「異世界チート能力で領地経営しましょう」についてのあれこれ
野暮なネタバレの要素がございます。ご了承ください。
こんにちは。加藤良介でございます。
さて、今回は拙著「異世界チート能力で領地経営しましょう」のテーマとか裏設定について書きたいと思います。
よろしければお付き合い下さい。
・本作の目論見
さて、この作品を書きだした最大の目論見は「番宣」でした。
私が当時メインで書いていた「銀英伝もどき」の作品を宣伝するために始めたのです。
その為にジャンルを読者さんが多いであろう「異世界転生」モノにしました。
当初のブロットでは一話4000文字で35話から40話の構成でした。
本当に軽い気持ちで始めたんですよね。
今は何話目だっけ・・・( ̄д ̄)?
・テーマ
本作のメインテーマは「内政」でしたが、実は裏がありまして、裏テーマはお手軽異世界転生モノへのカウンターパンチです。
私はこの作品を書くにあたって、よーつべで商業化された「なろう作品」のレビューを沢山視聴して問題点を勉強しました。
それらについて出来るだけカウンターパンチを浴びせてやろうと思ったわけでございます。
この作品は一見「異世界海外青年協力隊」に見えるかもしれませんが、協力隊の方は自分の意思で行かれますが、本作の主人公の江莉香は強制連行です。ですので、いざとなったら帰国でき、現地の方に奉仕できる協力隊の方とは違い、江莉香は帰る場所を喪失しています。
江莉香は近代科学文明社会の日本人が、遅れた異世界文明に技術を教えてやっているという上から目線ではなく、自己の生存のために必死に活動することになります。
なろうの異世界転生モノの大半が、現代日本より劣った文明社会に行きます。
作者や読者が「ニホン、スゴーイ」って言いたい、言ってもらいたいという、悲しい願望が溢れていますね。
まぁ、21世紀に入ってからは、外国の人が言ってくれなくなったので、自分で言うしかないのは分かりますが、虚しい事には変わりありません。
その辺りの願望に対する答えは、この作品にも盛り込まれています。
日本より優れた文明社会に転生、転移しちゃうと、社会の最底辺に位置してしまうので、気持ちよくなれないもんね。( ̄▽ ̄)//
ストレス表現がNGのなろう界隈のマナーは守っています。
こんなことばかりやっているから、「精神ポルノ」なんて陰口をたたかれるわけです。
私自身はこの傾向をあほらしいと思っていますが、そこ辺りは空気を読んで麻薬量多めでいきましょう。
・主人公
第一話を書いたときはエリックだけを主人公にしようと思っていたのですが、異世界に転移してきた江莉香を書いてみると、とてもではありませんが、脇役で留まるような人物でないことに気づきました。
だからと言って、エリックを脇役にしてしまうと作品の中心軸がブレるので、ダブル主人公へ変更になりました。
これが、話が長くなる最初の要因でしたね。
視点が倍になるのですから、当然お話も倍になる。私はこんな簡単な事も理解していませんでした。
しかし、良い面もあります。
エリックから見た日本人という変な生き物と、江莉香から見た不思議な異世界の両方を、無理なく描けるようになったのです。
怪我の功名。
ここから、怪我の功名が多発いたします。
初期プロットから転移してくるのは女子大生と決めていましたので、相方のエリックとは対極的なキャラにすることにしました。
