ファッションヤンキー、黒い劣竜と戦う
「グルァ!!」
まず動いたのは狂劣竜ダリグリカ。どこか変身前のドラゴニュートの声を思わせる様な鳴き声を上げながら前脚を振り下ろしてきた。単調な攻撃ではあるが、私は持ち前の遅さがあるから避けることは出来なさそうだ。安心と信頼の不動嚙行受け止めさせて貰ろうかな。普段だったら防御せずに受け止めるんだけど……これはちょっとね。
「うおっ!?」
不動嚙行とダリグリカの前脚が接触した瞬間、結構な衝撃が私を襲った。ワールドクエストで戦ったリノギガイア宜しく、やはり質量はパワーだわ。体がデカいだけでこんな一撃を悠々と出せるんだから。これ、タンク職じゃなきゃ避けながら攻略するのが正しいんだろうね。
……待て?そもこいつはソロで戦うようなボスなのかな?とりあえず戦ってみよう。幸い受け止めきれた前脚は簡単に払い除けることが出来た。力を込めて踏みつぶそうとした前脚を払い除けられたことで、ダリグリカはバランスを崩し前のめりに倒れ始める。
デカいドラゴンのお腹の下敷きになりたくない私は即"猪突"を発動させ奴の懐を潜り抜け、奴の背後に出る。そこでダリグリカが地面に接触し、地震のような音が響き、突風が私を襲う。まぁ吹き飛ばされないんですけどね?
「さてさて、すっころんどる所悪いけど戦闘中っての忘れんさんな!」
倒れてすぐ動けずにいるダリグリカ。その後ろに立つ私の目の前には奴の体の一部がこれ見よがしに揺れている。私はその無防備な尻尾に――斬モードの不動嚙行で一閃!
「グギャアアアアアアア!!」
中々にダメージが入ったようだね、いい叫び声だ。ただ狩りゲームよろしく尻尾を切断したかったけれど、それは叶わなかった。やっぱり鱗で防がれるかーやっぱり何度も攻撃する必要があるんだろうね。
ようやく起き上がったダリグリカ。その目には変わらず憤怒の色が見える。転ばされて上に尻尾斬られちゃ当然か。次はどうするのかな?ただの攻撃であれば今のところ防げそうではあるけど……ん?息吸ってません?それも普通の呼吸じゃなくて大声を出す前にするような大きく息を吸――
「ってめぇ!」
ダリグリカの行動の意味を悟った私は、すぐに行動に移した。と言って出来ることは奴の行動を止めることだけ。暴龍眼より奴目掛けてレーザーを放った。少しでも邪魔になれば、そう思って撃ったががどうやら遅かったようだ。
レーザーが届くより先にダリグリカはその大きな口をこれでもかと開き、喉奥から荒れ狂う炎を吐き出した。
「くそがっ!!」
「グガァッ!」
悪態をつき、覚悟を決める。ブレス攻撃に防御体勢をとっても意味はないだろう。それならターンアタックに回した方がましだ。残念ながら私には炎に有効なスキルとか持ってないんだよね。トルネイアさーん、暴龍眼にそれっぽいの付けれなかったんですかねー。ってか、今ダリグリカも何か叫んでなかった?ってあつううううううううううい!!
実際は熱くないわけですけれども、こう気分的に。あー、これはあきませんわ。ゴリゴリHP削られてますね。まぁここまで大したダメージを受けてなかったおかげで削り切れるってことは無さそうだけど。
炎の奔流が終わったところで私のHPは半分を切っていた。それに加え、自慢の一張羅もボロボロに……むしろよく持ったね!?まぁ炎で服が消滅されたら目も当てられないしね。ただ、竹輪天さんに修理してもらわなきゃなぁ。
む、よく見るとダリグリカの眼の辺りに一筋の傷が出来てるね。これはあれか、レーザーが炎を搔い潜ってヒットしたのね、ラッキー。
「グルアアアアアアアアア!」
おっと、お次は前脚での横払いですか。ただ、私も黙って受けるわけには行かないんですわ。
「舐めんなやトカゲぇ!!」
打モードに切り替えた不動嚙行で迎え撃つ。ターンアタックの効果も一役買い、かなりの重量感があったけど、弾き返すことに成功。手が多少痺れるけど仕方ない。
お次は、ダリグリカは再び口をぱっくりと開く。またブレスかと思いきや、違った。突っ込んできた!こいつ、噛みつくつもり!?待って流石にそのサイズの噛みつき攻撃はもはやギロチン並なんですがそれは!……うん?口を開けて突っ込む?えーっと、チャンスだと思うのでレーザー。
「グギャアアアアアアアアアア!!」
あぁ、私に届く前にレーザーが口内に直撃して悶え、転がっちゃったよ。然しものドラゴンも中からの攻撃には弱いようだね。……流石に腹の中に入って暴れるのは御免被りたいけど。
さて、奴が苦しんでいる間、ただ見ているわけには行かない。少し危なくはあるけれど攻撃を繰り出す。やはり、大したダメージは出ないけれどこういうのは積み重ねだ。どんどん隙を作らせてそのうちに攻撃を……っとそうだ。バンテージに切り替えて拳でも殴らなきゃね。レーザー2発も撃ったおかげでMPがもはやカツカツだからね。
もしかしてこれを繰り返していれば勝てるのでは?そう思った自分を恨めしく思った。フラグ立てちゃったよ。
「グルルルルル……ガァア!!」
一定数まで体力を削ったからか、はたまた私のフラグ建設に気付いたのかは分からないけど、ダリグリカは今までにない行動をとった。というか、今までなんでその手を取らなかったのか。お前の背中のそれは飾りではなかったんだね……でもさ
「俺相手に飛ぶのはちょっと卑怯じゃろうが」
しかもまたこいつ息吸ってますよ。




