ファッションヤンキー、イベントを終える
はい、パックンさんに惨敗しました。ま、勝てるといいなくらいに思っていたからダメージは少ない。むしろ、パックンさんを怒らせるほどには追い込んだと考えればいい結果なんじゃないかな?
それにしても、パックンさん強かったなぁ。あれで生産職ってんだからたまったもんじゃない。が、逆に言えば生産職でもあれほど強くなれるんだ。私も頑張ろう。強くなる方法といえば――やっぱりレベリングとかするべきなんだろうけど、今日はイベント3日目だ。そんなことをする余裕はとてもじゃないけれど無い。今日はとことん、イベントに潜ってやろうじゃないか!
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『姉貴、大丈夫か』
「だめ。疲れた。」
バイク状態の犀繰に乗り、だらけるように空を見上げる。現時刻、22時。はい、私疲れた。今日は街から一歩も出ずに潜っていたけれど、やりすぎて何戦したかもうカウントするのも忘れてしまったよ。ただ、感覚的に負けより勝ちの方が多いと思う。やっぱり暴龍眼のお陰かな?頼り過ぎってのは良くないかもしれないけど、それでも勝ちに起因しているのは間違いない。これはスキルを昇華させてくれたトルネイアに感謝せねば。
ちょくちょくパックンさんみたいに予定以上に状態異常が解除されている人がいたけれど、おそらくその人たちは私よりもレベルが高いか状態異常耐性のスキルを持っていたんだろう。もしくは怖がられていなかったか。
『勝率、53%。半分以上勝てれば十分だろう』
「ハッ、パッとせんのぉ」
犀繰から告げられた今回の戦歴に自嘲気味に笑う。欲を言えばもうちょっと勝ちたかった。強くなったつもりだったけどままならないなぁ。私の理想とするヤンキーには程遠い、そう思えてしまう。これはあれだ。新天地に赴くしかあるまいね。
「犀繰、明日から過酷なところ行くけぇよ」
『了解だ。俺は姉貴の望むところへ運ぶ。そのために生まれたからな』
そういや結局シャドルとはマッチングしなかったなぁ。それを含めて自分の強さを再認識できたいいイベントだった。もっと強くなろう。改めてそう決意し、私はログアウトした。これ以上AFWしているわけにもいかないからね!眠いからね!
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「今回の催し、中々盛況だったね?」
「開始時はどうなるかと思ったけどな!全く創造主も俺らの言う通りにサレンダーでもポイントはいるようにしてりゃ荒れなくてすんだんだ!」
「まま。軌道修正したんだから落ち着きなって。それよりも、渡界者達も結構レベルアップしてるみたいだね。僕もビックリだ」
「中にはー個性的なのもいるけどーそれも味だよねー」
「同意。突出した者がいるからこそ、周囲が盛り上がる故」
「っとそうだそうだ。龍たち、どうしてる?」
「おう、赤は自宅警備員してんな。青は深海を散歩。翠は竜巻で遊んで、紫は子を産んで親は爆睡中だな。黄は祀られてるが飽きてきてんな、ありゃ。闇は……あぁ、いた。あいつまだ人に化けてんのかよ」
「自由だなぁ。創造主、もうちょっと威厳持たしたらよかったのに」
「おっ?」
「どーしたのー?クギ」
「王族と関わった渡界者はっけーん。いいねぇ」
「帝国に入国したのもいますね。」
「ねぇ、そろそろ龍人種とか動かしてもいいんじゃないのう?」
「だね」
「賛成!」
「結構二次職になってきた渡界者も増えてきたし、新しい刺激は必要だよね」
「楽しんでくれるといいね!――まぁ、楽しめるだけだといいんだけどね!」