エリックが保守的なら江莉香はリベラル。
エリックが悲観的なら江莉香は楽観的。
エリックが一所懸命なら江莉香はトライ&エラー
出来る限り対極的な設定を盛り込んで、この両者の調和で物語は進展していきます。
エリックが保守で江莉香がリベラルと言いましたが、もう少し捕捉するなら、エリックはリベラルに理解ある保守で、江莉香は自覚のないリベラルです。
ですので、江莉香は自身がリベラルであるとか保守であるとか、そんな難しい事は考えていません。心の赴くままに行動しています。
一方で、エリックは身分制度や代官、軍人としての役目によって縛られています。
こうなると、どちらの人物が書きやすいかは、分かりますよね。
圧倒的に江莉香のパートが書きやすいのです。
特に内面描写はサクサ書けます。だって自由なんだもん。
社会のしがらみから離れて自由に振舞う。これこそが異世界転生モノの醍醐味の一つと言えるでしょう。
違う世界まで来て、周りに忖度してたら「国に帰れ」って感じですものね。
お蔭で作者という神である私の掌から飛び出して、好き勝手に振舞うこともしばしば。
これで、またお話が長くなりましたね。
好き勝手にとは言いましたが、江莉香さんは21世紀を生きる生粋の日本人です。
違う世界に行ったからと言って、日本人を辞めたわけではありません。
彼女は日本人の常識を持って行動します。
即ち、民主主義、順法精神、四民平等、男女同権、戦争放棄、市場経済、基本的人権の尊重、環境保全、などなどのリテラシーを自然と身に着けています。
ですので、初めからエリックと対等に話をします。セシリアやコルネリアといった身分が高い人とも同格に接します。江莉香にとって将軍は会社の社長さん程度の人です。フリードリヒは二代目社長ぐらいにしか、考えていません。
教会の聖職者だからと言って崇めたりしませんし、商人だからって低く見たりもしません。
身分社会と言うものの知識は、大河ドラマや時代劇で見た程度です。
当たり前ですが、気に入らない人がいるからって、いきなりぶん殴ったりもしません。
それに対してエリックは将軍を主君と仰ぎ、一門として滅私奉公することが美徳と考えます。
セシリアは手の届かない高根の花になってしまった幼馴染です。
彼はこの狭間で葛藤しますが、江莉香か見ると「なに、うじうじ悩んでいるのよ。さっさと凸って、攫ってこい」って感じに映るのですね。
これは、エリックからしてみればとんでもない暴言ですよね。
しかしながら、暴言だからこそ突破力があると思います。
既存の概念を突破するのは、いつも暴力的ですからね。
・リテラシー
先ほど、いくつかのリテラシーを上げましたが、多くの異世界転生作品が、ここ辺りをすっ飛ばしますよね。
いきなり人を殺したり、女奴隷を買ったり、山を吹き飛ばしたりいたします。
んな奴リアルおるか。(。´・ω・)?
どんだけゲーム脳なのでしょうか。
異世界まで行ってやりたいことが破壊と性欲を満たすことなの。
しょうもな。( ̄д ̄)//
他にも楽しいことがあるじゃろがい。
戦後、日本は青少年の教育を失敗したと言われても反論できねぇ。
異世界に行った途端に日本人辞める奴を、私は日本人だとは思いませんね。
それとも、日本人であることに耐えられないから異世界に行くのかしら?
