ステージ1-B・護衛隊の護衛隊、その3
テルクルは未だ進行を続けている。
6枚に増えた石版によって遠距離攻撃が防がれていく。
6枚の迎撃装置によって潰されるせいでテルクルに攻撃は一切入らない。
だが遠距離攻撃を防ぐことに専念しているため近距離での戦いは少し楽になったと言えるだろう。
先程までは遠距離攻撃の使い手がカレットしかいなかったため石版が余っていたのだ。
未だカレットの砲撃の火力が最も力強く
【小賢しい……】
「「「!?」」」
テルクルは突然話し出す。
このテルクルは会話をする能力を有していたのだ。
【我は機械族の少女に美味い種族の情報を掴まされここに来ただけだ。邪魔をするな。我はメイサー・アルカンジュラの寄生体となり熟成した肉を喰いに来たのだぞ。汝らと戦いに来たのではないのだ。】
だからそんなことはヤメロと言外に言うテルクル。
その声は圧倒的で、コイツには敵わないと本能を揺さぶるような力があった。
テルクルはその声に反応し自分の下に見える小さき者達が静まるのを待つ。
【そもそもソレは一体なんのメリットがある?偶像を追いかけてなんの得がある?】
テルクルは諭すように言う。
だがそれは『地雷』だ。護衛隊の護衛隊達の回答は決まっている。
むしろ『練習している』。
「「「それはより良いプレイのためだ!」」」
「男のプライドを捨て」
「快楽に溺れる」
「それは本能ではなく煩悩!」
「「「我々は偶像ではない、ヤレるアイドル風俗嬢を心から愛しているのだ!」」」
彼らの気迫は大気を揺るがした。彼らの希望は彼女らを呆れさせた。
だがその『芯のある』信念は……『纏まった』信念は……テルクルの威圧を凌駕した。
力を振り絞り本能をねじ伏せ、煩悩の力を使い彼らは動き始める。
心が死なない兵隊。それは脅威だ。彼らの思いたった一つ。
(((この楽園を潰すのは絶対に阻止する!!)))
難攻不落
チート級再生
遠距離攻撃迎撃
全ての攻撃は防がれ、当たった攻撃は再生する。
そんな敵と戦うなど無謀。それは無謀だ。
だが彼らには信念があった。煩悩があった。願望があった。
その強い思いはこの世界において具現する。
願望は形になる。それがこの世界のルール。
だがここにいる誰もがそれを忘れていた。
だからこそそれはこの場に具現……いや、顕現したのだ。
テリア・ダール。
この世界のどの地域でも『何故か』そのように呼ばれている現象。
テリアは名詞、意味は『現実』
ダールは動詞、意味は『に現れる』
つまり『現実に現れる』という現象。
何かをしたいと強く……強く思った時、『テリア・ダール』を発動してほしいという気持ちが一切無なかったならばそれが現実に具現するのがこの現象だ。
要するに彼らの純粋な性欲からくる願望は無意識の内に世界へと詠唱された。
その結果、テリア・ダールという現象となり現れたのだ……。
地から一筋の光が空へと落ちていく。
そこに現れたのは……兵器だった。