ステージ1-6・アルバイト、マジでお前ら、何してる?
さて、異世界にもしやってきたら主人公達は一体何をするか?
また、異世界にもしやって来たらあなた達は一体何をするか?
答えは様々だろう。だが、その全ては希望的観測であり異世界にそれが本当にあるかはわからないのではないのではないだろうか?
例えばこの質問に『ギルドに入る!』と答えた者がいたとしよう。
だがギルドとはそもそも『中世ヨーロッパ』で商人たちが発足した職業別の組合のことである。なので『ギルド』と名乗る職業別の組合は無いのではないだろうか?
それを抜きに、魔獣を倒したりするののがギルドなんだと定義する人がいるのならば魔獣がいるなんて限らないだろうと俺は答える。
また、大体の小説間において冒険者……と定義されるギルドの構成員達だってそうだ。なぜどの小説のどの世界にもランク付けが存在するのだろう?と。
実力がすべてじゃないのか?と言いたくもなる。
第一にそんなものがあるかどうかも謎だ。
おっと話がずれたがそういうわけで『ギルドに入る』という目的はまず無理だと俺は判断する。
例えばこの質問に『息を吸う!』と答えた者がいたとしよう。
だが異世界にそんなものがあるかどうかも謎だ。そもそも人間に『呼吸して生きる』という仕組みが適用されてるかも怪しいのではないだろうか?
まぁ、例を二つしかあげてないが言いたいことはただ一つ。
この世界は地球と何もかもが違うということ。
まず空気が違う。この世界で風を起こすとそれは視覚的に認識できる。さしずめアニメのエフェクトのように糸こんにゃくみたいなのがふよふよと流れている。空気なので無論掴めないが、この世界でそれは当たり前のことだ。
次に水が違う。この世界の水に潜っても苦しくならない。水の中で息をすることが出来る。呼吸困難にならないのだ。よってこの世界では水の中で寝るのが一般的だ。潜っても溺れることのない水……それはとても魅力的ではないだろうか?だが、この世界でそれは当たり前のことだ。
そして重力も違う。この世界の重力はどうやら地球よりも軽いようで、身長167cmの俺がバスケのゴールにダンクをぶちかますことができる程度にはジャンプできる。もちろん物が下に落ちるスピードも違う。だがやはりそれもこの世界でそれは当たり前のことなのだ。
そんな感じで……この世界の法則は地球とは全く違うのだ。
それでもそんな異なる法則の極めつけは……魔法だろうと俺は思う。
まぁ、風俗店の清掃員として働く俺にこの先魔法が覚えられるかどうかは謎だがな。
「部屋番号603のプレイ時間が終了しました。」
本日5度目の清掃開始である。俺はプランターグールのホムルンとペアを組んで清掃にあたっていた。
俺はそれを聞いて急いで部屋へ向かう。
このプランターグールの村はいわゆる風俗村というやつで、この村に住む全員(俺以外)が風俗嬢という凄まじい村だ。男にとっての憧れの場所。それがここなのかもしれない。
ところが今日から裏側に配属になった人間の俺からすれば、ここはただの魔窟だった。
理由は簡単だ。プランターグール、つまり死体を操る植物の村。ゆえに寄生体である人間をどう扱っても大丈夫……みたいな感じの種族だ。
つまり『どんなアブノーマルでもOK』という意味だ。プランターグールの方々にお話を伺った結果、常人には理解できないようなプレイの経験持ちもいて一瞬で萎えた。何がとは言わんが一瞬で萎えたのだ。
ゆえに清掃という仕事に集中出来るわけだが……
今日やった4部屋の中の2部屋は何をしてたんだろう?という光景が広がっていた。ものすごい異臭だった。
ちなみに一部屋目で全て吐いたので二部屋目は楽だったと言っておこう。
そんな感じで5部屋目。
開くと中に広がっていたのはただの殺人現場だった。風俗嬢であるプランターグールもグロアニメのワンシーンのような状態で血塗れになっている。
だが、ホムルンは意にも介さず
「あららー、これまた酷いことする人がいたもんねー。」
と軽い感じで血塗れプランターグールに話しかけている。泡吹いて白目剥いて倒れてピクリとも動かなかった血塗れのプランターグールはいきなり起き上がって
「いやー、(ピー)プレイとか初めてっすよ。アタイたちは風俗嬢だってのになんで死体の真似事なんてせにゃならないんすか?訳わかんないっすよね。ね?新入りくん?」
なんて明るく話しかけてくる。
いや、でも健全な日本社会で生きてきた俺からしたらただのホラーでしかない。
いやまぁさっきのクトゥルフ神話よりきな化物たちより断然マシなのであれだが……いや、マシじゃないなこっちの方が怖
「おろろろろろろろろろろ……」
と、即座にこみ上げてくる吐き気
「うわ、さっき全部出し切ったって言ってたのにまだ出るの?……まぁ袋の中に全部入れるのはえらいわ。」
「す、すいませおろろろろろろろろろろろろろ……」
その(ピー)プレイの是非とか個人の趣味をとやかく言うつもりは無いが、どうしてこんなので興奮できるのだろうか?
……やはり世界は広いのだろう。
理解できない存在もいるもんだ。