これなら納得。
異世界転生とか転移とか言うから問題なのであって、亡命とか移民とか言えばそれほど、違和感はありませんよね。
そのまま異世界から帰ってこなくていいぞ。その世界で幸せに暮らせよ。良く考えたら帰って来る奴なんて圧倒的少数派だったは。
異世界転生はヤバイ日本人を社会から排除するための棄民政策だった。悲しい・・・
話がそれました。
ともかく、人を殺したり、奴隷を買ったり、異性を大量に侍らかすだったりは、それ相応の理由が必要です。
ここ辺りをうまく処理する作品は良い作品ですよね。
「盾の勇者の成り上がり」で狸の女の子を買うくだりには説得力がありました。
彼は、盾により攻撃が出来なくなり、代りに攻撃してくれる人材を必要としていました。だから奴隷を買った。生き残るためですよね。
あれならいいんですよ。
今作の江莉香さんも奴隷を使います。
それは、エリックが買ってきたからです。
自分で買ったわけではありません。←ここ大事。
エリックは奴隷の売買には何の抵抗もありません。
今まで持っていなかったのは、高くて買えなかっただけです。
クロードウイグを買ったのも、単純に使えそうだったからです。
本当は、クロードウイグだけで終わるつもりでしたが、この世界 (作者の脳内)に突然、彼の子供たちが現れてしまったのです。
私にとって大誤算。
だって、思いついちゃったんだもん。
そんなもん自分の裁量で不採用にすればいいんですけど、私はこの手のインスピレーションには逆らわない質です。
このような思い付きを入れていくことにより、世界が重層的になると考えるからです。
エリックは最終的に、クロードウイグを親子で買いましたが、あれは彼の意思ではありません。
神である私の意思です。
私が彼のゴーストに「親子で買え」と囁いたのです。
勝手にゴースト侵入してごめんね。エリック。
でも、クロードウイグ親子が可哀そうじゃん。ただでさえ奴隷にされ檻に入られ鎖に繋がれているというのに、更に親子が永遠の別れを告げさせるだなんて。
私が耐えられんわ。そんなもん書きたくて小説を書いているわけではありません。
抵抗なく人を奴隷として買える神経が分からん。
まぁ、江莉香さんが私の代りにブチ切れてくれましたけどね。
よくやった。江莉香。それでこそ現代日本人。だめな異世界転生物への見事なカウンターパンチだ。
江莉香もエリックが買ってきた奴隷が親子だったため、彼らの人権を尊重するために奴隷として使わなくてはいけない羽目になりました。
江莉香の中で人道がゲシュタルト崩壊していましたね。
これが、違う世界で暮らすという事ですよ。
この話で、江莉香の態度がおかしいというご感想を頂いたのですが、どこがおかしいのかが私にはわかりません。私の家族がある日、人間を奴隷として買ってきたと言ったら、ぶん殴るけどな。(; ・`д・´)//
どこあたりがおかしいのか、ご高説を賜りたいものです。割とマジで。
なろう主人公は簡単に人や生き物を殺しますが、うちの江莉香はそんな真似はできません。
人は殺さなくてもモンスターを殺す連中は沢山いますが、これだっておかしい。普通の日本人なら犬猫を殺すことだって躊躇うでしょうに。
なろう主人公は簡単に命を奪いますよね。正当防衛だったとしても命を奪う事に抵抗があるのが、現代日本人です。
何考えているんだろ。(。´・ω・)?
もしかしたら室町時代の日本人なのかもしれませんね。
それなら納得。
軍団兵であるエリックは人を殺す覚悟が出来ています。
百人長だった父の事を、心の底から尊敬しています。
家族や故郷、王国を守るために進んで血を流すでしょう。それを悪いことだとは微塵も考えません。
それこそが、自分の責務と考えています。
ですので街中で剣を抜いて斬り合う無頼漢を容赦なく叩き伏せます。
無頼漢たちの骨が折れましたが、当然の報いだと考えます。
これは、この世界で成長したエリックだからいいのであって、斬り合いを見た事がない日本人が、いきなりこれをやったら相当やばい奴です。
でも、やりますよね。異世界に転生したなろう主人公は。
普段からそんなことしてたのかな。(。´・ω・)?
