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ステージ1ー3・いつの間に、俺の命が、かかってた

注意、この話の主人公の思考は全てキャラクターの思考であり作者の思想をもした訳ではありません


そこんとこよろしく!

異世界。

それは皆もご存知の通り、憧れのものだ。

だが今この状況に置かれた、置かれてしまった立場からしたら、なぜ皆が異世界に憧れを抱くのか俺には分からない。

そもそも異世界に行くということは未知しかないという事だったのだ。

事実目に映るほとんど全て植物は未知。

落ちてる果実はどちらかというとゲームのアイテムとして出てくる奇怪な果実に似ている。

某海賊漫画に出てくるような模様がついた果物があったので齧りたくなったりもしたが、その一つを潰したら真っ青な果汁が出てきたので食欲が失せてやめた。

住んでいる種族が人間とは限らないし、言葉は十中八九伝わらない。

さらには物理法則すら元の世界と同じとは限らず、魔法なんていうトンデモ法則すらあるかもしれないのだ。


それを神様から貰ったチートだの、龍神の加護による最強チートだので誤魔化した小説。

それが今の小説だ。


っていうかほとんどの異世界の共用語はなぜか日本語である。なぜだろうか?英語じゃダメなのか?それではダメなのではないかと俺は思う。


……まぁ、俺自身『俺TUEEEE』とか言ってニヤニヤしながら『俺TUEEEE』な小説を量産しているのだ。


ハーレム?女の子に囲まれて幸せエンドとか大好きですが何か?


美少女?良いではないか!もっと沢山出るが良い!


ご都合主義?ははは、それ無しに何が異世界かね?


あ、チート?めっちゃ好き。主人公無双とかまじカッケー!


言語?漢字使った魔法で俺TUEEEEなチートとかサイコー!


分かります!思ってたよ、昨日まで(心の俳句)


だがしかし、来てみてわかった。

この異世界はハードモードだと……


%%%


「あの、その記憶カセットってなんです?」


俺は少女にそれを聞く。

俺は別に女の子と話すことに抵抗はない。家庭科部の部員はそもそも女の子の方が多いし、女の子と話すという行為そのものにはこなれているのだ。


「あ、記憶カセットっていうのはですね……」


少女はうーん……と上を向いて少し悩んだ後、説明を始めてくれる。


「はい」


「要するに他人に記憶を植え付けるという技術の名称ですね!」


そこまで大した説明もしてないのに満面のドヤ顔である。


「それで?」


「……」


説明はそれで終わりだったようだ。ドヤ顔のまま固まっている。もしかして『知ったかぶり』だったのだろうか?


「えーっと……詳しい人呼んでくるね。」


そう言ってトタトタと廊下に出ていく少女。また1人になってしまった。

部屋を見渡すとその巨大水滴……以外に本棚、時計?っぽい機械。地球儀?らしき模型が置いてある。


この世界の地球儀……らしきモノを眺めてると部屋の中に先ほどの少女ともう1人女の人が入ってくる。


「よぉ、おまえか?記憶カセットの質問がしたいってのは」


ただし、明らかにゴツイ女の子だ。ポンチョを装着してようが明らかに隆起した筋肉をもつ、髪型がシニヨンの女だ。

ただし顔は普通。

将来この子がどのような生活を送るのだろう?と、少し気になる容姿をしている。


「あ、はいそうです。」


だが、そんなことを初対面でいきなり言ったら失礼極まりないことぐらいわかる。


「なら解説してやる。あー、記憶カセットっていうのは強制的に何かを覚えさせたい時に使うっていう受験の超必殺技みたいなもんだ。まぁ、最近はこの記憶カセットの一般普及のおかげで受験という行為の無意味さが問われたりもしているんだがな。でも生物の脳に記憶を新しく組み込めるなんていう発明はすごいと思うだろ?」


「うん、まぁそう思う。」


そいつは見た目の割に饒舌だった。

そして口調も男らしい。

見た目も相まって女学園の姉御感がただよっている。


なんていうか無条件に憧れてしまいそうな女である。


「こんな便利なモノ、神への冒涜の域に達しているのではないか?と考える者もいた程だ。だが、この神への冒涜行為は神への冒涜と言われるだけあって大きなリスクを伴うってわけ。そのリスクってなんだと思う?」


「えー?そりゃあ成功率が低いとか?」


「正解!そう、その通り。成功率が低いのさ。大体70%くらいしかない。この確率だけ見れば高いと思うかもしれないが……もし失敗すれば死ぬという条件が付いたらどうだ?するとこの技術の見方が変わる。『致死率が30%』もあるということだ。ただ、一度成功すると次からは100%成功するらしい。つまりこの7割っていう確率は、この技術に適応できたものの確率ってことさ。だから俗に『生存者』なんて言い方もされたりする。まぁ、詰まる話この技術を使って無理矢理言語を丸々覚えさせたということさ。」


「なるほど。」


この後、「話が終わったら村長がこいと言っておりました」と急に敬語で言ってからこの部屋から退室した少女を見てなにかイヤなものを感じ取ったのだが……


まさかこの姐御肌の女が……俺が自己紹介をする暇すら一切くれずに四〜六時間ほど喋り続けるとは思ってもいなかった。


全ての会話をまとめると、


・記憶カセットは生物の脳に記憶をインストールする技術

・俺に『国家クララール公用語』の記憶をインストールしたということ

・死亡率が30%ぐらいあったけど成功したし許してね

・都市にはこの記憶カセットが使えるかどうかを検査してくれる所があって成功率は100%であるということ


以上だそうな。


ちなみにこの記憶カセット、めちゃめちゃ高いのかと思ったがこの世界では『食玩』みたいな扱いになっているようだ。

あと、商人とかが新商品の情報が入った記憶カセットをポケットティッシュみたいに配る程度のものらしい。


俺がもし地球で記憶カセットを作るなら社会科のテスト範囲とか英単語とかの記憶カセットを作るだろう。


まぁ、それはともかくとりあえず重要なことを言っておこう。


俺は先程まで致死率30%の戦いをしていたらしい。


「生き残ってよかったァァ!!」


その日、姐御肌女の話を聞き終わった後の飯は普通にうまかったと言っておこう。

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