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ファッションヤンキーちゃんのVRMMO記  作者:


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ファッションヤンキー、電撃ゴリラと戦う

あの、僕の見間違いじゃなければVR日刊4位なのですが……?

ありがとうございます……っ!

 落ち着けオウカ。ゴリラはただドラミングして原理は分からないけど、電気を迸らせただけだ……!電気が迸ってるだけでさっきまでのゴリラなんだ……!改めて考えると字面ヤバいね。はい、現実逃避終わり。

 

「ウボッ、ウボボォッ!」


 未だ私との距離のあるゴリラが大きく両腕を上げる。体の電気が両腕に集まっている様に見えるけど、何してるんだろう?奴の行動が分からず首を傾げる私なんてお構いなしに、ゴリラはその両腕を思いきり地面に叩きつけた。するとどうだろうか、両腕の電気が地面を走ってこちらに向かってくるではないか!あ、待って速っ


「っ痛ぁ!」


 電気が直撃し、私は思わず声を上げてしまう。もちろん本当に痛いわけではないが、ついつい言ってしまうよね。じゃないんだよ、体力減ってるだけじゃなくて手足がしびれて動かないんだけど電気的に麻痺ってるのかこれ!?

 私を麻痺らせることが狙いだったのだろう、ゴリラは大きな音を立てながらナックルウォーキングで近づく。そして、走った勢いそのままに電気を纏って黄金の右腕と言わんばかりのその拳を私に向かって振りぬく!足も手も痺れ、回避も防御体勢もとれない私に対抗手段はない。顔面で拳を受けた私は先ほどのゴリラ同様に後方へ大きく吹っ飛ばされ、木に激突する。


 勝鬨のつもりなのだろうか、ゴリラはドラミングをし大きく声を上げている。

 あぁ、あんなにあった体力がどんどん減ってく……あの糞ゴリラ女の子の顔を殴りやがって……いつか絶対復讐してやるからなぁ……!


"パッシブスキル 踏ん張り所の効果が適用されました"


 ……あ、忘れてた。

 確か踏ん張り所は、HP7割以上から全損する攻撃受けたらHP1残るんだっけ?あっぶな!第二形態に変わる前にポーション飲んでおいてよかったぁ!

 私はゆっくりと立ち上がり、地面に向かってペッと唾を吐く。……血塗れになったヤンキーが立ち上がり血の混じった唾を吐くってシーンよくあるけど、出来なかったよ……そもそも血が出てないし唾も吐けてなかったよ……ペッて音しただけだったよ!

 気を取り直して、2つポーションを飲み干す。これで回復手段はもうない。私は逃げも隠れもせず、ドラミングに夢中になっているゴリラに向かってゴブリン棍棒をぶん投げる。


「ウボボボボッ!……ウボッ!?」


 よし、ちゃんと顔面に当たったね。やっぱりさっきの見えない壁は演出を妨害させないためのシステムの壁みたいなものなのだろう。

 思いのほか、棍棒がクリーンヒットしたようで、ゴリラは苦し気に顔を抑えている。

 顔から手を離し、私を仕留めきれなかったと分かったゴリラは悔し気に顔をゆがめる。


「よぉ、勝鬨を邪魔された気分はどうなんなら。ほら、お前の敵が立っとるじゃろうが、かかってきんさいや。」


 馬鹿にするように口を歪める私にゴリラは目に見えて怒り、大きく腕を振り上げる。

 間違いなく先ほどと同じ電撃攻撃だろう。全く、あんな近距離特化型の見た目をしておいて遠距離攻撃なんて卑怯だよね。せめてバナナ投げなよバナナ。お似合いだよ?

 さて、件の電撃攻撃だが、何も対策なしに奴を挑発した私じゃないよ。


「ウボッ、ウボボォッ!」


 来た!拳から地面に伝わった電撃が私に向かって走ってくる。

 正直、私の思った通りになるかは五分五分なんだけど、私が今考えうる最適解はこれしかない!


「"震脚"っ!」


 スキル名を叫ぶと同時に右足に力を込めて大きく地面を踏み鳴らす!

 声に出す必要ないかもしれないけど、気分が高ぶったんで許してください!

 震脚は半径3メートルに地震を発生させるスキル。もしかしたら効果ないかもしれないけど、お願いします……!

 不敵な笑みを浮かべながらも切実に願う。地面を走る電撃は……3メートル前方で私を避けるように2つに分かれて過ぎ去った!

 ク、ククク……狙い通り!


「っしゃあ!」


 喜びのあまり、声を上げてしまう。だけど、まだゴリラは健在だ。

 私は次の電撃を放たれる前に駆け出し、今度は私の方からゴリラに接敵する。もしかして連続して放てないの?好都合!


「ウボッ!」

「よう。よくもまぁたいぎい真似してくれたのぉ。」


 不敵に笑い、木刀を右手に持ち指を鳴らす。

 ゴリラもゴリラで迫ってきた私の目を見ると一瞬固まったが、すぐさま正気を取り戻すと、鼻息を大きく荒げ、渾身の力を籠めるべく音が出るほど拳を握り締め振りかぶる。


「ウボボォォーッ!!」

「往生せぇやぁ!」


 ゴリラの拳と私の木刀が交差する。

 お互いの攻撃はお互いの顔面目掛け放たれる。避けることは不可能……だけど私は避けることを必要としていない。

 ゴリラの顔面に私の木刀の突きが命中する。それを確認した瞬間、私の顔面にもゴリラの拳が突き刺さる。


「ウボッ!」

「ぐっ!」


 あぁ、目を瞑る暇もなかったよ。目に見える黒さは目を閉じた際の闇じゃなくてゴリラの手の甲なんだろうね。

 いい攻撃をもらったが……私はまだ生きている。結構体力ギリギリだけどね。

 電撃の追加効果でもあるかと思ったが、今のゴリラの手は静電気すら感じられない。使い切ったのかな?

 お互いの攻撃が命中して何秒が経過したか。先に動いたのは、ゴリラだった。


「ウボ、ウ、ホホ……」


 ゴリラの拳は力なく私から離れ、ゴリラそのものは、ゆっくりと私の傍らに倒れた。


"ワンズフォレストのBOSS コング・コング・コング を討伐いたしました。"


 こうして私の三度目の正直であるボス戦は幕を閉じた。



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― 新着の感想 ―
[一言] ゴリラの拳と私の木刀が交差する。  お互いの攻撃はお互いの顔面目掛け放たれる。避けることは不可能……だけど私は避けることを必要としていない。  ゴリラの顔面に私の木刀の突きが命中する。そ…
[良い点] ふいんき [気になる点] 素人がちょっといい装備つけただけでユニークたおせるゲームはちょっと [一言] 最初は面白そうだったが……ゲームバランスがおかしい。無念。
[一言] 銀さんおめでとうございます! オウカもおめでとう! お疲れ様!
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