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ファッションヤンキーちゃんのVRMMO記  作者:


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ファッションヤンキー、リスポン地点を登録する

「それで?ドヴァータウンに行ったにもかかわらず、教会に行かずにバディウス道場の師範に戦いを挑んで?あっさり負けてこの街に戻ってきたと。」

「……間違いありません。」


 私ヤンキーRPをしているオウカ!今、パックンさんの前で正座をしているの。

 事はムラカゲに負けた私が、リスポン先のウーノの街の教会に強制送還され、絶叫を上げたことから始まる。その時、丁度教会に用事があったパックンさんに思いっきり叩かれ、首根っこ掴まれて教会の外に連れ出され正座させられた。

 はい、私が悪いです。で、何で叫んでいたのかとパックンさんに問われそれに応えているという訳だ。

 私の話にうんうんと頷いていたパックンさんは黙り瞑目したかと思うとその目を開き、告げた。


「アンタ馬鹿?」

「だって知らんかったんじゃもん。」

「情報収集は基本でしょうが。仮に調べてなくてもアンタ、何回かリスポンしているんだからアナウンス聞いてるんじゃないの?"最後に寄った"ウーノの街の教会にて蘇生されますって。」


 うっ……言われてみれば確かに。不味ったなぁ、それに気づいていればやられたとしても、ドヴァータウンの教会でリスポンされたってことになる。またあの道を行かなきゃならないと思うと気が滅入るなぁ……

 リヒカルド達と行動した時は馬車だったけど、今度からは歩きってことだよね。あの時よりも確実に時間はかかってしまう。

 そんな将来の面倒事に溜息をつく私にパックンさんはさらに容赦のない言葉をかける。


「それにアンタが挑んだムラカゲ。あいつは少なくともコング・コング・コングの何倍も強いわよ?かく言う私も挑んだことは無いんだけど。」

「じゃあ何で知っとるん?」

「ムラムラマッサンが挑んだのよ。」


 ムラムラマッサン?誰それ。その疑問が顔に出てたのか、パックンさんが教えてくれた。

 ふざけた名前こそしているが、現状パックンさんが知る中でのトッププレイヤーであり、コング・コング・コング初討伐にパックンさんを勧誘した剣士の事らしい。ふざけた名前はまぁ……ネトゲってそんなものでしょう。

 っていうか、そんな人があのムラカゲに挑んだの?トッププレイヤーともなればムラカゲとも言えど……


「期待しているところ悪いけど負けたってさ。剣を抜かせることは出来たんだけれど――とは言っていたけれどね。」

「それ俺がどんだけひっくり返っても勝てんのんじゃないか?」

「そうね?アンタまだまだ弱いもの。」


 おうふ、直球で言われてしまった。でもドヴァータウンに到着してちょっと調子に乗っていた節はあったかもしれないなぁ。救いがあるとするならリヒカルドに貰ったポーションを1つも使わずにやられたってことかな。勝てる見込みもない相手に消耗品である回復薬を使い切るだなんて目も当てられないからね。


「ま、精々頑張りなさい?いい木材が手に入って私の所に持ってくればいい木刀作ってあげるから。」

「あー、そん時は頼む。」


 本心を言えば今すぐにでも新しい装備が欲しいけれどそんな都合よく木材を持っている訳もなく断念。パックンさんと別れた。

 くそう、あの道をもう一度行かなくちゃいけないのか……都合よく盗賊に襲われている馬車とかいないかな。……そうだ!

 私は踵を返し反対方向に去ったパックンさんを追いかけ――聞いた。


「この世界、単車とか」

「あるかぁ!」


 ですよね!


 

 あ、バルドレンの道具屋に行くの忘れてた!

 すんません、バルドレンさんいや忘れてたわけじゃないんですよ。はいごめんなさい、忘れてました。ポーション確保して頂いて感謝してますはい。



 着きました、ドヴァータウン。

 歩きだから時間かかるかなと思ったんだけれど、体感馬車より少し遅いくらいだった。まぁ馬車に乗ってなかったら1日掛かるなんて話だったらゲームとしては退屈だろうしね。

 ちなみに道中、やっぱりリヒカルド達と行動していた時が特別だったのだろう、結構プレイヤーがいた。中にはパーティを組んで少し大きめなモンスターを討伐なんて光景もあった。そして普通にモンスターも出現した。と言っても盗賊と同じくらいの強さだったから案外一人でもなんとかなった。それでもポーションは消耗したけれどこれは仕方がない。


 門番さんに「あれ?こいついつ外出たんだ?」みたいな顔されたけど、「リスポーンしてウーノの街から戻ってきました」だなんて言えるわけがないので何も聞くなと無言で睨んでおいた。


 門を潜りすぐに教会に向けてダッシュ。幸い教会はよく目立っているから間違い様がない。

 焦る必要は無いのだけれど、先の失敗から少々乱暴気味に教会の扉を開いて中に入る。そんな私を迎えたのは、シスター服を着た恰幅のいいおばちゃんシスターだった。


「あらあら、元気な渡界者様ですねぇ?どのような御用で?」

「リスポン地点を登録したいんじゃけど。……リスポンで通じるんか?」

「蘇生登録の事ですね?それでは女神像の前にお立ちになって瞳を閉じてください?」


 言われるがままに女神像の前に案内されその像を見上げる。……あれ?この女神様クギに似てない?

 気になるけれど、それは後にしよう。手を合わせる必要は?あ、ご自由に。じゃあ目を閉じるだけで直立で……


"ドヴァータウンの教会をリスポーン地点として登録しますか?"


 YES!YES!YES!


"了解しました。ドヴァータウンの教会をリスポーン地点として登録完了いたしました。これにより、ウーノの街の教会のリスポーン地点の登録を解除しました。"


 あ、複数の登録は出来ないのね。出来たら……移動のためにわざとデスしそうだもんね。

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