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初診

2018年4月、私はうつ病と診断された。

夜勤を含むストレスの多い接客業。

明けでの自主勉強や職場改善活動(無賃)。

原因は仕事だろう。

これは絶対に潰れない会社で、自分が潰れる可能性を考えずに就職活動をした私への罰だ。


「お前は甘えているだけだ」「高卒で働いている人はもっと頑張っている」「精神科に通っているお前は頭がおかしい」


面と向かって母親に言われた。死にたかった。


こんな状態の時産業医に勧められたのが今通っている精神科「キラキラクリニック」である。


「精神科」と聞いて「キラキラ✨」と思う人は少なめだと思う。

壁がクッションでてきた部屋、監視下に置かれている入院患者、注射すると一撃で眠りにつく薬…もしかしたらそんなイメージかもしれない。少なくとも親からキチガイ扱いを受けた私にとっては少し怖い所だった。


初診の日、久しぶりに乗る電車からはオフィスが入っているビルが見えた。少し前まではあの一角で私は働いていたのに…。

絶望的な気持ちでクリニックの門をくぐった。


「めいこちゃーん、こちらへどーぞー」


30分ほど待って診察室へ。

緊張していた。吐き気がした。


「失礼します…」


「いらっしゃーい、んで?アンタは何に困ってんの?」



目の前の先生はゴリゴリの体育系。

芸能人で言うとケ○コバさんとかプロレスラーにいそうな見た目なのに…。


「ちょっ、泣かないでよ。まだ何も話してないじゃない!?」


めっちゃオネエだった。


「し、仕事に行げなくなっで…。生きでるのが…悲じい!」

「そっか…辛かったね。とりあえず鼻水かむ?」

「ずみまぜん」(鼻ちーん)



「仕事ってしんどいよね。わかるわかる。アンタの業種うつ多いしサ」

「生きる為に仕事してるのに…仕事する為に生きてるみたいで…」

「それじゃ不満?」

「…」

「今日アンタに言えることは一つだけ」





「アンタの人生の1番って何?」





私の人生の1番…?




社会人になってから働くことが一番だと思っていた。


働いて親孝行しよう!

働いて欲しかったものを買おう!

働いて自立しよう!


全てが「働く」前提で考えていた。

だって大人なんだから。

みんな社会人として頑張っているんだから。

人間は1人じゃ生きて行けないけど、1人で生きていかないといけないんだから。


働く理由なんて人それぞれだ。


でもそれで私は幸せになれた?


うつ病になって、親にたくさん心配をかけた。

会社の方々にたくさん迷惑をかけた。

友達に気を遣わせた。


これが私の「人生の1番」…?


「仕事が人生の1番の人もいる。でもそうじゃない人もいる。でもネ、仕事してて辛くて苦しくて思い出すだけで泣くくらいなら、それはアンタの1番じゃない。アンタがアンタの人生の1番を大切にできるようになるまで、診断書には休職させるよう書いとくから。」


「(;_;)」


「もぉ〜泣かない!また再来週会お!そんで話そ!」


「(;_;)」


「返事は?」


「…はぃ」


「よし!じゃあ早く帰って寝な!」


「はい」


「怖かっただろうによく来れたね。

よく頑張った。」



私の人生の1番は何だろう。

帰りの電車の中で考えた。

行きに見た時はギラギラと陽の光を反射していたビルに、優しい夕日が映っていた。

「アンタの人生の一番って何?」

何か大きな決断を迫られるときはこの言葉とオカマの先生を思い出してください。

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