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開戦

『さあ!やってきたぜカルム闘技大会!伝統あるこの大会も今回が記念すべき50回目!優勝商品もいつもより豪華にしているぜー!!けど!!そんなの関係ないよな!?ここで決めるのは最強の座ただ一つ!全ては己の名誉のために!闘え!戦士たちよ!!』


会場の実況アナウンサーが激励している。てかこれそんな伝統ある祭典だったんだな


「だ、大丈夫ですよね?イズルさん」


「そんな心配しなくて大丈夫だよ。それよりイーリアは?」


「元気になったから大会の準備をするって言ってどこかに行ってしまいました...」


「そうか...怪我は大丈夫なのか?」


「はい、傷は治しました。けど治ったからといって直ぐに大会に出るのは...」


「それがらあいつの希望なら仕方ないだろ?どうしても無理ならちゃんと自分から降りるよあいつは」


渋々だがアリサも納得してくれた。やはりまだイーリアの身体が心配なのだろう


「そろそろ開始時刻ですね、頑張ってきてください!」


アリサに背中を押され会場内に入っていくのだった



ーーーーーーーーーーーーーー

コロシアム フィールドにて


『えー皆さん、本日はお集まり頂き有難うございます...なんて堅苦しい挨拶するわけねーだろ!!いいか!?よく聞け!今回は思っていた以上に参加者が多かったんだ!だから今回はまずここで全員でバトルロイヤル形式で戦ってもらう!適当に人数絞られたらこっちで止めるからそれまでは戦い続けろ野郎共!!』


なんてめちゃくちゃな戦いなんだイズルはそう思った。しかし次の瞬間ー


「うおおおおおおお!!!」


あっちこっちで起こる剣のぶつかる音それに参加者の怒号、なんであんな適当な説明で一気にここまでヒートアップするんだ。俺がいたのはフィールドのど真ん中、とりあえず端の方に移動して背後は守らないと360度から狙われる羽目になる。


「くそっ、一旦逃げないと・・・それと」


2ndリミッター 解除


「一応これくらい外してもまあ大丈夫だろ」


体が軽い まあ枷をつけてるだけだから本来はこっちが普通なんだろうけど

そういえばこの闘技大会 武器はおろか魔法の使用も良いらしいそれなら....


「“一天”発動!」


この“一天”は俺がやっていたゲームに出てくる風属性魔法の一つだ。空中に浮くことができ戦略の幅が一気に広がるが魔力の消費は馬鹿にならない。しかしこれがあるのと無いのでは対人戦において文字通り天と地ほどの差があった。

最初はふわっと浮いただけだが途端に上空10m近くまで飛び上がり誰も手の届かないところまで来てしまった。こちらに来て初めて使った魔法だがまるで昔から扱っていたかのように自由自在に動き回ることができた。


「おおう...宙に浮いてる。この空を飛ぶ感覚は気持ちいいな」


イズルが飛んでいるのに気づいた参加者の一人が声を上げる


「お、おい!空なんで飛ぶのはルール違反だろ!?」


その声に気付いた数人が最初に声を上げた男と似たようなことを口走り始めた。


『ん〜?なにがずるいんだ?魔法は使ってもいいんだからそれで浮いてるならルール違反じゃ無いだろ?ていうか対空の用意もしてないで大会に参加してる奴らはそれ以前の問題だから早めにリタイアした方が良いぞ」


よかったルール違反では無いらしい、確かに俺が宙に浮いていることに気づいた者のうち数人は弓を射てきたり銃で撃ってきたり....銃!?この世界銃あるの!?やべえ...めっちゃ欲しい...


「って、うわっ!っと...」


矢がイズルの頬をかすめた


「こんな所まで矢が届くんだ、あれも魔法か何かで強化されてるのか」


最善の逃げ道だと思って空を飛んできたがこれはこれで厄介だ。

雷を落として纏めてダウンさせるにしてもこのフィールドにはイーリアがいる、イーリアだけ当たらないように雷を落とすのはこの段階ではまだ出来ないはずだ。


「くっそう...対空してくるやつに地道に雷撃を当てるしか無いか」


“電磁フィールド”発動!


