない。
微かになる殺気も押し殺してあり、普通は気付かない。
そして、その殺気もその矛先は私じゃないみたい。
つまり、私を殺す気は無いということ。
それじゃあこの人の目的は何?
「いい目だ。まだ諦めてない、希望があるような目。それでこそ俺の女になるのに相応しい」
桜さんは今頃私が来るのが少し遅いと感じてるだろうか。
いや、私は本来この道を通る筈が無かったからもう少し遅く来ると思ってるはず。
つまり桜さんが私を心配して探しに来てくれる可能性は限りなく低い。
それにもし探しに来てもここに探しに来る可能性は低いから私が見つかることはまず無いだろう。
つまり、この状況は私一人で抜け出す必要がある。
「で、微塵も諦めてないお嬢ちゃんはどうやるんだ?」
今ならこの人も油断している。
チャンスは一度きり!
「すみません」
「あ?」
「そろそろ手、離してくれませんか?手汗が凄いですし、ちょっと痛くなってきています」
「そうか?悪ぃな気付かなくて」
この男は多分気付いてくけど、手を少しだけ緩くしてくれた。
これくらいの塩は送った。後はどうするって目で言ってくる。
「それではさようなら」
瞬間、私は体の力を少し工夫して回転し、男のてから逃れた。
「あ?」
一瞬惚けた顔になる男。
無理は無いだろう。こんな華奢な女の子が脱出するなんて夢にも思わなかっただろう。
だけど、体の力の入れ方をより正確に理解していればこの程度の芸当造作もない。
「チッ!してやられたな!」
そう言って踏み込んでくる男。
流石に速い。けれど覆い被さるように接近した男の胴体の中心目掛けて
「発勁」
発勁を放った。
3年ほど前から練習していた護身用の技。
私が調べたところによると中国拳法の一種みたいだけど、上手くいって良かった。
「ごはっ」
男は息を吐き出しながら膝をつく。
これで逃亡の時間は稼げたはず。
私はすぐさま逃げ出すが、
「やってくれたな碧ちゃん?」
またもや一瞬で接近され、私は呆気なく捕まった。
「やめてください!」
「いいや、やめねえよ。さっきの技にはちっとばかし驚いたが同じでは通じねえ。逃げるチャンスももうさっきので完全に無くなった。こっからは俺の時間だ」
男はそう言って私を壁に押し倒した。
私は抵抗しようとしてみるも、
『あんたなんて来なかったらよかった』
男の瞳を見た瞬間、過去の言葉を思い出した。
そうだ。そうだった。
私は幸せになったらいけない。
これは私への罰だから。この罰から逃れてはいけない。
ああ、なんで私は助かろうとしていたんだろう。
「なんだ?急に抵抗やめたな」
名前もわからない男に手を捕まれたこの状況。
きっと私は………
「おい、何やってんだお前。この子を離せ」
声がした。




