ファッションヤンキー、強襲される
"強襲ボス???と遭遇しました"
ピンク色のティラノが目の前に現れた瞬間、以上のウィンドウが表示されたんだけれども……強襲ボス!?そんなの徘徊してんのこの島!
ティラノは唸り声を上げながら足を止め、倒れて及び腰になっている魔女っ娘、私、クレメオを見渡すと――
「グルァアアアアアアアアアアアアアア!!!」
と地が震えるほどの大声を上げるや否や、私に向かって走り出してきた。え、待って目の前に隙だらけな魔女っ娘いるんですがそれを差し置いて私ですか?あぁ、存在強調ね。というか、ティラノ意外に速いですね。もう距離詰められて巨大な口が私を喰らおうと開かれる。……これ、喰われたら即死とかある?
とは言え、流石に丸呑みは無いだろうから一度噛まれて攻撃力確認してみようかなーっと思ったら何かティラノの動き止まってるんですけど。
「あぁん?」
「あのぉ、黙って食べられようとするのは止めてくれませぇん?」
そんなクレメオの声はティラノの頭上から聞こえた。私から少し離れた場所にいたはずのクレメオはその手に小さな蜘蛛を2匹乗せて呆れた表情で私を見下ろしていた。
ふむ、よく見るとティラノの体にキラキラする細い……あぁ蜘蛛の糸が張り巡らされているのね。これで動き止めたんだ。まさか、クレメオに助けられるとは。
「別に一撃死はせんと思うんじゃけどなぁ」
「それでも不必要なダメージは避けるべきでしょぉう?あなたは重要なダメージソース、この恐竜ちゃんを倒すにはあなたに倒れたら困るんですよぉ?」
「そうっかい!!」
クレメオの蜘蛛に拘束されているから好機っちゃあ好機なので不動嚙行でティラノの横っ面ぶん殴って差し上げました。クレメオはヒットする直前に水泳の飛び込みよろしく飛び降りて私の真横に着地。この子テイマーだよね?結構動くなぁ……
おっと、ティラノ君蜘蛛の糸による拘束を力に任せて引きちぎっちゃった。流石にパワーはあるか。なんて感心していたらティラノが勢いよく後ろを向い――っと横腹に衝撃!見ると私の横腹にピンクな尻尾が叩きつけられているではないか。うーむ、結構痛い。そして何故か反対側の横腹にクレメオからチョップ喰らってるんですけど。ダメージは無いけど何してんの
「何しとんなら」
「こっちの台詞ですがぁ?明らかに攻撃モーションだったでしょうがぁ。ダメージは出来るだけ避けるよう言いましたよねぇ!?っていうかぁ、何であの攻撃で1ミリも動いてないんですかぁ!?」
え、何この子こんなに叫ぶように喋れたの?喋るたびにチョップするの止めてもらえませんか?痛くはないけどこしょばゆい。
1ミリも動いてないのは、普通に不動スキルのおかげなんだけどもね。それはさておき、私の横腹には未だにティラノの尻尾があるんですよ。と言うのも、私がそのまま腕で抱え込んでるからなんですけどね。さっきからティラノ君が何とか離させようともがいてる。まぁずっと拘束は無理なので――
「クレメオぉ!二次災害とか気をつけぇよ!」
「はいぃ?」
「よっこいしょおおおおおおお!!!」
「はいぃい?」
一度やってみたかったんだよね、尻尾掴んで一本背負い。龍拳とかリフトアップを用いてみたら案外簡単にティラノの体が持ち上がりそのまま投げ飛ばす。巨体が宙を舞い、木々にぶつかりなぎ倒す。私が二次災害に気を付けろと言ったのはこれに巻き込まれないようにということね。
いって。背中叩かれた。そっちに視線を移すとやはりというかクレメオが
「あなたぁもうちょっと分かりやすく警告してくださいよぉ!今私達共闘状態なんですよぉ!?分かってますぅ!?」
本格的にキャラ壊れて来てるな、この子。私今PKに凄い剣幕で怒られている。言ってること正論だから何にも言えないんですけど。
ってあら?あの魔女っ娘は?
「わー、お兄さんすごーい。ティラノぶん投げちゃった!」
いたよ。いつの間にか立ってティラノがぶん投げられた方をのんびり眺めていた。いいのか魔女っ娘そんな軽率に出てきて。クレメオがお前を見ているぞ?
「あなたもぉ!!あれを私達の所まで連れてきたんですからぁ、率先して戦ってくださいよぉ!」
「ひぇっ!ご、ごめんなさい!」
よし、クレメオの怒りの方向が魔女っ娘へと向いたな。魔女っ娘よ、こっちに助けを求めてもダメだぞ。そろそろティラノ起き上がってきそうだから警戒しなきゃいけないからね。あと私女だからね。お兄さんじゃないからね。