イズルの体を中心して不可視の電磁場が球体状にフィールド内を覆い尽くす。このフィールドにいる者の行動はイズルには手に取るようにわかる。つまり、弓を射ようとするモーションを起こせばその瞬間に気絶する程度の電撃がイズルの手から放たれる事になる。


ーーーーーーーーーーー

バシッ!バシッ!


「これで全員かな...」


もうフィールド内には弓も銃も使おうとするものは居なかった。それと同時に立っている者もイズルを含め8人程しか残っていなかった。


「まじか...あんなに居たのにもうこんなけしか残ってないのか...」


その8人の中にはイーリアも残っておりまだまだ平然そうに立っていた。


『はいストップー!!そこまで!」


アナウンサーの声が会場中に響き渡る。


『思ったより減っちまったけど有象無象が居るより少数精鋭の方が見応えはあるだろ!』


『この8人でトーナメントを開始する!!組み合わせはこっちで決めるからそれまでは全員控え室で待機しておいてくれ!あと寝転がってるやつの掃除頼むぞー」


アナウンサーがそう言うと何処から現れたのか黒いフードに身を包んだ連中が呪文を口にすると突風が巻き起こり風が止む頃には倒れていた参加者が全員消え去っていた。どうやらワープ魔法の一種らしい


アナウンサーに言われた通り控え室に向かうとイーリアが先に待っていた。


「おつかれ、イズル」


「イーリア!お前体の方は大丈夫なのか?」


「ああ!ぐっすり寝たからなもう大丈夫だ。改めて礼を言うイズル、それとアリサにも礼を伝えといてくれ」


「それはダメだちゃんと自分の口から伝えてやってくれ、お前の事で色々溜め込んでいるみたいだったからな 愚痴ぐらい聞いてやってくれ」


「う、うむ・・・そうか、わかった この大会が終わったら直接出向こう」


「それと・・・俺からも一つ良いか?」


「ん?なんだ?」


「俺たちの戦いで賭けをしないか?」


「賭け?賭けは嫌いじゃないが....どういう内容だ?」


「負けた方は勝った方の言うことを一つ、なんでも聞くこと」


「なんでも...?」


イーリアが恥ずかしそうにしながら一歩引く


「お前!またそんな卑猥な....!」


「違う違う違う!!そんな下の願い事なんてしないから!」


「それなら...どんな願いだ?」


よし食いついた。


「あれれ〜?なんで負けた時の話をするんだ〜?もしかして戦う前から負け認めちゃってる?」


いやなんか違う、俺煽んのめっちゃ下手だな。もっとこう上手く....


「なんだと!私は負けないぞ!これはあれだ一応...そう!い・ち・お・う聞いてやっただけだ!!」


お前もあれだな、煽り耐性が低い部類のやつだな まあこの状況なら有り難いんだけどさ


「その反応はこの賭けを受けるって事で良いんだな?」


「ああ!上等だ!お前も今更無しになんてさせないからな!」


するとーー


『おー野郎共ずいぶん待たせたな!さあ、組み合わせの発表だ!!』




「初戦から....とはいかなかったが戦うのは準決勝でだな」


「それでも決勝を待たずに戦える、ああそれと...多分決勝に登ってくるのはあの男だ」


イーリアが指差す方 そちらを見てみるとイーリアと似たような鎧を着た男が剣の手入れをしていた。


「どちら様?」


「やはり知らないか、あれは帝国騎士団三番隊副隊長のスレイ、今大会の優勝候補筆頭だ。それに私も何度か戦いを挑んだが全て負け、完敗だ」


「めちゃつよじゃん、戦うのが楽しみだ」


「・・・!?ちょっと待て!なに私が負けること前提で話してるんだ!!」


「あ、すまん」



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