カルム
「ようこそ!カルムの街へ!」
門をくぐった門をくぐった二人にイーリアは振り向きながらそう言った。
なんていうか、あれだな、こういうのを中世ヨーロッパ?的な感じっていうんだろうな。月並みな言い方だがいい街なんだろうな
「どうだ、いい街だろ?人は優しいし ほら、川だって流れてる、良いところだろー?」
「何回来てもいい街ですねー、私の住んでいる街とは雰囲気が違います」
「何回か来たことあるんだな」
「ええ、ギンさん達と何度かだけですけどね」
「それで、、どこを案内してほしいんだ?」
「それじゃあまずはコロシアムの方に案内してもらいましょうか?」
「いいのか?別に後でもいいんだけど?」
「私の用事は後回しでも全然平気です。それに私もコロシアムってしっかり見たことなくて気になるんですよ」
「よし、最初はコロシアムだな!ついてきてくれ!」
コロシアムは少し離れたところにあるみたいで長い距離を歩いた。イーリアは案内途中でもいろいろな人に話しかけられその都度少し話軽い会釈をしてまた歩く、老若男女問わずこんなに多く話しかけられるところを見ると随分イーリアは街の人に気に入られているようだ。
「良い人ですよねイーリアさん、見ず知らずの私達にもこんなに優しくしてくれますし」
今度は八百屋の店主にも呼び止められた。また少し顔を出しすぐ戻ってきた
「何度もすまない!八百屋の店主とは顔馴染みでな コロシアムにもちゃんと案内するから許してくれ」
「大丈夫だよ、てかお前顔広すぎないか?すれ違う人ほとんど知り合いみたいじゃないか」
「まあ私は騎士だからな!困ってる人を見過ごせず助けていたらよく声をかけられるようになった」
「凄いですね...でも本当の騎士様って感じがします」
「お、ついたぞ ここがコロシアムだ」
でかい建物、最初はそんな印象を受けた
さっきまでいた街とは違う別の雰囲気が出ていた。真っ黒な門も何か凄みが出ていて物々しい感じだ。
「なんか、、すっごいな」
「ああ、すっごいだろう?私もよくここに出てるんだ。ここじゃ騎士じゃなく戦士として戦っているからな、汗もかけるしすっごい楽しいぞ!次の大会お前達も出るのか?」
「いや私はちょっと、、」
「出るのは俺だけだな」
「そうだよな お前は出るよな!今度こそリベンジしてやるぞ!」
「ああ、でも返り討ちにしてやるからな」
3人で談笑しているとき
イーリア!!!
またしてもイーリアを呼ぶ声がした
しかしその声は今まで聞いてきた声と違い、怒鳴るような声だった
「貴様!!こんなところで何をしている!!」
振り返ってみると大人数の騎士が行列を作りこちらに歩いていた。その最前にいる金髪の坊ちゃんヘアーの男、その男こそが声の元凶だった。
「騎士団長・・・」
先ほどまでのイーリアの雰囲気が一変し少し冷たい感じがした。
「俺は何をしているのかと聞いているのだが?」
「私は・・・私はこの者たちの街案内をしておりました。」
「そうではない!!」
再び怒鳴り声を上げる
「私が聞きたいのはなぜここで油を売っているのかと聞いているのだ!!
貴様には物資の調達に行くという使命があったはずだ!!」
「あのような任務半日もあれば・・・」
「馬鹿者!!!少しでも早く終わらせ私の元へ戻ってくるのが当たり前だろう!!」
「しかし、兄様...私は騎士としての本分を...」
バシンッ!!!
金髪がイーリアの頬をはたいた
「私の事は騎士団長と呼べと言っているだろう!!なにが騎士の本分だ、お前は私の命令に従っていればいいんだ」
「しかし私は...」
「まだ口答えするか!!この・・・!!」
再びイーリアを叩こうとする、しかし・・・
イズルが金髪の手を止めた
「貴様...!なんのつもりだ!?」
「いやあ、すいませんね。今この人に案内してもらってるんであんま時間取らないで貰えます?」
「何をふざけた事を・・・!騎士に逆らう事がどれ程の罪になるか分かっているのか!?」
「さあ、、生憎こっちに来たばっかでここの法律はわかんねーんだわ」
「ふんっ!それなら体に分からせてやるわ!やれ!!」
騎士団長がそう言うと後ろにいた騎士が何人か剣を抜きこちらに襲いかかってきた
「おいおい、、ただの旅人相手に剣を抜くかね」
襲いかかってくる騎士の剣を右へ左へ半身でかわしていき首元へ少し電撃をくわえる、簡易のスタンガンのようなものだ
食らった騎士は全員がのびてしまった
「おう、団長殿 あんたはこないのか?」
わかりやすい挑発をしてみる
「う、うるさい!おい!お前たちも行け!!」
残った騎士を総動員してこっちに向かわせてくるみたいだ 別にそれでも構わんが
「おういいぜ、お前らもかかってこいや」
しかし、イーリアに腕を思いっきり引っ張られた
「おい逃げるぞ!!」
そのまま引っ張られながらアリサと3人で逃げていく事になった
「お、おい!離せって!あいつら全員ぶっ飛ばしてやるよ!」
「だめだ!これ以上騒ぎを大きくしたら本当に投獄されるぞ!」
「けどお前は身分も割れてるんだから意味ないだろ!?」
「それでもお前たちは逃げられる!捕まるのは私だけでいい!いいから行くぞ!!
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路地裏にて
「ハァ...ハァ...も、もう大丈夫ですか??」
「ああ、ここまできたら大丈夫だ...しかしイズル、お前は無茶しすぎだ...」
「なんだよ、悪いのはあいつらだろ?」
「それでもだ、この街で騎士に逆らうのは命取りすぎる。次からはあまり関わるな」
「分かったよ...あ、でもコロシアムに出られなくなるんじゃ...」
「大丈夫だ、あの男は大会なんぞに興味はないバレることは無いよ」
「そ、そうかよかった」
ホッと胸をなでおろす
「とにかくもう今日はもう戻れ、泊まるところがないなら私が斡旋してやる。あとイズル、大会の申請も私がやっておいてやる
「あ、有難うございます!取り敢えず今日の泊まるところは一安心ですね!」
「取り敢えずな」
イーリアに紹介して貰った宿屋に向かいながら二人のカルムでの激動の1日は終わっていくのだった。