第300話 王都幻談(中編)
兄ロヴァンと同時に放った魔法は聖女によって防がれた。
自分一人ではあれ以上の威力を持つ魔法を使うためには長い詠唱を必要とする。
しかしそれを唱えきり、発動させたとしても再び聖女にあの防御魔法を使われては防がれる可能性が高い。
聖女の言動からしてあれは善神の力を借りる防御魔法『ディバイン・シールド』であると思われ、その強度は信仰心、そして心の穢れなさにより上がるとされる。
であれば……、もしかしたら自分の使える魔法――周囲に被害を及ぼすことのない程度の魔法では破ることが出来ないかもしれない。
だが――、それでもやりようはある。
自分はただ魔法を使うだけの魔道士ではないのだ。
「北界の笛、貪り喰らえ! ボレアス・エンブレイス!」
アーシェラは接近戦――聖女に鋭い攻撃を加えながら、簡略詠唱からの魔法を発動させる。
刃を持つ竜巻のごとく、狭い範囲を切り裂く風の刃がアレグレッサを呑み込んだ。
魔道士が接近戦に弱いというのは、近接戦闘の能力よりも魔法を使う能力を求められるからであり、それはつまり有限の時間をより有益な方へ配分した結果である。
しかし魔法の才能が豊かな者であれば魔法の修練だけに固執する必要はなく、近接戦闘の能力にも時間を割くことが出来る。
近接戦闘をこなせる魔道士の強みは、相手が接近戦だと判断する状況から魔法を放てることであり、それは不意打ちの効果を持つ。
事実、聖女が障壁を張る間もなく魔法に捕らえることが出来た。
これで聖女はズタズタに切り裂かれ、放って置けば出血多量により死亡するかもしれないが……、聖女は回復魔法に長ける。まあ死にはしないだろう、そうアーシェラは思った。
が、それは目の前の聖女が普通の聖女であるという前提での話――アーシェラは聖女アレグレッサを知らなかった。
刃の竜巻に呑み込まれたアレグレッサは怯んだが、それは不意を打たれた一瞬だけ。切り裂かれ、血しぶきを散らしながらもかまわずメイスを叩きつけてくる。
「な――ッ」
驚愕しつつもアーシェラはとっさに障壁を張り、振りおろされたメイスを防ぐと、すかさず魔法で反撃する。
「フレイム・ランス!」
詠唱句のみの即発魔法。
怯ませ、勢いを削ぐための魔法であったが――アレグレッサは怯まない。
放たれた炎の槍を払うように殴りつけたのは左腕。
直撃こそ免れたものの、魔法を打ち払ったアレグレッサの左腕は炎にまかれる。一瞬で腕を犠牲にする判断をしたかに思われる状況であったが、燃える法衣から覗く左腕には火傷の一つもない。いや、気づいてみれば、つい先ほどの受けた傷すら消えて無くなっている。
「(治癒!? どんな早さよ!)」
アレグレッサの驚異的な――そして異常な治癒能力に気づいたとき、アーシェラは一つの考えに到り愕然とした。
この聖女はただただ突っこんでくるだけだ。
「(これが――、聖女というものなの!?)」
身を刻まれようと、焼かれようと、それを無視して殴りかかってくるような者が聖女だと?
馬鹿な。
どこが聖女か、こんなものは狂戦士だ。
魔道士と戦う際、最も効果的な戦法はなにか?
詠唱している間に駆けよって殴る。
確かにそうだ。
素晴らしい最適解。
だがそれをさせる魔道士は居ない。
そんなことを許さない――そこに魔道士としての戦いの妙がある。
なのに、この聖女はそれを台無しにする。
魔法を喰らおうとかまわず接近して殴る。
なんという無謀、なんという蛮行。
いくら攻撃を加えようと回復し、いくら痛めつけようとかまわず突っこんでくる。
ああ、確かにこれは恐い。
痛みを感じないとか、すべて防がれるとか、そういうものであればここまでの畏怖は無い。
苦痛を受けとめてそれでも迫るその意志――狂信に恐怖するのだ。
損傷や苦痛では止まらない。
「(なら――、封じ込める!)」
アーシェラはすぐさま無力化する方法に考えを巡らせる。
火の魔法は拘束に向かない。殺傷能力の高い『フレイム・オベリスク』も防ぎきった者を炎の檻に閉じ込めても意味はない。
同じく、風の檻も効果は薄い。風の中に押し込もうが、空中にて拘束しようが『ディバイン・シールド』によって破られるだろう。
では水は? 土は? 雷、氷、光、闇、精神、身体、重力、空間、習得した魔法を列挙し、候補を絞り込む。
幾つかの候補を選んだとき、アレグレッサが魔法を使った。
攻撃用ではない、そう感じ取ったアーシェラは無視をし、次に放つ魔法の選択をしようとする。
「ウォーター・クリエイト!」
アレグレッサが使ったのは基礎的な水の魔法。
バシャン、と水を被るアレグレッサ。
法衣が燃えるのを嫌ったのか、とアーシェラは考えたが、この状況でそれはないだろうと判断する。おそらく燃える法衣に、皮膚が焼かれ続けるのを嫌ったのではないか?
