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ファッションヤンキーちゃんのVRMMO記  作者:


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ファッションヤンキー、キモい木と戦う

 ブトーレントルーパーとの戦闘が始まってどれくらいの時間が経ったでしょう。10分……いや、20分は経ったかな?とりあえずデスポーンはしてない。

 まずね、奴の槍の連撃は恐ろしいぞ!一発一発の攻撃力は低い。これがゴブリンの攻撃だったら気にせずそのまま喰らってターンアタックでドーンでフィニッシュだっただろう。しかし、奴は2本槍を持ってるからね。それはもう雨のように攻撃してくるもんだから体力が見る見るうちに減っていくの。あ、これは不味いと思った瞬間から木刀で防ぎ始めたけど、もちろん全部受け止めきれるわけもなく。防いで喰らって、体力減ってはポーション使っての繰り返しだ。

 そしてこちらの攻撃は連撃中は通らない。というか、攻撃させようとしてくれない。これが足の速いシャドルとかだったら走り回って弱点であろう炎系の魔法を喰らわせて勝ちなんだろうけど、こんな勢いの攻撃から逃れられるほどのスピードを私は持っていない。極めつけは威圧眼が通らない。

 ――かと言って手立てがないわけじゃない。


「ブルヒヒン!」


 お、前脚を踏み鳴らしたな?脚を踏み鳴らした時、こいつは槍での攻撃を止めて踏みつけ攻撃を仕掛けてくるのだ。初めの2~3回は、馬に踏みつけられるという恐怖心から避けてしまったけれど、途中で「あれ?これある意味隙を晒してない?」って気付いた。

 前脚を振り上げ、私に狙いを定めるブトーレントルーパー。その振り上げが一旦静止する。――ここだ!


「っらぁ!」


 気合の声と同時に前脚に木刀の一撃を喰らわせる。すると、ブトーレントルーパーは、攻撃を喰らった衝撃でゆらゆらと体を揺らしたかと思うと、大きな音を立て背面に倒れた。

 こうなってしまえばボーナスタイム!私は何とか起き上がろうともがくブトーレントルーパーに乗りお返しとばかりに震脚を用い踏みつける!震脚を今までこういう風に使ったことはなかったけど、やはり普通に踏みつけるよりかは効果があるようで奴は苦し気に呻く。何回か攻撃を与えると枝を伸ばし私を追い払い、起き上がっては再度槍の連撃。

 転倒させることが出来ることに気付いて3回ほどぼこぼこにしたんだけど、この三国志木野郎いつになったらおっ死んでくれるのだろう。時間だけがただ過ぎ去っていくような……



「ブルヒヒン!」

「はーいどーん」


 ……ハイ、1時間ほど経過しました。段々ダレて来てヤンキーRPにも身が入られなくなった。一応、体力は削れているみたいなんだよ。でもね、こいつ連撃しているときよーく見ると、後ろ足で根を張っているのよね。その根がドクンドクンと脈動しているんだよね。

 この行動が意味することってさ……こいつ回復してない?全快するほどの回復量は無いみたいだけれど……きついっス。

 体力が削れたおかげか、途中で攻撃パターンは変化しているんだけど、それでもちょくちょく回復行動とるんだよこいつ。お前、武将っぽい見た目するならリジェネなんて狡い真似……あゝ、私もポーション使ってるわ。

 もうそんな訳でね、いい加減終わりたいわけですよ。でもわざと負けるというのも違うからと殴り殴られ回復し回復されを繰り返し……何回目か分からない転倒させて震脚で踏みつけ、木刀で殴ったところで今までに見たことの無い変化が訪れた。


「「ブルゴアアアアアアアア!!」」

「ひぇっ!?」


 倒れたままのブトーレントルーパーの武将顔と馬顔が一斉に叫んだ。あまりにも珍妙で気持ち悪い行動に思わず私は飛び退く。

 私が退いたことでのっそりと起き上がるブトーレントルーパー。あれ?今までだったらもうちょっときびきび起きて攻撃再開していたんだけど。ん?槍を手放して天を指さして……固まったね。どしたの?


「ブルゴゴ……ゴア……ゴアアアアッ」


"ブトーレントルーパーを討伐いたしました。"

"ブトーレントルーパーを討伐いたしましたので10分間、半径20メートル間にモンスターは発生いたしません。"


"レベルが上がりました。"

"喧嘩術のレベルが上がりました。"

"震脚のレベルが上がりました。"

"根性入れビンタスキルを習得しました。"


 え?ブトーレントルーパー死んだの?何今の行動?


「某拳王みたいな死に方したなぁ。」

「ッ!!??」


 動かなくなったブトーレントルーパーを茫然と見上げる私の背後からいきなり声が聞こえた。声にならない悲鳴を上げ振り返ると――奴がいた。情報屋が。

 情報屋は、相も変わらず口元以外を隠した黒いローブを羽織ってへらへらと笑って……あ、やべ三度驚かされたこともあって殴りたくなった。抑えろ私の右腕、ステイ。


「あー、うん分かる分かるよ。トレントルーパー倒しに行ったら変なの沸いたって文句言いたいんだろ?俺もさ、知らなかったんだよ。もっと言うと、木こりのおっさんも知らなかった。」

「……そんなことあるんか?」

「あるみたいだなぁ。しかしずっと見てたけどヤンキーちゃん、見た目通り泥くさい戦い方するねぇ。一定のファン出来そう。」

「フンッ泥臭くないヤンキーがおるんか?」

「いるでしょー、世間広いんだから。」

「そりゃおるかもしれんけど……ん?お前さっきなんつった?」

「一定のファン出来そう。」

「そこじゃない。」

「見た目通り泥くさい戦い方するねぇ?」

「そのひとつ前。」

「ずっと見てたけど?」

「それ。」

「てめゴラ。」


 さらっととんでもないこと言ったよこいつ?ずっと見てたけどって言ったよ?いつから?

 無言で情報屋の胸ぐらを掴もうとしたが、あっさりと躱される。


「いやほら、情報渡しておいて誤情報だったら悪いじゃん?だからこっそりついていって情報が合ってたか確認したかったのとヤンキーちゃんの戦い方が見たかったから……睨まないで怖いから。」

「……ちなみにブトーレントルーパーの情報はあったんか?」

「ブトー……?あぁ、アイツの事かいやぁ、初めて見るモンスターだったからね。何の情報もない。寧ろごちそうさまでした。」


 こいつどうにかして殴れないものか。不意打ち震脚して転ばせようか?……いや、どうせ避けられそうだし、やめておこう。


「それよりもさぁ、ほらドロップアイテムとか確認しない?」

「言われんくてもするわ!」

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― 新着の感想 ―
[一言] つまりストーカーしてたと。
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