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13 こんにちは、神々

この世界にやってきて1月も過ぎ、嫌でも慣れ始めた頃。

雑談に花を咲かせていた。


「そう言えばさ、この世界天候の変化唐突過ぎね?」

「あー、まあ分からなくもないが……天気予報がないからなぁ」

「風は強いわ、雨降れば土砂降りだわと、極端すぎるだろ……」

「そういやそうだな。晴れか夕立の二択な気がする」

「だろー? 風も来ると台風かよってなるよな……」

「言われてみると確かに台風だなぁ。今はカンカン照りだが……湿気無いだけマシだな。こっちの方が涼しい」

「分かる。こっちの方が涼しい」


今の4番世界、実は雨が降れば土砂降り、風が吹けば突風だったり、かなり極端な環境だったりする。

それは世界からのSOSだった。だが、誰もそれに気づかなかった。

勇者達も『こういう世界なんだろう』としか思わないのもしょうがないだろう。

数千生きている者がいれば、明らかにおかしいと気づけたのだろうが……。


もしかしたら世界が、多少無理してでもシュテルンユニエール……万物神を呼んだのかも知れない。自然を司る神なら確実に分かるから。




フェルリンデン王国の王城、シュテルに割り振られた部屋。

当然部屋にはシュテルとシロニャンとブリュンヒルデがいる。

ただ、シュテルは翼を出し、目を開いていた。


「じゃあちょっと神界行ってくるわ。シロニャンよろしく」

「いってらっしゃいませ」


シロニャンをブリュンヒルデに渡し、その場から姿を消した。



創造神様のところではなく、4番世界の神界へと移動する。

創造神様とその他の神々はいる場所が違うのだ。


4番世界の管理空間は……ボロボロだった。空間が継ぎ接ぎのようになっているのが時空の神眼で見える。


「まあ、次元の壁を考えたらこうだろうな。予想通りではあるが……ふむ、やはりそうか。……来たな」

「え、時空と……自然……? 超越神様!?」


……気付かないほど余裕が無いか。やって来たのは『大地と成長を司る神』だ。

10番世界の神々は私が地上に降りた瞬間察知してたが、既に地上に降りて一月は経つのにこの驚き。

そして中級神のはずにも関わらず、感じるエネルギーは下の中……ぐらいか。

そして一柱しか来ないのは……来るほど余裕がないか。


「他のは……あっちか。ゆくぞ」

「えっ、はい」


他の神々のいる場所へと転移をする。


『大地と成長を司る神』中の上。

『休息と娯楽を司る神』中の下。

『技術と知恵を司る神』中の下。


しかしこうしてみると、軒並み感じるエネルギーは下の中と下の下。

『大地と成長を司る神』以外の2柱は私が来たのに気づいたけど、身動きすらできていない。


「もっと早く来た方が良かったか。とりあえずもう少し待て」


大体……このぐらいか。

ある程度余裕を持たせ、分身体を生成。その分身体の方で3柱がやっている……次元の壁補強の肩代わりをする。


「…………これでいいだろう。お前達もう良いぞ」

「「「はぁ~……」」」


しばらくしたらモコモコと人の形を取った。

神々は神力というエネルギー体だ。普段から人の形である必要は無かったりする。

創造神様も最近はこたつで寛がずデロンとしてるのも見る。元人間だった私に合わせて人の形を取っていただけだったという事だな。


「さて、多少聞きたい事があるのだが、良いか?」

「勿論です。何なりと」

「とは言え、もうこの状況見て大体察したのだが……地上が荒れてるのは地上に回す余裕が無かったからだな?」

「その通りです」

「それと、魔王を作ったのは君達か?」

「いいえ、それは違います」

「じゃあ世界だな?」

「はい」


確定か……。

創造神様が魔王なんか作る理由がないからな。



昔々の魔王がいない頃の4番世界。

血を血で洗い、憎しみが憎しみを生み、終わらぬ戦争に明け暮れる。

まさに大戦争時代と言える遥か昔の時代。当然争いにより地上はボロボロ。

このままじゃヤバいと思った世界は、魔王という共通の敵を作った。

世界の防衛本能、防衛装置と言えるのが魔王。

実際魔王により魔王との戦争が始まるが、人類の大規模な戦争は終わり、遥かに世界に与える被害は少なかった。

魔王に勇敢にも向かって行き、見事討ち倒した英雄を人々は勇者と讃えた。

これが勇者と魔王の始まりだ。


しかし、定期的に復活する終わらぬ戦い。

いつしか人々は己を磨くのを止め、異世界召喚という手段を使用し始めた。

その異世界召喚は、強引に世界を隔てる次元の壁をぶち抜いた。

3柱は急いで壁を修復しようとするが、4番世界の神々には無理で、精々補強するぐらいだった。

結果、次元の壁は継ぎ接ぎ状態だが持ちこたえている。だが、代償に地上の管理が疎かになり、現在異常気象発生中だ。



「やれやれだな……。まあ、とりあえず次元の壁は妾がやるから、地上の管理を」

「「「はい!」」」

「しかしどうしてやろうかな……。魔王復活したら勇者全員でボイコットでもするか? ああ、敢えて次元の壁を荒く直して地上に被害出すのもありだな。どこに出るかはやってみないと分からんが……」


とりあえず、結局は魔王という存在を生み出したのは人類なわけだ。で、我々はとことんとばっちりを受けているわけだ。

突然の誘拐から命かけて我々のために戦ってこい。ついでに私は次元の壁修復。

よし『私、苛ついてます』的に直してやろう。その方が壁の修復早くなるのは確かだし。

勇者ボイコット計画は保留。恐らく私と違って見捨てることはしなさそうだし。


「それじゃあ妾は戻るが、その分身体は置いてくから、何かあったらそっちに」

「はい、助かりました」

「創造神様にも直せって言われたから問題ない。妾のことは言わないように」

「分かりました。これから地上の管理に移ります」

「うむ」



翼を消し、部屋へと帰る事にする。


「戻ったぞー」

「ちゅい!」


早速飛んできたシロニャンを受け止める。


「お帰りなさいませ」

「結局魔王は人類の自業自得のようだ。創造神様がわざわざ『人類の敵』なんて作るわけないからな。世界にアクセスしてある程度分かってはいたが、この世界の神々から確認が取れた」

「どうなさいますか?」

「罰として次元の壁を少々手荒く直す。スピードは上がるがどっかしらに被害が出るだろう。妾と言えど壁直すのがどれほど面倒なことか」

「では、揺れが強くなるのですね」

「そうなるな。逆に言えばそれだけだ。たまに古い建物が崩れたり、地面が割れたりするぐらいだ。それだけで世界滅びずに済むんだから良いだろ」

「次元の壁を壊しておいてそれだけだと温い気もしますが」

「これはただの腹いせだしな。どうするかは後々決めるだろう。そもそもまだ対消滅の危機は去っていないんだ。考えるのは落ち着いてからでいい」

「そう言えば、絶賛進行中でしたね」


そうだよ。表はのんびりしてるけど、裏で寝ずに次元の壁修理してるんだからな。

寝ずにって言うか、寝る必要が無いんだけど。


えー……明日は学園か。

もう勇者達の中で私のキャラ確定してそうだし、今更はっちゃけるのもあれか。

くそう、学園ではしゃぎたかった。……どうせヒルデに止められそうだが。


私はまだ童心捨ててないぞ!


正直これ以降出番あるか分からない神々。


旧→「分かりました。これから地上の管理に映ります」

新→「分かりました。これから地上の管理に移ります」

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