それとも、心の底でそんなことを願っているのかしら。
やっぱり帰ってこなくでいいぞ。
異世界の皆さん日本の不良債権を押し付けてごめんなさい。
一人の日本人として心からの謝罪を。
・エリックと江莉香の関係
完全に対等な関係です。
エリックは中世ナーロッパの男尊女卑の社会で暮らしています。
本来であれば女である江莉香は格下の存在なのですが、江莉香が高価な衣類を身に着け、栄養の行き届いた体格をしていたので貴族の子女だと考えました。さらに教会の関係者しか話せない神聖語を操るので、教会の関係者かとも思ったのです。
この世界の教会は大きな力を持っています。エリックは江莉香の背後に大きな政治権力を見たのです。
これでは身寄りのない異邦人であっても粗略には扱えません。
基本的に心優しい青年ですので、困っている女一人助けられないでどうする、という思いもありましたが。
その後、彼女の能力に感心し格下扱いを完全に止めます。
一方、江莉香から見るとエリックは命の恩人です。
しかも、生活の面倒も見てくれました。感謝しかありません。
彼を助けるのは江莉香が自分に課した唯一の義務なのです。何があってもエリックに味方しようとするでしょう。ただし、彼女流のやり方にはなりますが。
江莉香は現代の日本人らしくパブリックとプライベートを完全に分けて考えます。
対外的にはエリックを自分の上司として扱い、彼を立てますが、プライベートでは対等な友人です。
では、年若い男女に友情が発生するのでしょうか。
現段階では可能だと考えました。
エリックはセシリアしか見ていません。
手の届かない場所にいるセシリアを何とかものにしようとあがいているので、江莉香に対してスケベ心が動かないのです。ですので、エリックは英雄ではありません。英雄と呼ばれる存在であれば、それはそれ、これはこれと、分けて考えられるでしょうが、エリックの頭をそんな風に回らないのです。これが、セシリアをモノにした後は変化するでしょうが、現状、エリックはセシリア一筋です。
そんな、エリックを見ているので江莉香も彼に関して恋愛感情を持ちにくいのです。
なにより、仕事が楽しい。( ̄▽ ̄)//
恋より仕事。これが江莉香の今の心情です。
これらは、変化するかもしれませんが、当分先のお話でしょうね。
・セシリア
ファンタジー世界、お約束のお嬢様枠。
江莉香が主人公になったので、メインヒロインに昇格しました。
ある意味で、この物語の中心にいる人です。
当初の設定は使用人の娘でしたが、より深刻な奴隷の娘になりました。
魔法の力である日、突然お嬢様になりました。
魔法の解けないシンデレラですね。
そして、その大きな力に苦しんでいる人でもあります。
エリックとセシリアの二人が、お互いの事を明確に意識したのは、セシリアが将軍の娘として正式に向かい入れられた時です。
この瞬間に二人はロミオとジュリエットになってしまいました。
手に届かないからこそ、恋焦がれるという、基本中の基本な恋人たちです。
逆にこのイベントが無かったら、仲の良い幼馴染で終わったかもしれません。
造形も、お嬢様キャラの基本を押さえ、白人、金髪、低身長。動くお人形のような外見です。
なろう批判では、ヒロインが動く人形扱いされるとの指摘が多かったので、私の作品では見た目お人形、中身は人間で構成することにいたしました。
彼女はエリックを待っているだけのお姫様ではありません。
この人は幼いころに苦労しているので、結構タフと言いますかドライな性格だと思います。
エリックが努力している間は待ってくれますが、エリックが諦めたら一滴の涙と共に切り替えて自分の人生を歩むでしょう。
もしくは、自分の力でエリックをモノにするかもしれません。
見た目とは違い、肉食系女子の要素も持っています。
どちらかというと江莉香の方が、お姫様症候群を患っている可能性もあり。
・コルネリア
魔法使い兼女騎士の立ち位置の人です。
この人は最初の設定から大幅な変更が加えられました。
最初のプランでは長命なエルフの魔法使いだったのです。
