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ファッションヤンキーちゃんのVRMMO記  作者:


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ファッションヤンキー、洞窟を進む

 こんな時でなければ使わなくて忘れそうだった不動噛行のスキル、それは打斬一身!打撃か斬撃か、どちらか有効な方で攻撃することのできる結構便利なスキル。これまでずっと打撃方面だったのは、打でも斬でも同等のダメージの出る敵しかいなかったんでしょう。その場合、私の意識した方の攻撃が出るみたいなんだけど、木刀=打撃と思い込んでるからそちらが出ちゃうんだろう。

 さて、ようやく斬る側の出番が来たということだけど……本当に斬れるの?ちょっと半信半疑だけど、テキストが嘘をつくなんて考えづらいし……とりあえず縦に一閃――


「うおおっ?」


 豆腐を切るかのようになんの抵抗もなく、スパっと斬れちゃった。へー、木刀なのに斬れるってのはなんか面白いね。その道の達人になった気分だよ。

 切り裂かれた蜘蛛の巣はだらんと垂れ下がり、洞窟の入り口を阻むことは出来なくなった。それにしても、この蜘蛛の巣を斬ることのできない人ってそもそも洞窟に入れないのでは……?いや、燃やしたり凍らせて砕くってこともアリか。まぁいいや、進もう。


「犀繰、走れるか?」

『問題ない。』


 私の愛馬は優秀です。バイクだけど。ロボットだけど。幅的にも高さ的にも問題ないので犀繰の言葉を信じて洞窟の中をドライブじゃーい!――あ、待って犀繰。ライト点く?そう、じゃあ点けといて。



「おっ、キノコが生えとるのぉ。食えるんか?……毒か。」

『姉貴、俺なら毒を無効にしてエネルギーにできる。』

「優秀か。まぁでもとりあえず持って帰るか。なんかに使えるかもしれんけぇのぉ。」


 はい、入って数分で犀繰から降りました。しかしこれにはちゃんとした理由があるのだ。まずアイテムを見つけるたびに一々降りて拾って乗って移動しての一連の動作が面倒になっちゃったんだよ。所々落ちてるのが見たことの無いアイテムばかりだからなおのことだ。無視できない。

 あと、当たり前だけどプレイヤーもいるんだよね。PK相手ならまだしも何もしてないプレイヤーを万が一轢いてしまえば事だ。流石のヤンキーも嬉々としてパンピーを轢くわけじゃないと思うし。

 そんな訳で降車して犀繰には変形してもらっている。モンスターが出れば助太刀程度に。アイテムがあれば一緒に拾ってもらっている。犀繰1体に戦闘任せは……させられないね。そんなのヤンキーじゃないし。


「深いのぉこの洞窟。さっきから下っている気がするんじゃけど気のせいか?」

『気のせいではない。確実に降りて行っている。』


 はぁ、さいですか。うーむ、この洞窟って結構入り組んでいるんだよねぇ。道中分かれ道とか結構あって分かれ道を進むたびに他のプレイヤーとすれ違う確率が低くなっている気がする。今だって、この道を選んでから人っ子一人出会っていない。モンスターとは出会うんだけどなぁ。存在強調おそるべし。


『姉貴、ファンキースパイダーだ。』

「おうらよっ!」


 これで何体か目のファンキースパイダーを叩き潰す。にしてもこいつら、どこがファンキーなんだ?その色とりどりな縞々ボディーか?どいつもこいつも微妙に色彩が違っておしゃれですねって?うふふ、プチっと。

 もしかして、今回の依頼である大蜘蛛ってこいつらの親だったりするのだろうか。蜘蛛って大量に子供産むらしいし。

 勿論、蜘蛛以外のモンスターも現れる。さっきも轢いたパープルスライムだったり色違いのウォータースライム。石が背中にくっついたような棘を生やしたトカゲ、ストーンゲッコー……んん?待って?トカゲってリザードじゃなかった?え?じゃあこいつ何?……なんだこいつ、後でヤフろう。



「さむっ」

『気温が低下しているな。』


 進むにつれて涼しくなるなーとは思ってたけど寒い域まで達してきましたよ。息なんてほら、白いよ。……長袖長ズボンで助かったわー、半袖半ズボンのヤンチャ少年スタイルだったら凍えていたよ。

 はーさむさむっカイロ代わりのアイテムは……無いか。そうだ!犀繰は――冷たっ!


『姉貴、ゴーレムは熱を発しない。』

「そ、そうなんかぁ……そうじゃのぉエンジンとかも無いもんのぉ……」


 うーん、体思いっきり動かしたら温かくなるんかなぁ?ったく寒くなるなら教えてくれてもよかったのに、冒険者ギルドめぇ。……ん?何か聞こえる?こう、大量の水が流れ落ちる様な……と、どったんばったんと騒がしい音が。何で両立して聞こえてんのよ。


「何か奥におるんか?」

『件の大蜘蛛だろうか。』


 そうであればいいんだけど。寒いし走って音のする方向へ進んでみよう。そうすれば音の正体までたどり着くはず。おおっと、躓きかけた。気を付けねば。

 聞こえていた2つの音が段々と大きくなり――開けた空間にたどり着いた。そして私の目に飛び込んできたものは……


 大型トラック程の大きな蜘蛛とその大蜘蛛の口から放たれた糸に隙間もなくぐるぐる巻きにされた……何あれ凄い太くて長くてにょろにょろしてて……ウナギ?

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― 新着の感想 ―
[一言] ちょっとシュール
[一言] 不動噛行のスキルをすっかり忘れてた人です いつも打撃だから斬撃に切り替えとか全然使わんもんなぁ
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