第十二話 藤原 桜
本日の授業も全て終わり放課後。
今日は碧と勉強の約束をしている訳でもないので俺はすぐに帰ろうと思っていた。
だけどそんな想像はすぐに打ち消されることとなった。
「ねえ、君が七瀬 涼太?」
そう言って話しかけてきたのは初めて見る人だった。
「えっとそうですけど」と応えると、その少女は「そうかそうか」と呟いてから自己紹介してきた。
「じゃあ初めまして。私の名前は藤原 桜。あなたも知ってる小鳥遊 碧の友人だよ」
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碧の友人だと名乗った少女藤原 桜に誘われて、俺は学校の近くにあるカフェに来ていた。
「で、俺に何の用ですか?」
「いやだなー。とくに何も無いよ。ただ君と話したかっただけ」
そう藤原さんは言っているが、用事がないっていうのは嘘だろう。
用事がないのならば初対面の俺とカフェに来るなんて普通に考えたらありえないからだ。
「碧について何か聞きたかったんじゃないか?」
勝負に出ることにした。
藤原さんは一瞬ビクッてしたけどすぐにこちらを見て
「流石にわかるか」
観念したかのようにそう言った。
「本当は自然な流れで碧について聞きたかったんだけどね。ほら、あの子って色々あれでしょ?」
あれっていうのは独特な天然性と鈍感さのことだろうか。
「まあ、そうだな」
「だからね、君と上手くいってることはわかってたけど、双方がどう思ってるのかっていうのは気になってたんだよ。あと、碧の友達として君がどういう人間なのか少し気になっただけ」
「碧にとって害しかないかそうではないかって感じか?」
手っ取り早く考えつくことを言うものの
「あ、それは違うかな?碧って鈍感だけど人を見る目はあるからさそんな子が悪人と仲良くするわけがないって思ってるよ」
悪人、ね。
「何をもって悪人と考えるかは人それぞれだが、友人さんに認めて貰えるなら光栄だよ」
「そう。ところで友人さんって何?」
「折角だから親しみをこめてそう呼んでみたけど」
「じゃあ普通に藤原さんでいいじゃん」
そう言って笑う藤原さんは碧程じゃないけどそこそこ可愛いと思う。
「ところでさ碧の勉強の進み具合はどうなの?今日は一緒にしないって聞いたけど」
「数学に関してはもう俺が教えることは無いな。基礎もちゃんとできて、下手に教えない方が碧のためにもなるな」
正直な解答をすると
「思ったよりちゃんと見てくれてるんだね」
「そりゃ勉強見て欲しいって頼まれたからな。頼られたからには全力で応えるぞ俺は」
「そうみたいだね」
そう言って藤原さんは会話を一旦中断してからこんな質問をしてきた。
「ところでさ、碧のどこが好きなの?」




