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ステージ1ー4、この村で、新たな暮らし、始まるよ

人間は弱小種族だ。なのに何故かどの異世界も人間の手中にある。

確かに人間は頭がいい、知恵がある。だけど魔獣だのモンスターだのが闊歩する世界において発展するとも考えずらい。

なぜ人間は絶滅しないんだろう?単純に気になる。

なのになぜかどの世界でも人間が世界を牛耳っている。


この世界がどうかは知らないが……それでも、この世界も人類にしていて欲しいと俺は思った。


なぜかって?


そりゃあ……


「あ、人間さん。ようこそぉ、ここはプランターグールっていう植物のつくった村でさぁ!私はモモトンっちゅうもんやぁ、よろしゅうますらなー!」


なんていうよく分かんない自己紹介を聞いたからだ。

今俺は村長さんに呼ばれて村長さんの元にやって来ていた。

出てきたのは美しい女性でも合法のじゃロリでもなく普通のオバチャンだったので現実に打ちのめされたが……。

だが『人間さん』なんて呼び方されたのは初めてだ。

それに自己紹介の中に『プランターグール』なんていう不穏な単語もある。そのせいで


「え?プランターグールってなに?」


なんて考えなしに聞き返してしまった。


「え?知らんとここ来たの?おほー、納得やさかい。プランターグールっちゅうんは人間に寄生する植物なんじゃら。それは人間から見たらまぁ、醜悪に見えるんじゃな。あ、でもな生きてる人間には寄生出来ひんねんで。おわかり?わしらは死んどる人間に寄生しとるだけなんよ。あい。あ、あと寄生体には女性が多いんじゃがなんでがわかるか?」


その質問で、そういえばこの村?みたいなとこに入ってから女にしかあってねぇなと思いつく。


だがもちろん理由なんてわからない。


「全然わからん」



俺は正直に言ってみる。


だが内心は


異世界的なご都合主義『オスがいない』『メスがいない』的なやつだろうか?

それともメスにしか寄生できない的な種族なのだろうか?

またはアハーンでウフーンな感じのRが書いてある感じの理由みたいな?


とそんなことを考えてニヤついていた。だが、


「うん、理由は単純。女性に寄生すると風俗で設けることが出来るからさね。まぁ一部の神とかいうよくわからんものを信じてる人間にゃあ死者の冒涜と言われているのでしゅがね!」


帰ってきた答えはなんとも普通であった。まぁでも、そう考えると当然である。

この独特の家を観光地として売り出すにしても風俗村として売り出すにしても女性だけの村というのはとても魅力的である。

気づけばハッハッハと笑う村長さんに「なるほどぉ……」と感嘆の声を漏らしていた。


「まぁ、我々植物だしぃ、その上この寄生してる人間の感覚があるわけでもないから一時期はとある風俗店に村総出で弟子入りしたりもしたんだよ。いやぁ、どんな反応をすりゃ男らが喜ぶとかの勉強はとてーもためになったんだわさ」


「へー。」


「あ、あとたまに死んだ恋人を連れてきて『もう1回だけヤリたいんだ!!』なんて言ってくる客もいたな。まぁ、なにが言いたいかっちゅうと風俗目的以外でやってきた男性なんて久しぶりっちゅうこっちゃ。よろしゅうな。」


俺はなんかよく分かんなかったが歓迎されたということだけはわかった。

一文無しなのに泊めてくれるのはどうしてだろうとと少し不安になったが、大阪のおばちゃん感の漂う村長を見ているとどうでも良くなってきた。


「はい!」


「んで、だ。そちの名前は何じゃろな?」


「あ、タナカサトルって言います。」


「タナカサトルか……いい名だ。だがお前の名はちと長すぎる。略称を教えてくださいませんかね?」


ここでサトルは自分の名前が『タナカ、サトル』ではなく『タナカサトル』であると誤解されたと気づく。

だが、この世界にも苗字というものが存在しているかどうかは謎である。

サトルは少し考え、自分のことを自分のペンネームであるサトリと名乗ることにした。やはり異世界に来たからには心機一転。名前も変えるべきかなと判断したからだ。


「サトリとかでいいですか?」


「おお、それっぽいそれっぽい!なかなかいいんじゃない?」


この後、なんだかんだで話は進んだ。その最中サトリは「ここでこの世界の常識を教えてくださいませんか?」と聞いてみた。この質問をもし『人間』にしたのならば異物とみなされて蔑みの目を向けられるかもしれない。でも、植物ならば大丈夫だろうと判断して『自分は異世界から来た』と村長に正直に話した。

村長は公用語を知らなかったこと、危険な森を武器一つ持たず歩いていたこと、プランターグールを初めて知ったという反応、そんなことからこの話を信じてくれた。

これが人間ならばそうはいかなかっただろう。

こうしてサトル改めてサトリは少しの間ここで雑用を手伝いながら『異世界の常識』を教えてもらえることになったのだった。


そして最後にひとつだけどうしても聞きたいことを聞く。


「なんですかその口調?」


「色んなとこ旅しすぎて混じっちゃったですだ」

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