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ファッションヤンキーちゃんのVRMMO記  作者:


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ファッションヤンキーと狼魔法少女

 意識を取り戻したダリグリカは頭を振ると、今までこの場にはいなかったシャドルに目を付ける。理性は飛んでいるはずだが、直感で分かったのだろう、自らを落としたのは私ではなくビーストの少女である事に。怒りに震えるダリグリカは己の激情を示すように大きく口を開け叫――


「あ、"バーストボム"!」


 ようとしたらシャドルに口内を爆発させられた。

 隣にいた私、ポカーンですよ。ここはこう、怒り狂った方向に空気が痺れてさぁ戦いの続きだって流れじゃないの?何好機とばかりに爆発させてるの、この子。ダリグリカもまさかの一撃でまたよろめいちゃってるし。


「お前、えげつないのぉ」

「攻撃は出来る時にしとかなきゃ!ただでさえ、ああいう手合って体力多いんだから!それよりもオウカ、任せてもいい?」


 その言葉に、私は意識をシャドルからダリグリカに向ける。奴はすぐに気を取り直し今度は口を開かず前脚をシャドルに振り下ろした。シャドルの素早さであれば避けるのは容易いだろうが、彼女は回避行動を取らずただそこに佇んでいた。私はすぐにシャドルの任せるという意味を理解し、彼女の前に立ち、深呼吸し、奴の前脚を両腕一杯に広げ抱き込むように受け止めた。当たり前にダメージは入るけどね?


「グルァ!?」

「ハッハァ!なんじゃあトカゲ!攻撃が弱くなっとらんかぁ!?」


 誤差の範囲でね!と心の中で自分にツッコミを入れる。今回の一撃は、先程までの飛行しながらの攻撃じゃない分速度も大したことは無かったため、不動嚙行で逸らさずとも受け止めることが出来た。

 ダリグリカは慌てて前脚を引こうとするが、そこはド根性ヤンキーな私。決して離さないよう足腰に力を入れ踏ん張っている。色々発動しているパッシブスキルやリフトアップも対象なのか、少しずつ引きずられてはいるけど前脚をしっかりと掴めていた。でも、ここは任されたけどシャドルはどうするんだろ?そう考えた時には、既にシャドルの行動は始まっていた。


「シギョク、いつも通りにね!」

「クルァ」


 再びシギョクに飛んでもらうのかと思ったら、予想と反してシャドルは私が掴んだ前脚を足場に駆け、シギョクはダリグリカよりも高く飛ぶなどバラバラに行動し始めた。

 いや、私が掴んでいるとはいえ不安定なはずなんだけどすいすいと昇っていく。現実世界でもそうだけど運動神経凄いなぁ……



-シャドルside-


「うわぁ、本当に止めれちゃうの?オウカ、随分強くなってるよね?」


 盛り上がった場面で、ついうっかりオウカに「任せる」だなんて言っちゃったけど、ここまでしてくれるとは思わなかったよ。1発耐えてくれればそれでよかったはずなんだけど、前脚掴んじゃうなんて。あれ喰らったら私なんて一瞬でお陀仏だよ?

 さて、シギョクにはいつも通り動いてもらうとして……私はー


「っとぉ!」


 危ない危ない。オウカが片方抑えてくれても、もう片方が動かせないなんてことは無い。でもそんな攻撃スピードじゃ私を捉えるなんて無理無理なんだよね。

 ドラゴン君、イライラしてるねぇ。でも口を開けてブレスを吐かないってことは流石に学習しちゃったかな。ま、私の攻撃がそれだけだと思われるのはちょっと嫌だなぁ!えへへ、オウカに私も強くなった所見せなきゃね!


「"リスクバリア""出力上昇""レイ・フレイムボム"!」


 スキルを発動し、続いて私のお気に入りの1つの魔法を唱える。出力上昇はその名の通り、次に唱える魔法スキルの性能を上昇させるスキル。代償に消費MPは増えちゃうけどね!次にレイ・フレイムボム。これを唱えると私を中心に小さな太陽のようなフレイムボムが8個キネティックアートのように周りに漂う。

 ドラゴン君は一瞬、驚いたようだったけど攻撃が飛んでこないからか何故かまた残った前脚で攻撃してきた!あれ?この魔法一応さっきから君を攻撃してたものと同じなんだけど?警戒しないの?えーっと、なら避けなくてもいいかな?向かって来るドラゴン君の前脚。しかしその攻撃は私に当たるよりも先にフレイムボムに当たっちゃう。するとー?


「グギャアアアアアッ!?」


 触れたボムが勝手に炸裂しちゃうわけ!近距離での爆発だから私もダメージ負っちゃうんだけどね?そこはリスクバリアで軽減!

 レイ・フレイムボムは操作をすることのできる複数のフレイムボムで、操作をするつもりが無かったらプレイヤーの周りを漂うだけの動きしかしない。でも何かにぶつかると爆発しちゃうから防御壁みたいな使い方も出来るの!――慣れるまで凄い事故死したけどね!

 って言うかドラゴン君口開けちゃったね!


「それっ!おかわりだ!」


 折角おかわりをご所望なんだから目一杯上げないとね!残ったフレイムボム全部食べちゃえ!

 あー、2発しか食べてくれなかったか残念!でも残りの5発はドラゴン君の顔面で大爆発!巨体のドラゴン君も衝撃に負けて後ろに倒れこんじゃった。ふぃー、オウカが動き封じてくれて、ボムこんだけ上げなきゃ倒れてくれないのか―おっと、オウカが前脚離しちゃったのかな?私も跳躍して回避しなきゃ!


「とーぅ!」


 前脚から飛び跳ねくるくると回転し地面に着地しようとした私。その時ね、凄いもの見えちゃった。


「どおらあああああああああ!!!」


 え?オウカドラゴン君の尻尾、斬っちゃったの?

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― 新着の感想 ―
[良い点] どっちもえげつない! [一言] オウカなら切るよね~。
[一言] 木刀切りってロマンだよね
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