ファッションヤンキー、次の街へ進みたい
明けましておめでとうございます。
本年も「ファッションヤンキーちゃんのVRMMO記」をよろしくお願いいたします。
さて、ウーノの街に戻ってきたわけだけども……気になるのはノコが送ってくれたとかいうアイテムだよね。ストレージを見てみると確かに見慣れないプレゼントボックスが。えーっと、アイテム名は"詫び箱"か。
ノコは気持ち程度だなんて言っていたけれど、期待はしちゃうよね。どんな便利アイテムが入っているのかなーっと
"詫び箱の中には初心者用ポーション×6入っていました。"
あ、はい嬉しいです。本当にありがとうございます。
実際、初心者用ではあるけれど、今一番欲しい物ではあったから本当に嬉しいんだけどさ、もうちょっとこう……いや、とやかく言っても仕方ないよね。貰えたんだから有効活用しよう。
次のエリア……そういえば次のエリアのこと、全然知らないな。門番さんなら知っているだろうし、聞いてみようか。
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あのさ、門番さんは少しは私に慣れてくれてもいいと思うんだよ。ワンズフォレストに行くために結構顔合わせているのに一瞬厳戒態勢になるの何なのさ。私そんな凶悪な顔にしたつもりないんだけど?目つき鋭くしただけだよ?
ただまぁ、次のエリアもといドヴァータウンへの道のりはちゃんと教えてくれた。何の目的だとか聞かれたけど……ヤンキーっぽくカチコミと言ってみたらもっと警戒されちゃった。いや、これは私が悪いけども。
ドヴァータウンとやらへはワンズフォレストを突き進んだ先にある――訳ではなく、森から少し逸れたところに道があるのでそれを進めば着くのだとか。ちなみにモンスターは稀にしか出ないんだと。そりゃまぁ街と街をつなぐ道にモンスター頻繁に現れちゃ困るよね。そりゃ整備されているよね。
そんな訳で私は今、ドヴァータウンへと続く街道を進んでいるわけだけども、本当にモンスター出ない。とてものどかなんだけど。もうちょっとこうさ、屈強なモンスターと殴り合った末に新しい街へー何てことを考えていただけにこの展開はあまりに拍子抜けだったりする。
なんてことを考えていたら前方から何やら騒がしい声が聞こえてきた。少しだけ早歩きして進んでみると、どうもガラの悪い男達が十数人、馬車を取り囲んでいらっしゃる。これはあれか盗賊的なあれかな?
しかし盗賊じゃない可能性だってある。ほら、ガラが悪いだけで本当は馬車の中で困っている人を助けようと……している人間はグヘヘみたいな笑い方しないよね。あれ十中八九悪党だわ。
周りを一応確認してみるが私以外のプレイヤーはいないみたい。さっきまでちょくちょくすれ違っていたはずなんだけれど、いついなくなったのか。これは……私が助けに入るべきなのだろうね、しょうがない。
ただ、ヤンキーである私がダッシュして助けに入るというのも変な話なのでゆっくりと歩いて強者感もって近づいてみよう。
近づくと、馬車を揺らしたり殴ったりしていた盗賊(仮)は私に気付くわけで。いち早く私に気付いた1人が馬車を揺らしていた男の1人の肩を叩き何やら話すと私を指さす。大方、「何か近づいてますZE!」的なことを言ってるんだろう。
肩を叩かれた男も何か話すと顎をしゃくり私を指し示す。指だの顎だの、揃いも揃って失礼だなこいつ等。
何やら指示された男は嫌そうな顔をしたが、すぐに怒鳴られるとへごへごと頭を下げ私の元へ駆け寄ってきた。
「おう姉ちゃん同業者か?わりぃがありゃ俺たちが先に目を付けた獲物なんでなぁ……大人しく帰んな。もし俺等を手伝うってンなら多少の分け前を考えてやらねぇことはねぇがな?」
「あ、うん喧しいけぇ。」
勝手に同業者にしないでほしいんだが?ムカついちゃったので、木刀を脳天に叩き落としてやりました。下っ端盗賊は敢え無く地面とキスをすることになりました。モンスターを殴るように攻撃したけど流石に頭パァンって爆発するほどではなかったか。いや、もしかしたら年齢制限とか解除されたら頭パァンするのだろうか。そうなったら怖いな……
下っ端をぶっ叩いたわけだけど、盗賊たちは皆手を止めて私に視線を向ける。もしかして、攻撃されないだなんて思ったのかな?すごすご帰ると思ったのかな?残念だったな、私はヤンキーなのだ。
盗賊たちの内の……下っ端に指示した奴が次第に顔を赤く染め叫んだ。
「テメェら何してやがる!舐め腐った野郎をぶっ潰せ!」
奴の一声で意識を取り戻した盗賊たちが各々武器を取り出し一斉に迫ってくる。
あ、待って一斉はちょっときついかもしれないんだけど。なんて頼んでも待ってくれるわけはないよね!こうなったら私も大いに暴れてやるわい!




