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ファッションヤンキーちゃんのVRMMO記  作者:


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ファッションヤンキー、木材の情報を得る

「おらんじゃん。」


 翌日の昼頃、私は情報屋に言われた通り同じ小路の奥まで来ているんだけど……情報屋いない。来るの早すぎたかなぁ?でも情報屋は時間指定していなかったし、名前も知らないからメッセージを送るなど連絡手段をとることもできない。

 もう少し時間経ったらまた来ようかなぁ……?


「いるけど。」

「おるじゃん!?」


 何でこいつ今回も背後に立って話しかけるの!?流石に殴りかかることは無かったけどビックリするからやめてほしいわ!

 恨みがましく睨み付けると、情報屋は飄々と両手を振りながら「ごめんごめん」と謝るが、もはやこの人驚かすの楽しんでない?

 しかし、昨日の別れる前に動揺してたのと打って変わって落ち着き払っているということは満足する情報が手に入ったのかな。


「木材の情報は大丈夫なん?」

「そりゃもうバッチリさ。こちらとしても新たな情報網が手に入ったからな。ヤンキーちゃんには感謝しかないよ。」


 いや、私木刀に適した木材の情報ちょーだいって言っただけでそこまで感謝されることしてないんだけど。


「ちなみに聞くけど、ヤンキーちゃんのその木刀は何の素材を使ってるんだ?」

「トレントの木材じゃけど。」

「あっぶね!最初に手に入れた情報が、そのトレントの木材だったんだよ!でもこう、嫌な予感したんだよ!謎の電波を察知した俺は念のため別の木材の情報も取り入れたんだ。それがこれ。」


 そう言って情報屋がローブの中から取り出したのは一つの木片。……これが木刀作れるサイズだったらこのまま貰いたかったんだけどな……まぁ情報だけだし仕方ないか。


「何ならそれ。」

「これはな、トレントルーパーからドロップする、トレントルーパーの木片ってアイテムなんだよ。ドヴァータウンの木こりの住人のおっさんから聞いた。」

「トレントって事は魔物なん?」

「その通り。ただ、このトレントルーパーってのは名前からも分かるけど、普通のトレントよりも上位の存在だ。しかも、木馬に乗る。」


 ……うん?なんか変なこと言ってなかった?トレントってあれでしょ?木材手に入れたときは、投げた棍棒がたまたま当たってそれで気付かないうちに死んでたから視認してなかったけど地面に根っこ埋めた木のモンスターなんでしょ?それが木馬に乗るの?木馬って部分もツッコミどころ満載だけど。


「気持ちは分かるが、ガチだ。何でも最初は他のトレント同様に普通の木に擬態しているんだけど、獲物が近づいたら即攻撃。それを躱されて距離を取られたら地中から根を出して、体の下部分を馬に変形させて機動力を得て襲い掛かってくるそうだ。」

「頭の中で想像したけど間抜けでキモイんじゃけど。」


 上半分は木のままなのに下半分は馬の形になるって何その奇想天外なモンスター。ケンタウロスもビックリだよ。

 待てよ?木片がここにあるってことはその話を聞いたって言う木こりの住人から買えばいいのでは?木片もあるなら木材もあるでしょ。お金もそこそこあるし少し高いくらいだったらそちらの方がいいのでは?


「おっと、皮算用しているところ悪いけど在庫も確認済みだ。品切れだと。」

「次の入荷は?」

「確認済み。未定だとよ。」

「チィッ……見つけた場所は?」

「自分で行かなきゃいけないと観念したな?ほい、これな。」


 そう言って渡されたのは一枚の紙。そこにはポートガス街道付近の簡単な地図が描かれており星のマークが書かれているところにトレントルーパーを見つけたようだ。

 まぁ自分の装備に使うものだからやっぱり自分で調達しなきゃだめかぁ。楽したかったんだけど仕方ない。

 そもそも住人でも倒せるってんなら私でも結構楽勝な可能性もあるよね。トレントだってあっさり倒してたんだし。


「言っておくけど、木こりのおっさんは木こりだから倒せたんだからな?」

「ん?どういうことなん?」

「木こりって職業はな、その名の通り木に関するモンスターに対するダメージに補正がかかるんだよ。だからトレントルーパーも楽に倒せたって話なんだけど、ヤンキーちゃんは……少なくとも木こりじゃないよな。ってか何?木刀持ってるけど、昨日会った時はメリケンサック付けてたよな?」

「ヤンキーって職業じゃけど?」

「え?も一回言って?」


 いや、聞こえたはずでしょ。私、方言除いても発音いい方だと思うんだけど?あれか?聞こえ間違えかと思ったのかな?


「俺の職業はヤ・ン・キ・イ」

「その情報売ってください!!!!!!!」


 うわ、きれいな90度お辞儀。営業マンを見ているみたいだよ……

 って情報屋って名乗っている人でも私のヤンキーって職業は聞いたことないのか。ほう、ちょっと優越感。

 ……とはいってもあまり教えられそうなことないんだよなぁ……私もなんで成れたのかよく分からない。

 そのことを話したけど分かる範囲だけでもいいので教えてほしいらしい。


「ちなみに売ってくれってどれくらいなん?」

「俺はレアそうな聞きなれない職業にはまず名前の情報として1万G払っている。」

「マジ?」

「大マジだ。取得条件や覚えるスキルに関してはそれに応じて上乗せしていく。」


 う、ううん……お金、お金は魅力的……でも、でも、情報屋も知らない職業に就いているという優越感……

 いやでも名前だけ売るってもありだよね?……って情報屋は何も言わずに払わずに売ればいいのでは?


「ん?あぁ、ここでヤンキーちゃんが断ったら絶対売らないから安心してくれ。――まぁこれも口約束だけど。ただ、俺は自分のこの情報屋ロールプレイには誇りを持っているってのは分かってほしい。」

「分かった。職業名だけ売るわ。スキル云々は勘弁してくれ。」

「OK。それだけでも十分有難いさ。ふふ、検証班に高く売りつけてやろ。」


 情報料として情報屋から1万Gを受け取った私は、早速トレントルーパーを狩るためにその場から……いや、ちょっと待って。大事なこと聞き忘れていた。


「のぉ情報屋、お前の名前は何なん?」

「うん?2万Gね。フレンド登録となると追加で1万――」


 さて、トレントルーパー狩りに行こー

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― 新着の感想 ―
[一言] あ、そこは金取るんだ
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