女騎士
ー道中ー
「イズルさ〜ん、待って下さ〜い...」
イズルの後ろを歩いているアリサがヘロヘロになりながら呼びかける。
「ああ、すまん すまんちょっと急ぎ足だったな。そこの木で休憩しようか」
「そうしましょ〜〜」
ギンと戦っている時は目の前に集中して気にしてなかったが今日は日差しが眩しい。アリサのような華奢な女の子がこんな日差しがきつい中長い間歩いていると疲れるのも無理はないだろう。
イズルは木陰へ連れて行ってやり水筒の水を飲み休憩することにした。
「ふ〜疲れた〜、今日は日差しがきつくて倒れちゃいそうですねー」
「けどここまで歩いてこれたじゃないか 大したもんだよ」
「えへ〜褒められた〜」
アリサは頬に両手をやり恥ずかしそうな振る舞いをしている
「後はこっからどれくらい掛かるんだ?」
「地図だともうそろそろ見えてくると思うんですけどねえ」
「まあもうちょっとって事だな、気を引き締めて頑張っていこうか」
「はーい」
再び二人が歩き出す頃には太陽は雲に隠れ歩きやすい天気になっていた。
しばらく歩いていると先行しているイズルの眼に飛び込んできたのは
「壁・・・?」
大きな壁がある、、俺たちがいた町とは全く違う
帝都だか王都なんて言葉がよく似合う迫力ある町だった。
それと同時にこの壁の出入り口と思われる門へと続く道から一人こちらへ向かって歩いてきているのが見えた。髪が長く金髪で鎧を着込んでいる騎士という奴なのだろうか 初めて見た
イズルがそんなことを考えているとその金髪はこちらに気づいた様で指を差し、何かを叫び始めた。
「アリサ、アイツなに言ってるか聴こえるか?」
「よく聴こえないですね」
「もうちょっと近づいてみるか」
こちらが歩き出すと向こうも何か叫びながら向かってきている
「なんて言ってるんだ...」
「この...私...成敗...くらいは聞こえました」
近づいて見て分かったことが2つと分からないことが一つできた
こいつは俺の事を鬼の形相で睨んでいる事、もう一つは俺を悪党だと叫んでいる事
そして分からないのは
今こいつが剣を抜いた事
「覚悟しろ!!!このひとでなし!!!」
金髪は剣を構えこちらに向かって走ってきた
やべえ...何だよこいつ...何でいきなり罵倒されてんだよ
「イズルさん!!」
アリサの声でふと我に返った俺は即座に剣を鞘から抜き応戦の構えをとった
2ndリミッター 解除
イズルの体から青色の闘気が溢れ出す
金髪は一瞬戸惑いを見せたが臆さず こちらに飛びかかってきた。
こちらを真っ二つにせんばかりの空中からダイナミックな振り下ろし、これをイズルは片手に持った剣でガードする。
「き、貴様!!いつの間にその様な力を持った!!」
金髪が動揺している中、イズルは別の事を考えていた
(え、こいつめちゃくちゃいい匂い・・・)
気が緩んだイズルは刃先の方を下の方に向かし偶然にも金髪の剣を受け流す形になった。足が地付いてない金髪は刃先の方へ剣を滑べらしてしまいバランスを崩しそのまま地面にうつ伏せで倒れてしまった。
「あ、すまん」
イズルが謝り心配しているが金髪は動こうとしない。打ち所が悪かったのか心配になり無理やり起こして様子を見ると、金髪は悔しそうに泣いていた。
「くっ・・・!!殺せ!!」
女騎士みたいな事を言い始めた
「お前みたいな人でなしの屑に負けるとは...私に生きている価値などない!!殺せ!」
さっきから俺のメンタルをどんどん削っていってやがる ある意味強敵だ
「あのー・・イズルさんのお知り合いですか?」
アリサがそう問いかける
「イズル?誰だそいつは、私が用があったのはこの黒髪のこいつだ!こいつは[毒蛇]と呼ばれる盗賊団の一人だ。体に蛇の刺青があるのがその証拠だ!!」
「いや、俺にそんな刺青無いんですけど...」
「嘘をつけ!その根暗っぽい顔つきどう見てもヒューイだろ!その女の子も何処から攫ってきたんだ!」
根暗でもないし攫ってもいない、やめてくれさっきから俺のメンタルを削るのは
「私攫われていませんよ?それにこの人はヒューイなんて名前じゃなくイズルって名前ですよ」
「え・・・それじゃあ私は勘違いをしていたのか・・・?」
おい、なんでアリサの話にはちゃんと耳をかすんだ
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アリサ説明後
「すまない!私の早とちりだった!」
「その早とちりで殺されそうになったけどな」
「うぐっ・・!!...分かった、貴様の望みは私の体何だろう、好きにするがいいさ!」
「しねーよ!別にお前の体なんて興味ねーよ!!」
「なぜだ!私は女騎士だぞ!!興奮しないはずが無いだろう!?」
「なんでそんなオープンなんだよ!女騎士って言うのはなあ、もっと反抗的な感じが・・・」
「イズルさん・・・」
アリサの存在を忘れていた。これでは俺まで変態みたいな感じになってしまう
「と、取り敢えずもうこれでお終い、俺たち【カルム】に行くから、な?アリサ」
「そ、そうですね...」
そんなよそよそしい態度とらないでくれ、悪いのは全部この金髪なんだ
「そうだったのか、それなら私が案内しようか?街の案内も騎士として当然の務めだ」
「できんの?」
「案内くらい私にだって出来る!まかせとけ!」
アリサと二人で話し合った結果、少し不安だが まあ悪い人じゃ無さそうだしいいんじゃない?という事で話はついた。
「おお!そうか!まあ私に任せてくれ!」
「そう言えば自己紹介がまだだったな。
私の名前はイーリア 少しの間よろしく頼むぞ!」
イーリアは少し微笑み二人と共に街に入るのであった。