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ギルド

ギルドについた


扉を開け 中に入ってみるとそこには誰もいなかった。


「おーい、誰かいないのか」


・・・反応が無い 誰もいないようだ。



「あのー・・どなたですか・・?」


前言撤回、誰かいたようだ


バーカウンターの裏に隠れていたのであろう、白い髪の女の子が顔だけこっちに覗かせて警戒した様子を見せていた。



「いや、怪しい者じゃない ただ冒険者の登録?がしたいだけなんだが」


「ああ・・そうだったんですか。けど私・・今はギルドの留守番を任されているだけなので・・冒険者の登録手続きは出来ないんです」


「そうか・・ならできる人が来るまでここで待たせてもらおうかな」


「わかりました、それなら何か飲まれますか?それくらいなら私にも用意できますので」


確かに喉が渇いた、できる事なら何か飲みたい しかしこちらに来たばかりで俺には手持ちが無かった。


「悪いが今手持ちが無いんだ、気持ちだけ受け取っておくよ」


しかし 女の子は優しく微笑んで


「新しい冒険者に先輩からの少しばかりのお祝いですよ 遠慮しないでください」


なんと優しい・・ここには女神がいたようだ


俺は彼女から頂いた飲み物を一気に飲み干した


「・・!!美味しい」


空のグラスを名残惜しそうに覗いていると先ほどの彼女の言葉に疑問を抱いた。


「そういえばさっき 君は自分の事を先輩だと言ったが・・」


「そうですよ?私だって一応、冒険者なんですから」


意外だった およそ冒険者に見えない華奢な体つきに この装い メイドや家政婦の類にしか見えなかったからだ。


「長いのか?」


「いや・・まだここに入って1ヶ月程です・・、まだ一人でダンジョンにすら潜ったことが無くて・・」


「ダンジョン?」


「あれ?ダンジョンをご存知無いのですか?もしかして、すごい遠い所からいらっしゃったんですか?」


すごい遠い所・・ああそれは間違い無いだろう、この世界のどこよりも遠い所だ


「ダンジョンというのはこの世界で起きる現象みたいなものですかね。昨日までなにも無かった所にいつの間にか塔が立っていたり、地下への洞窟が出来ていたりするんですよ」


「それだけじゃ無いです。そのダンジョンの中には強いモンスターが沢山いて、普通の冒険者なら半分も行けず帰って来ることも珍しくありません」



「けど、そこに挑むってことは そこにはなにか、冒険者を惹かせる特別な物があるんじゃ無いか?」


「そう!そうなんですよ!」


彼女は顔と顔がくっつきそうな程、バーカウンター越しに身を乗り出してきた。



「やっぱり皆さん目当てはお宝なんだと思います。ダンジョンの最深部には主と呼ばれるそのダンジョンで一番強いモンスターが居ますが それさえ倒せれば多くのお宝を得ることができます!しかし私自身としてはお宝が目当てというより 何があるか分からないという未知への探究心が・・」



そこで彼女は俺がポカーンとしている事に気が付いたのだろう 乗り出していた身を引きながら、


「す、すいません・・!少し熱くなりすぎました・・!」


「あ、ああ いや説明してくれてありがとう。ダンジョンがどういう物か大体わかったよ」


「す、すいません・・」


彼女はダンジョンのオタクというものなのだろうか


「あ、皆さん帰ってきたみたいですよ!!」


露骨に話題を逸らし出した


そう言って屈強な男達が数人ギルドの扉を開けて中に入ってきた。


「お帰りなさい ギンさん。結局、森の方はどうなってたんですか?」


そういって先ほどとは色が違う飲み物を差し出す。


「いや、何があったのか全くわからなかった。ただ、森の動物たちが異様に怯えていたから そこで何かあったのは確かなはずなんだが...」


グラスに入った飲料をぐびっと一気に飲み干し、


「それで」



「こちらの男性客はどちらさんだ?」


と、彼女に問いかけた。


「この方はここで冒険者の手続きをしたいとはるばる遠い所からいらっしゃったんですよ」


俺は軽く会釈をした


「おお、そうだったのか。いや、すまんな

実はこの街の近くで異様な魔力反応があったらギルド総出で調査しに行ってたんだ」


「あ、ああーそうだったんですかー」


俺は怪しまれないよう、精一杯俺じゃ無いぞ感を出していた。


「ああ、自己紹介が遅れたな、俺はこのギルドの副団長をしている ギン ってモンだ。よろしくな」


「あ、そういえば私もまだでしたね。私はアリサって言います、宜しくお願いします」


「あ、俺は・・俺の名前はイズル、イズルって言います、よろしく」


「イズルかあ!変わった名前だな!やっぱ遠い所から来たんだなあ!」


そんなに変な名前なのか、少し自分の名前に自信がなくなった。



「それで、だ イズル」


「?」


「冒険者登録をするにはこのギルドの一人と戦わなくちゃならんねえんだ」


「え?どうしてだ?」


「やっぱ冒険者ってのは楽しいだけじゃない、辛く、厳しい時だってある。時には誰かと戦わなくちゃならない」


「人と争うことに耐えられるかどうかの試験だ。勝とうが負けようがこっちは受け入れるが、たまに怖くなってやっぱり辞めるって奴が居るんだよ」


「まあ、そのための選別ってやつだ。向き不向きって言うのは誰にだってあるからな」



「・・・分かった。その試験、俺受けるよ」


「・・そうか!!なら誰を選ぶ?今ここには俺を含めて8人ほどしかいないが」


その8人には当然、アリサも入っていた。その中で俺は彼を指差した。



「・・・まあ、そりゃそうだわな」




俺が指さしたのはギンだった。



「ええ、ギンさん 俺はこのギルドNO.2のあなたの実力が知りたい」


「舐めんなよー?俺だって相当強いんだからな!」

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