しかも、師匠が日本人。
江莉香が師匠と同じ日本人だったので彼女に興味を持ち、江莉香の師匠になる予定でしたが、途中で人格が二人に分裂いたしました。
エルフのコルネリアと人間のコルネリアに。
エルフの方はひょうきんな性格だったのですが、人間の方はくそ真面目な魔法使いになりましたね。
この人は、王都エンデュミオンの南に位置する貧しい農家出身です。
コルネリアの下には七人の兄弟がいます。
幼いころに魔法使いの才能に目覚め、厳しい修行を重ねて王家直属の騎士団員にまで上り詰めた苦労人です。
自分に発露した魔法の能力を天からの授かりものとし、魔法の研鑽に余念がありません。特に魔道具の研究がテーマになっています。
生まれがお姉ちゃんなので、ぶっきらぼうに見えても世話好きな人です。
本人に自覚はありませんが、江莉香を妹のように扱っています。
彼女はガーター騎士団の騎士として王家から俸禄。センプローズ一門からは付け届けを貰っている立場ですが、収入のほとんどを研究と家族への仕送りに使っています。
自分のためにはほとんどお金を使いません。
立場上、縁談が数多く舞い込んでいますが、すべて無視しています。
男にあまり興味が無い人です。
・魔法
異世界と言えば、人知を超越した力が必須ですよね。
私はお約束として江莉香に魔法と言う、絶大な力を与えましたが、彼女にとって魔法は武器ではありません。便利な能力どまりです。本人も宴会芸と言っています。
決して、人やモンスターを虐殺したり、山や大地を吹き飛ばすものではありません。
魔法使いという立場も、医師免許や弁護士資格のような何かの資格程度にしか考えていません。だから魔法使いだからと言って、別に偉そうにしないのです。
逆に崇められると虫唾が走るタイプです。(;゜Д゜)//
教会で村人に拝まれたときは謙遜しているのではなく、本気で嫌がっています。
高い地位を手に入れた主人公のドヤりが見たい方の期待には答えられそうにありませんね。
まぁ、別の所で充分ドヤるのでそちらで勘弁してください。
異世界に転生した連中の多くが、拝まれていい気になっている理由が分かりませんね。
江莉香は褒められると伸びる子ですが、拝まれると逃げる子です。
身もふたもない事を言いますと、この作品では魔法にはたいした設定がついていません。
なぜ、江莉香の使う魔法が、風と光の二種類なのかには、意味を持たせていますが、その程度です。
本質的には計測不能の不思議な力なので、設定もくそもありません。
江莉香はそれを科学的な知識で理解しようとしますが、無駄なことです。
魔法は魔法、科学は科学、決して相容れません。
魔法は階級社会で動きやすくするための名刺代わりですね。
・知識
この作品の根幹をなす要素です。
領地経営に関する専門知識は魔導士の書に頼りますが、実際の運用は江莉香のインテリジェンスにかかっています。
江莉香の最大の武器は魔力ではなく、彼女が日本で培ったインテリジェンスなのです。
ですから、本来は魔法もスキルもスマホも必要ありません。
神である私は、本編の最初に江莉香からスマホを没収しました。彼女がこの世界で活躍するのに必要ないからです。
繰り返しますが、インテリジェンスこそが最大の武器なのです。
そして、これは彼女の特殊な能力ではありません。子供の頃から義務教育を受けた日本人なら誰もが持っている物です。
特殊な才能に目覚めなくても、異世界に現代日本人が迷い込めば、自然と異能者だと思うからです。
自信を持て日本人。
だって、読み書きそろばん出来るでしょう。リンゴが地面に落下する理由も知ってるじゃん。金属の塊が空を飛んでも驚かないだろ。
ある日、ニースの上空に空飛ぶ物体が現れたら、エリックも含めて村中大騒ぎになるけど、江莉香は「飛行機かな、飛行船かな、UFOかな」って反応でしょうよ。
この、反応だけでも異常な人物になり得ます。
どんな世界に行っても標準的な日本人と言うだけで、充分スペシャルですよ。
( ̄▽ ̄)//(適応できるとは言っていない)
・ハーレム要素
