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月に願いを。月に想いを。  作者: 小鳥遊 雪都
月が綺麗ですね・・・。
1/9

皿の割れる音。

長編掲載前の手慣らし的な感じで書いていけたらと思います。

最後までお付き合い頂けたら幸いです。

次の日曜日はお休みですか? とメッセージを打ち、一呼吸置いて私は送信ボタンをタップした。


送信ボタンをタップしてすぐに表示された「既読」の二文字・・・。

その「既読」の付く速さに私はいつもと同じように笑んでいた。


そして、その「既読」の二文字が付いてからすぐに私の問いに対する答えは返ってきた。

その返ってきた答えに私はすぐに目を通し、また笑んでいた。

返ってきた答えは『休みの予定だから寝させて』だけだった。


絵文字も顔文字も何の飾りもない文字だけのその答え・・・。


もし、メッセージのやり取りの相手が紫月しづきさんでなければ私はすぐに『ごめんなさい』とメッセージを打って送信ボタンをタップしているだろう。


けれど、今、私とメッセージのやり取りをしているのはその紫月しづきさん本人だ。


だから私は『寝てていいのでお邪魔させてください』とメッセージを打ち込み、再び送信ボタンをタップして部屋の照明を切り、目を閉じた。


また『紫月しづきさんでなければ・・・』と言わなければならないのだけれど、メッセージのやり取りの相手が紫月しづきさんでなければ私は部屋の照明も切らず、目を閉じることもなく、メッセージの返信が返ってくるのをまだか、まだかと起きて待っているだろう。


そう。それは一晩中だって・・・。


けれど、紫月しづきさんにはそんな気を遣わない。

しかし、はじめの頃にはそんな気を遣って起きていた。


それも毎晩、毎晩・・・。


その結果、私は体調を崩し、その体調不良の原因を紫月しづきさんからしつこく問い詰められ、紫月しづきさんからの返信を待っていて寝ていなかったことを仕方なく白状した結果、私は紫月しづきさんからこっぴどく叱られ、お腹いっぱいになるほどの嫌味を言われてしまった。


それ以降、私は眠くなったら紫月しづきさんからの返信がなくても寝るようにしている。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ふと、真夜中に目が覚めた・・・。


常夜灯のぼんやりとしたオレンジ色の灯りに照らされた私の一人部屋・・・。


静かだ・・・。


そう思ったと同時にお皿の割れる鋭い音が聞こえてきて、その鋭い音にまだ半分眠っていた私の意識は無理矢理に叩き起こされ、今まで静かだった私の心臓は嫌にドキドキと高鳴っていた。


こんな真夜中にお皿の割れる音が聞こえるなんておかしい・・・。


そんなことをベッドの中でドキドキしながら思っているとお皿の割れる音がなぜ、聞こえてきたのかがわかった。


その理由はケンカだ・・・。


私のお父さんとお母さんがケンカをしている・・・。

怒鳴るお父さんの声にお皿の割れる音・・・。

悲鳴のようなお母さんの声に私は堪らずベッドから飛び出して二人が言い争っているであろうリビングへと向かって行った・・・。


『もう終わりだよっ!!』


そう叫ぶお父さんの怒鳴り声に私の足の動きは呆気なく止められた・・・。


『私のことはいいわよっ!! けれど、かなえは貴方の子でしょ!?』


お母さんのその悲鳴のような声に私はようやく足を動かし、こそこそとリビングの戸を少しだけ開けて中の様子を窺った。


リビングの灯りは煌々と灯っていて明るかった。

それ故に中の様子が丸わかりで私は苦しかった・・・。


床には割れたお皿と夕飯に出されたお母さんの手作りのおかずが無惨に転がっていた。

その横でお母さんは床に座り込んで泣いていた。

そんなお母さんをお父さんは立ったままとても怖い顔をして見つめていた・・・。


お父さんとお母さんは最近、ずっとケンカをしている・・・。

私の前では仲のいいふりをして・・・。


「もういい・・・別れてくれ・・・」


そうポツリと言葉を発したのはお父さんだった。

お父さんの発したその言葉に私は項垂れた。

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