ファッションヤンキー、箱を開ける？
目の前に現れたプレゼントボックス。開けないと思いつつも、ちょっとだけ中身が気になる。
軽く足で小突いてみると、スイカを叩いたときのような軽い音は出たものの、プレゼントボックス自体は微動だにしなかった。
それにしても……周りの視線が痛い。しかもこの視線、あれだ、獲物を狙う狩人のそれだ。狙いは勿論私……ではなく、足元のプレゼントボックスだろう。
こんなところで手に入るものなんて所詮外れアイテムだって相場が決まっているんだからそんなに目を血走らせなくてもいいのに。
……ううん、なんだか居心地が悪いなぁ。とっとと当初の目的のゴブリンの集団狩りにいこっと。プレゼントボックスも狩りしたついでに見つかるでしょ、多分。
私はポートガス街道の道を外れた草原に足を踏み入れた。ゴブリンチーフはそこに出現するらしい。――後ろで凄い争奪戦が始まった気がするけど気にしない気にしない。……中身は気になるけど。
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「オラァ！ゴブリンミサイルじゃあ！」
「ギャギャッ！？」
草原に足を踏み入れて一番最初に私を迎え入れてくれたのはゴブリン達でした。ただ残念なことにゴブリンチーフとやらはいなかった。
しかし、ただのゴブリンとは言えその強さはワンズフォレストのそれとは違う。お決まりのスタイルで奴らの攻撃を避けることなく受けたけど、まずダメージがワンズフォレストのよりも高くなっていた。それでも危機感を覚えるほどの減り方はしてないからいいんだけれど。
で、今しがた殴ってきた奴をリフトアップで持ち上げて別のゴブリンに投げつけたんだけれど、体力も強化されているようでまだ生きている。盗賊でも今ので気絶したんだけどなぁ
「ええ根性しとるのぉ、ほら掛かってきんさいや！」
「ギギッ！ギャギャギャーッ！！」
立ち上がったゴブリンを挑発すると、奴は棍棒で地面を数回叩くと天を仰ぎ、鳴き声を上げた。見たこともない行動に首を傾げる私。まさか怒りに目覚めてスーパーゴブリンに進化……は流石にないよね。だけどその代わり、鳴き声の意味をすぐ理解することとなった。
「ギガッギギギッ！」
おおう、今の鳴き声は仲間を呼ぶ行動だったのね。ゴブリンが現れた！しかも集団で。しかもしかも、そのうちの一体は他のゴブリンと比べてどこか逞しくそして棍棒ではなく、剣を装備している。明らかに風格の違うゴブリン。奴がゴブリンチーフ……！その頭のプレゼントボックスは普段は絶対つけていないですよね？
ふふふ、鴨が葱を背負って来るとはまさにこのこと。私は思わず口角が上がりゴブリンチーフを睨む。
「ようチーフさんよぉ、同胞の敵討ちってところかのぉ。遊ぼうや。」
「ギギーッ！」
チーフの号令でさっき私が追い詰めたゴブリンを除くゴブリンが一斉に襲い掛かる。
私はすかさず震脚を使い、揺れに対応できなかった3匹のゴブリンを転ばす。そして転ばなかったゴブリン2匹の攻撃を受け止め……ターンアタックで強化した木刀で殴る！何、一撃じゃ倒れない？いやしんぼめ、もう一撃だ！
さて、転がったゴブリンの残りを処理しようとしたところで……ゴブリンチーフが躍りかかってきた。
「ギヒャッ！」
「チィッ！」
唐突な襲撃で、思わず反射で剣を木刀で受け止める。押されてはいないけれど流石はチーフだ。戦いの経験が違いますよ。
「ギャギャッ！」
「「「ギギッ！」」」
おん？チーフが鳴いて起き上がったゴブリンが了承するように鳴き、行動に移した。
奴らは私を囲むように立ち、三方向から攻撃を仕掛けてきた。何こいつ等作戦とか使うの？
ただ悲しいかな、ダメージは全く入っていないんだよね！ただ鬱陶しいだけ！
チーフはチーフで、攻撃を受け続ける私を見て下卑た笑みを浮かべる。私が弱っていると思っているのだろう、だが実際はそうではないし……気づいてないのかな？私が木刀を片手でしかもっていないことに。
「笑ってんじゃねぇぞ！」
威圧眼を発動。チーフは私の目を直視し、その動きを固める。その隙に私は拳を振るう。今メリケンサックは装備していないからダメージは劣るが、私の拳はチーフの鳩尾にクリティカルヒットした。いやぁ、人に近い体したモンスターって急所も一緒だから助かるわ。
体をくの字に曲げたチーフは目をひん剥き口からダラダラ涎を垂らし膝をつく。決着だね。
木刀を振り上げ奴の頭に……あ、先に周りのゴブリンも倒しておかないと。
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よし、ゴブリンの掃除完了。改めて木刀をチーフの頭に……はプレゼントボックスがつぶれそうな気がして怖いから顔面に横振りで！
"ゴブリンチーフ率いるゴブリンパーティ 1/2"
……この文章見る限りこれチーフ単体で倒してもダメっぽいね。気を付けよう。
さて、それではお楽しみのプレゼントボックス！いやー、他にもチーフのドロップであろうアイテムが転がっているけれどまずはプレゼントボックスだよね！
"このプレゼントボックスを取得しますか？ 注意！取得した後プレゼントボックスを捨てることは出来ますが、取得した数は減りませんので注意してください！"
なるほど、3つ手に入れたけど4つ目の見つけた。最初の捨てれば新しいのをゲットできるよね！って言うのを防ぐためのメッセージか。
これはよく考えなきゃいけないね。まぁ私は開けるんですけどね？
開けることを選択すると"プレゼントボックス 1/3"と表示された。
中身は何じゃろなーっとリボンを解いて箱を開けると……！
"黄金龍のワッペン"
……おん？
