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第1章・出会い

「こんなはずじゃなかったのに…」


ザァー、ザァー、

降り続く雨の中、僕はあのバス停にたっていた。1枚の紙きれを持って…。当たりはすっかり暗くなっていた。


ザァー、ザァー、

相変わらず響き渡る雨の音。僕の顔は雨だけでなく他のものでも濡れていた。


…涙…


やがて、一筋の光が向こうから現れる。バスの最終便が僕の前に止まった。僕は一人で1枚の紙きれを握りしめてバスに乗り込んだ。

誰もいないバスに乗り込んだ僕は一番後ろの席に座り、悲しげに窓の外を眺めていた。



二年前の夏、太陽がギラギラと燃え上がっている時に、僕は学校に行くために、今と同じ席に座っていた。ぼ〜っとしているうちに次のバス停についた。


バスのドアが開き人が乗り込んできた。

「となり座っていい?」

見たことのない女の子が話しかけてきた。年は同じぐらいで身長は低め。明るい表情はとてもキラキラしていた。

「う、うん…」

女の子とあまり話せない僕は緊張で声が裏返った。

「フフフッ、ありがとう。」

女の子も声が裏返ったのに気付いたみたいだ。僕は顔を赤らめて下を向いていた。


そのまま沈黙が続いた。


女の子は眠っているようだ。バスがゆれ、女の子の顔が僕の肩に乗った。それでも、女の子はぐっすり眠っていた。


「まもなく、終点…。」

降りるバス停に着いた。女の子も目を覚ました。

「ごめんなさい。」僕に寄りかかっていたことに気付いたらしく謝ってきた。

「うん…いいよ。」

僕は目を合わせることができなかった。

「じゃあね。」

女の子は下を向いている僕の顔を覗き込んでそう言って、バスを降りていった。


僕はしばらく身動きがとれなかった。心臓の音が周りに聞こえるぐらい鳴り響いていた。女の子のことが頭から離れなかった。


こうして、僕と女の子は出会った。やがて、この女の子が僕の人生を変えることを、僕はまだ知らなかった…

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