なろうでは主人公がハーレムを形成することがありますので、私もその作法に則ってエリックの周りを女で固めてみました。
江莉香、セシリア、コルネリア。みんな若くて美人さんばかりです。
よかったね。エリック。
一人は異国の貴族の子女と思われる黒髪美人の知識人。
性格は強引かつ破天荒。神聖語を操り、魔導士の書から数々の知識を引き出し、領地経営を強力に牽引すると、一年もたたずに村の収入を十倍以上にしてしまう女。
一人は主君の娘。
幼馴染と言えども今では遠く手の届かない高根の花。
愛しているだけではどうしようもない現実が二人の前に横たわる。
一人は年上で王家直属の精鋭。ガーター騎士団の騎士。
辛辣な物言いと優秀な頭脳に圧倒的な強者感。実は脱いだら凄いお姉ちゃん。
そして、全員が社会的地位が高い魔法使いです。
さあ。全員を嫁に出来るものならやってみるがいい。
そんな甲斐性があれば、騎士はおろか大貴族も夢ではないぞ。
頑張れエリック。
中身の無いお人形なら三人でも四人でもストレスフリーで嫁に出来るしょうが、この三人相手に果たしてそれが出来るかな。
大丈夫。大丈夫。他の作品なら、ここに圧倒的年上のエルフとか、女体化したドラゴンとか、拝んだことも無い王女様とか入ってくるから、それに比べたら可愛いものでしょうが。(;´∀`)//
・魔法と江莉香
他作品と違い、うちの江莉香さんは魔法を有難がりません。
台詞にすると「凄い凄い、映画みたい。こんなの初めて見た。どうなってんの」です。
パンダを初めてみた小学生と変わらない反応です。
凄いとは思ってはいますが、エリックなどのこの世界の人々とは魔法に関しての根本的印象が違います。
エリックが魔法を凄いと思っているのは、それが、ごく少数の選ばれた人物のみに与えられた奇跡の力であり、その力が人知越えているからです。
これは、魔法使いであるセシリアでさえそう考えています。
では、なぜ、江莉香は魔法を特別視しないのでしょう。
本文でも書きましたが、それが代替可能な技だからです。
そして、魔法も自分が理解できないだけで、何かしらの法則によって作用していると考えます。
生まれた時から科学文明にどっぷりとつかっているので、不思議な現象を必要以上に恐れたり致しません。不思議だなぁと思うだけで、何かしらの理屈が裏にあると考えます。
二人の認識の違いを、もう一歩踏み込んで考えると、エリックは魔法を起こせるという奇跡の力そのものに畏怖を感じていますが、江莉香は魔法が起こす効果に注目しています。
目線が違うという訳です。
エリックは魔法が使える=盲目的に凄い、ですが、江莉香は魔法が及ばす力=代替可能な技と考えます。
光の魔法を例にして考えると、江莉香にしてみれば「懐中電灯でいいじゃん」という結論になります。
懐中電灯なら電池を入れてスイッチをONにすれば、子供にだって扱えます。
一方で光の魔法は、精神を集中させ腕輪に力を流し込み発動。効果時間は長くて一分。しかも、めっちゃ疲れます。
江莉香にしてみれば、利便性、操作性、実用性にいずれにおいても懐中電灯の圧勝です。
ですので、人知を超える凄い技だけど、懐中電灯にも及ばない。
所詮は宴会芸なのです。
種も仕掛けも無い手品と言ったところです。盛り上がるけど、それだけという感覚です。
江莉香が魔法を有難がるには、空を飛べるレベルの魔法でないと駄目でしょうね。
彼女はとても合理的精神の持ち主です。
過程よりも結果を重視するので、魔法を過度に有り難がったり致しません。
エリックは懐中電灯を知らないので、江莉香の魔法が代替品であるとは考えないのです。
この両者の感覚の違いを、今後も描いていけたらなぁと考えております。
・執着がセオリーを阻む。
今更言うのもなんですが、この作品の基本構成はおかしいです。
なろうを読みなれた読者の方でしたら、この作品の歪さにお気づきになられた思われます。
なろうのセオリーから言えば、異世界にやって来るのは男の主人公で、現地のキャワイイ女の子を手助けして領地開発をしていくべきです。
実際にその様な作品が大半を占めるでしょう。
