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ステージ1-9・魔法です!ほら見て魔法!魔法だよ!(本編の主人公はそこまでテンション高くありません。予めご了承下さい)

世界の法則というものは理不尽なもので物理的に、計算上では……など『絶対にできないこと』がある。

例えば深海5000mで1週間サバイバル生活をする……なんていう企画を立てたとしよう。

潜水艦があればもしかしたら出来るかもしれない。でも生身でやれと言われたらNOと答えるほかないだろう。


そう、人間には限界がある。

人間……生命はこの世界の絶対法則によって常に制限されているのだ。


何を当たり前のことを言ってんだ?そう問われる者もいるだろう。ごもっともだ。そんな当たり前のこと、別に俺に言わなくたってわかるだろ?なんて思ってるかもしれない。

だけど、それはあくまで地球という狭い世界での話だ。


ほかの世界ではその『世界の絶対法則』が違うのは道理だろう。

逆に地球で出来ていたことがそこでは出来ないという『絶対法則』だってあるだろう。


それの代表的な例が『魔法』であり、この世界で常識でも地球では常識ではないものだ。

逆に出来なくなってしまったことの代表的な例は『長く生きる』であろうと思う。

この世界はそういう危険な世界だ。

誰も彼もがすぐに死んでしまう。


だけどその代わりに救済措置もあったりするらしい。


異世界とは常識が違うものだ。元の世界の常識を当てはめてはいけないのだ。


そう、この世界では3歳児でも魔法を使える。

俺はこの世界でポンチョを使って魔法を何度も使っている以上魔法は使えるのである。


そう、魔法を使えるのである。


「じゃあ魔法の使い方なんだけど、とっても簡単で希望を持ってそれを使いたいと願えばいいだけなの。」


だが、説明はなんと三十文字以内で簡潔にまとめられてしまった。

長々と魔法とはどういうものでどういう何なのか説明した挙句、説明は三十文字以内で簡潔にまとめられてしまったのである。

ちなみに文句はない。俺は


「なるほど」


と一言言って

さっそく目を瞑って希望を持って魔法を使いたいと願う。

……希望を持って願う。

希望を持って……

希望を持つってなんだ?と考える。

そんなことを瞬時にやっているとホムルンが


「でも、魔法を使う時にする希望っていうのはどれだけその人がそれを希望しているかなんだよ。例えば火事が起きたとする。すると鎮火部隊がやってきてそれを消してくれるんだけどね。その時一番『火を消したい』と希望しているのは鎮火部隊ではなくてその家の人たちなの。だからその鎮火部隊よりも多く火事を鎮火させるとこができるって訳よ。」


と補足説明してくれた。おそらく補足説明をしてくれたのではなく俺が話の途中で勝手にやり始めただけなのだろう。

俺はそれを悟られないように目を瞑ったまま腕を組んでうんうんと頷く。


「つまり、魔法っていうのは自分の希望を具現化する技術。だから一番『そうしたい』と思ってる人が、一番『そうしたい』と思ってる事が一番強い魔法になるんだ。」


つまり……


「今一番やりたいことをやりたいと願えばそれが叶う。それが魔法。ほら、やってみな。」


俺は今やりたいことがなにか考える。


帰りたい?いや、俺は勉強をしなければ何も出来ないあの現実社会とやらにうんざりしていたはずだ。

親はいない。

いつかはあの親戚の家も出ていかなければならなかった。なら、今この世界で新たな生活をするのも悪くないと思っている自分もいる。

自分はただの居候なので帰る家がなかった。でも、今はここが帰る家になっている気がする。

親戚のおじさんおばさん、義理の姉妹達にはあれだが……俺はここにいたいのかもしれない。

この生活がわりとしょうに合っているのかもしれない。

ゆえに今日1日働いて帰りたいとは思わなかった。

帰りたいという気持ちはあるが『諦めている』というのもあって今1番やりたいことではないだろう。


炎を出したい?やはりファンタジーの定番といえば火を出すことだろう。だけど今は寒くもないし料理をしたいとも思っていない。炎はカッコイイけど別に今出したいものではない。

炎を出したいという気持ちはあるが『今必要ない』ならば今1番やりたいことではないだろう。


空を飛びたい?今日1日仕事をするにあたって午前中ずっと空を飛んでいたのでそこまで飛びたいとも思わない。


水を出したい?


時を止めたい?


……


……


……俺は今、何をしたいんだろう?


……俺は今、何のために生きているんだろう?


「あれ?急に黙り込んでどうしたの?私そんなに難しいこと言ったっけ?」


その声を聞いてハッと顔を上げる。

いつもの悪い癖だ。いつも深読みしてしまう。そのせいで魔法も発動しやしない。

3歳児でも使えるのに俺はなんとポンコツなことか。


「いや、ごめん。ちょっと考え事してた。」


「ふーん……魔法を始めて使うってそんな感じなのかな?」


ホムルンは少し考えたが首を傾げて納得してくれた。


俺はその可愛らしい姿を見て苦笑してからもう一度考える。


自分の今一番やりたいこと……それは……


俺は一つ思いつき、それを発動させた。


…………


………


……



数分後、俺達は部屋に帰ってきていた。


「サトリ、あんたあの魔法はなに?」


「え?わかんないけど……やりたいことを願ったらあれが出た。」


そう言うサトリの手には一つのノートが握られていた。

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