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ファッションヤンキーちゃんのVRMMO記  作者:


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ファッションヤンキー、道中で

 はぁい、私オウカ!今、第3の街トレトゥレスに向けて、バイク型ゴーレムの犀繰に乗ってブイブイいわせてるの!道中のモンスターを轢き殺しながら進むのは最高だぜ!って言いたいところなんだけど……流石に一轢きでは倒れてくれなくなった。いや、轢き飛ばせてはいるんだけどね。ただ、一々戻ってとどめを刺すのは正直面倒だったりする。でも私が弱らせたモンスターをたまにすれ違う見ず知らずのプレイヤーが倒すのは少しモヤる。

 いい加減学んだ私は、一撃で倒せるモンスターと倒せないモンスターを覚え――るのは面倒だったのでそこら辺は犀繰に任せることにした。いやぁ、犀繰くんマジ賢い。ちなみに倒せるモンスターはゴブリンとかスライムの雑魚モンスターの上位種。倒せないのは今まで見たことの無い、狼なのに群れを成さず、1匹しかいないロンリーウルフとか牛の体に虎の顔、白鳥のような翼を付けたキメイラとかそんなモンスターが多かった。とはいえ、一轢きで結構削れるので倒すのに苦労はあまりしなかったかな。


「のぉ、トレトゥレスにはどれくらいで着くん?」

『……まだ掛かりそうだ』


 思っていた以上に離れていたんだね。いや、案外こんなものなのかもしれない。とは言え、こうもモンスターを轢いてばかりだと飽きてくる。歩けばいい?ハハッ着くのが遅くなるでしょ?それなら私は速度を優先させるよ。

 なんて思っていたその時、違和感を覚えた。プレイヤーとすれ違わなくなった。後ろを確認するとやはり誰も見えない。この現象には見覚えがある。あれはポートガス街道で盗賊と遭遇した時だったね。ってことは今回もまたクエストみたいなものが発生するのかな?


『む。姉貴、前方に生体反応。ヒューマだ』

「あん?」


 辺りを見渡す私は、犀繰の声で進路方向である前方に視線を向ける。おっと?確かに何人か人がいる。けれども、倒れ伏していることからあまりいい状況ではないかもしれない。まぁ犀繰が生体反応って言ってるってことは生きてはいるんだろう。

 速度を落としながら倒れている一団に近づく。遠くから見たら分からなかったけど、倒れている数人はズタズタではあるが、防具を身に着けており、その手元には剣や弓といった武器が転がっている。んでもう1人。その人、妙に豪華というか色鮮やかな服着てるんだよねぇ……間違いなくお偉いさん。

 ここで見捨てるのは簡単だけどなぁ。ヤンキーとしてそれは如何なものか。悪のヤンキーだったら意識失ってるうちに装備とか金目の物盗るんだろうけど……無視して命を落としてもなんだし助けてみようか。襲ってきたらそれこそ倒せばいい。あれ?私の見た目なら襲われる可能性高くない?


「犀繰、こいつらにポーションぶっかけるからお前も手伝え」

『了解だ』


 ぶっかけるのは初級ポーション1つずつだけどな!中級ポーションはもったいないし、貴重な回復手段だ。贅沢は言わないでね!

 犀繰の協力の元、滞りなくポーションを行き渡らせることが出来た。んで、最後の1人にぶっかけた所で、最初にポーションを使った豪華な服を着た人が呻き声を上げながら顔を上げた。あら、中々立派な白髭を蓄えたナイスミドル。


「う、あ……い、生きているのか……」

「おう、おはようさん」

「っ!?お、お前は何者だ」


 お?悲鳴上げられると思いきや呑み込んで私が何者か聞いてきた。肝座ってらっしゃるんですね。


「何者と言われてものぉ、通りすがりのヤンキー……渡界者じゃけど」


 通りすがりのライダーと言ってもよかったんだけど職業は譲れない。


「渡界者?……なるほど、その奇抜な格好。納得がいく」

「分かってくれて何よりじゃあのぉ」


 このヤンキーファッションは奇抜か、間違いではないね。さて、何でこんな道の真ん中で倒れていたか聞かねばね。助けたんだから聞く権利くらいはあるでしょう。おや、他の連中も起き始めたかな?


「のぉ、アンタ」

「っ!そうだ!おい渡界者!儂に似た服を着た年若い娘はいなかったか!?」

「ア?いや、見とらんけど?犀繰!」

『冒険者のヒューマはいるが、そこのヒューマが言うような者はこの場にはいない』

「じゃと」


 私、索敵とか苦手だけど犀繰はその穴を埋めてくれるくらいにはその能力がある。その犀繰が言うのならいないんでしょ。その言葉を聞いたナイスミドルは拳を固め悔しそうに呻き声を上げる。何、襲撃されて娘さんでも攫われた?なら思った以上に面倒ごとの予感だね。だけど、こう言っちゃなんだけど面白そうだ。


「爺さん、俺ぁそこの犀繰に乗ってかなりの速度で移動できるんじゃけど」


 そこで言葉を区切りナイスミドルの反応を窺う。爺さんはハッと顔を上げ私をじっと見つめる。イヤン。……ってか本当に暴龍眼に物怖じしないのね。


「恥を忍んで頼む……っ!攫われたフェリーン様をお助けしてもらえないだろうかッ!!」


"特殊クエスト フェリーンを奪還せよ 発生しました。受注しますか?"


「おう、任せぇや」


 ……あれ?実の娘に様ってつけるっけ?

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― 新着の感想 ―
[良い点] じじい、スゲーな。 [気になる点] 実の娘とはいってないぞ。 年若い娘だよ。
[一言] 思い出すのはベラ・ロナ様かな、あれもちょっと違うか
[一言] 偉い人より偉い人 王族?
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