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ファッションヤンキーちゃんのVRMMO記  作者:


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ファッションヤンキー、見た目で難癖

 リヒカルドにとりあえず許可を出したはいいけれども。だからって正義の人の声が収まるわけじゃないんだよなぁ。いい加減うんざりなんですけど?ついため息が漏れてしまうのも仕方ないよね。

 一瞬、実力行使でもしてこの場を切り抜けようかと思ったけどそんな事をしてしまえば、正義の人の言っていることを体現することになってしまう。ヤンキーRPをしたいだけであり決して悪評が欲しいわけではない私としてはそれは避けたい。

 助けを求めるように周りを見渡してみるけど、露骨に目線逸らされるんだけど……?しいて言うならリヒカルドぐらいか?ところでピンキーちゃんは何処へ?


「人の話を聞けっ!」

「散々聞いたじゃろうが。その上で俺は何もしとらんって言っとるんじゃけど。」

「嘘をつくな!お前のような不良を体現したような男が何もしてないわけないだろう!」


 何という偏見でしょう。不良を体現したって言うのは間違いないんだけれどもそれと悪事をイコールで結び付けないでほしい。私言ってしまえばただのヤンキーコスプレイヤーだよ?ちょっと自分で言って悲しくなる奴だよ?中身普通の女子高生だよ?

 動画見せれば……加工したーだの何だのと難癖付けられるかな?


「面倒くさいのぉ。何したら満足なら。」

「被害者に直接謝罪しろ!そして二度とこのゲームにログインするな!」

「君にその権限は無いよ。そして彼女がそんなことする必要もない。」


 ん?私の声とも、正義の人の声とも違う第三の声が聞こえた。それも周りのギャラリーではなく上から?

 その場にいる全員の視線が私と正義の人の中間あたりの上に向いた。そして、その先に声の主はいた。というか一度会ってるなぁ。

 

「やぁ、初めまして、一部の人は久しぶり。ビルドが一柱、ノコさ。とある通報を聞きつけてね、やってきたという訳さ。」


 そういや事情聴取の時、ノコはプレイヤー間の軽度のトラブルを解決する担当って言ってたなぁ。にしても今回は運営メールから別室に招待とかじゃなくてノコ自身が来たんだね。しかしその登場はどこか神々しいね……

 そして、通報で来たというノコの口ぶりで自分に味方する存在がやってきたと思ったんだろう、正義の人の表情に喜色が浮かんだ。


「通報……!?そうか、僕以外の誰かが通報してくれたのか!」

「あぁ、そうだね。友人に難癖付けて拘束しているプレイヤーがいるという通報がね。」

「え?」

 

 あ、表情凍り付いた。んでもってその通報内容……チラッ。あぁ、リヒカルドが手を振っている。オマエノシワザダタノカ。いや、有難いけども。


「な、難癖って僕は正当なことを!」

「君の中ではそうなのかもしれないけれどね、事実は異なるよ?彼女も言ってたじゃないか、やってないって。」

「そんなの嘘に決まって」

「嘘ではないよ?寧ろ彼女は君の知り合いの知り合いの被害者と言ってもいいほどだ。そんな彼女を君は一方的に悪人呼ばわりして話を聞こうとしないじゃないか。」

「そんな……ん?彼、女?」

「彼女は女性だよ?」


 ザワッ


 え、何みんなザワッとしてるの?いやいや、確かに私目つき悪いですけども顔立ちは女の子だよ?いや、漢っぽい格好しているけど。お胸もあるよ?流石に胸筋と間違われては無いよね?HAHAHA、ザワッとした奴憶えとけよ?正義の人、お前もだ。お前さっき男って言ったよなぁ?


「この場にいる皆に言っておこうか。彼女――プレイヤー名オウカは、こんな格好をしているが、この世界において迷惑行為及び不正行為は一切確認されていない。それはこのノコが断言しよう。」

「こんな格好は余計じゃろうが。」

「そんな格好している君だから今こうなっているんだろう?」


 あ、はい。ごもっともでございます。それにしても衆人環視の中でこのヤンキー悪いことなーんにもやってないよ!宣言はちょっと恥ずかしいんだけれども。

 ところで正義の人は……あぁ膝ついて項垂れてら。聖人君子ではないので、正直にざまぁと思ってしまう。すまんな、人を見た目で判断したあなたも悪いんだ。判断されやすい格好した私も悪いけども。


「ではプレイヤー名ヨシマサは私と一緒に来てもらうよ。お話ししなくちゃいけないことがあるからね。それでは皆、この世界を楽しんでくれ。」


 そう言うとノコは、正義の人もといヨシマサの首根っこを掴んで消え去った。きっとあの別室に招待されたんだろうなぁ。

 


 ――という訳で私の濡れ衣騒動は終結した。ギャラリーも口々に面白い物が見れたとさっさと解散しそれぞれのゲームライフに戻っていく。そんな中、私に近づく一人の人物。勿論、リヒカルドだ。


「やぁ、災難でしたね。」

「いつかあるじゃろうなとは思っとったけど、ああいう手合いの相手は疲れるのぉ。」

「どうしてもいますからね。さて、そろそろピンキーが宿題終って再ログインしてくるでしょうし、僕はこれで。……あ、そうだ。今度その木刀の事とか聞かせてくださいね?」

「おう。……て、ちょっと待て。お前さっきのあのジェスチャー何だったん?」

「あれですか?"運営に通報します"ってことですけど。ほら、運営っていうかビルドって妖精じゃないですか。だからこう、羽根をパタパタと……」


 ……いや、分からん。鳥かと思った。

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