そうすれば、男性読者の取り込みが簡単でしたし、現地のヒロインに「すっごーい。たのしー。こんなのはじめて」と言わせておけばすべて丸く収まり、人気も今より出たはずです。
何故しなかったのか。
答えは割と個人的な理由でした。
キャラを考えるのが面倒くさかったからです。
当初、この作品の主人公はエリック一人の予定だったことはすでに述べましたが、実は彼、この作品用に作られたキャラではありません。
私が10年以上前に思い付いた、お話の主人公です。
そしてその相手がセシリアだったのです。この作品は私の脳内だけで展開されておりまして、形になっていなかったのですが、領地経営を思いついたときに、彼らを主役とヒロインにスライドさせたのです。
つまり完全にやっつけ仕事だったわけです。
だって、こんなに長くかかるとは思わなかったんだもん。
そして、本来であれば主役のはずの転移者のみが、新規作成のキャラとなってしまいました。
エリックが主役と決まっていたので、転移者を男にすると上手くお話が転がって行かないので、女になりました。
だって、これは知識で領地経営していくお話ですよ。
頭のいい男が、そうでない男に経営指南する話なんて読みたいですか。
私は全く読みたくありません。
喧嘩になって終わりの未来しか見えん。
それに、男二人のバディ物って私の趣味じゃないんですよね。話がなんにも思いつかん。興味も無い。
陰と陽。男と女あってこそ世界は回ります。
つまり、エリックあっての江莉香であり、江莉香あってのエリックなのです。
しかし、普通の作品であれば、エリックが主役であるなら江莉香がヒロインになるはずだったんですが、既にエリックにはセシリアというヒロインがいます。
だから、ダブル主人公態勢という歪な設計になってしまったのです。
すべては、私の手抜きから始まったのです。
セオリー通り、転移者を男にして、現地の領主を女にしてキッキャウフフしておけば、今よりもたくさんの評価が貰えたでしょうね。
残念・・・かと言えばそうでもありません。
・生命力の塊の江莉香
別に強がって言っているわけではありません。
転移者を男にしたとして、今作の江莉香さんに勝るキャラが思いついたかと言えば、完全にNoですね。
本当にこの江莉香という人物は面白い。
元ネタらしきキャラはいますが、現状、元ネタの要素は数%しか残っていません。
ほぼ、私のオリジナルキャラになりました。
こんな個性的な人物を造形できた自分を褒めてあげたいです。
まぁ、異世界で生きていくためにはこれぐらいの強さが必要って事ですね。
引きこもりの陰キャは日本だから生存が許されているのですよ。
異世界に飛ばされたら三日で死亡です。
ああ、それが分かっているから、みんなチート能力を持っているのか。
そして、それまで蓄積させていた鬱屈した感情を爆発させて、しょうもないことしてドヤっているんですなぁ。
ちっちぇー人間ですな。
何かの拍子に日本に戻されてチートスキルを取り上げられたら、きっと元の陰キャに戻るのでしょう。そして、ドヤれていた世界を懐かしむのでしょうね。
ハハッ。
どうしてこれが、スタンダードになるほどの人気を得ているのでしょう。こんな奴に感情移入できるのでしょうか。なろうは本当に不思議です。
江莉香は日本に居ようが、アメリカに行こうが、異世界に飛ばされようが、何処に行っても江莉香さんですけどね。
生き物としての強さが違う。
これは、江莉香が女性であることも強く影響しているでしょう。
おしまい
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
こんなもんは本編が終わってから、やるものでしょうが、この作品に対しての今の考えを書いてみたくなったのです。
あくまでも、今の考えです。ですので今後、展開によっては掌をクルクルする可能性もありますが、お許しを。m(_ _)m
このエッセイは、チョイチョイ加筆していきます。流石にさらに解説エッセイを上げるのはどうかと思いますので。