だがこれで次に使う魔法を選択できた。
風や火をぶつけようと止まらないならば、受けたらどうしても動きが止まってしまう魔法をぶつければよいのだ。
「サンダー・ランス!」
これにて数秒の麻痺。
あとは落穴に落として生き埋めに、そして逃れようと使う魔法に干渉――ディスペルを続ければ抑え込むことは出来る。
が、雷撃を浴びたアレグレッサは一瞬すらも怯まない。
耐性どころか、まるで無効化でもされているような――。
「どうして!?」
驚きが災いし、反応が遅れてアーシェラはアレグレッサのメイスを喰らってしまう。
左の肩にドンッという衝撃があり、同時に鎖骨が砕け、体にメイスが沈み込む感触を覚えた。
「――――ッ!?」
これまで金属の固まりを思いきり叩きつけられた経験などなかった。
一瞬遅れて訪れた痛みは、悲鳴をあげることも許さぬほど強く激しく、全身を満たし溢れるほど。たった一撃で立っていることなど出来なくなって地面に転がり、這いつくばって荒れ狂う痛みが去るのを待つ。肩は――、左肩はどうなったのかと、震える右手で触れてみる。そんなはずはないが、頭のなかではまるで左肩が抉り取られて無くなっているような気がしていた。
「…………ッ!?」
もちろん左肩はあった。
だがアーシェラが困惑したのは、折れたはずの鎖骨がまったく無事で残っており、あれだけの痛みがあったというのに、こうして触れてみてもまったく痛みを感じなくなっていることだった。
「私が与えるのは痛みのみ、傷を残すようなことはいたしません」
混乱するなか、アレグレッサが告げた。
傷一つ負わせることなく終わらせることができる。
それは降伏勧告のようなものだ。
早く諦めた方が痛い思いをしなくてすむぶん得になる。
これが酷い怪我――手足の欠損、機能の不全を生むようなものであれば、引くに引けない状況になる。
自分の体が敵によって失われるという状況は強い憎しみを生み、相手も同じ――もしくはそれ以上にしなければ気がすまなくなる。
だが、ただ痛みを与えるだけに留まってしまうなら、退きようがあるのだ。
それはあの痛みを知ったとなればなおさら。
これが聖女の戦い方か――とアーシェラは知る。
聖女は相手の心を折る。
肉体への痛みだけではない。損傷させた肉体を回復させることで、ここで戦うことを止めればこれ以上の苦痛を受けることはないという逃げ道を用意して、戦う気力をごっそりと削いでしまう。
確かにこれまで受けたことのない痛みだった。
けれど――、ここで折れるわけにはいかない。
このままミトス・ネーネロを――自分たちを育ててくれた父を守りきれず退く訳にはいかない!
確かに父は罪を犯しているのだろう。
しかし、それはすべて隣国の脅威から領地を、領民を守るための苦渋の決断なのだ。
知るまい、隣国の脅威に脅かされる領地を持つ領主の苦労を!
知るまい、手を汚す決断をした男の苦悩を!
知るまい、いつも腹を空かせ、盗賊に身をやつした兄妹を拾いあげてくれた父の優しさを!
「舐めるな! 聖女!」
いつ以来かの粗暴な言葉を吐き、アーシェラは立ち上がる。
これしきの痛みで折れるほど、ヤワな人生は送ってきていない。
△◆▽
ロヴァンは冷静にオーク仮面を分析する。
確かに不可思議な力、そして奇っ怪な能力を持つようだが、あれを計り知れぬ者と過大評価しては相手の思う壺。
故にロヴァンはオーク仮面を『特殊な魔術士』と判断した。
さて、ではどうその『特殊な魔術士』に対処すべきか?
逃げ切れないような範囲魔法で仕留められるなら話は早いが、それには民衆という存在が邪魔だ。いくら襲撃者に対処するためとは言え、無関係の者たちを殺害し、王都を破壊したとなれば咎められるに決まっている。やはり狙いを絞れる魔法で仕留めるしかないのだろうが、それがなかなか難しい
オーク仮面は攻撃的な能力はそこまで高くはないようだが、回避能力に関してはかなり高い。
虚が多く、なおかつ予想できない動きをする。
操り人形をデタラメに動かすような、どうしてそんな動きが出来るのかと首をかしげたくなるような動きをする。
おそらくそれは、オーク仮面が自分の周囲に発生させられる謎の斥力を使っているとロヴァンは判断した。
そう、これがやっかいなのだ。
光の剣――あれは雷撃の魔術であり、その発生を感知できる。
あれが実は放てるようなものであっても、その瞬間を察知できるので対処のしようはある。
が、あの謎の斥力だけは感知が難しい。
突然そこに発生するあの力がいかなる魔術であるか――、ロヴァンであっても推測することが出来なかった。
「オーク・クラッシュ!」
高々と跳躍したオーク仮面が光の剣を振るう。
その直前、ロヴァンは横に一歩体をずらし、オーク仮面の払った軌跡を走る雷撃から逃れる。
この攻撃は大したことはない。
要は見えない長い剣だ。
問題は――
「オーク・キック!」
接近され、謎の斥力に曝されることだ。
「ワールウィンド!」
飛来するオーク仮面にロヴァンは魔法を放つ。
半月型の風の刃にて迎撃しようとしたが、オーク仮面はその魔法を蹴りでぶち破って突っこんできた。
「なんてデタラメな……!」
その攻撃が周囲に衝撃を発生させることはすでに見た。
ロヴァンは自ら後方に跳び、オーク仮面の蹴りによって生みだされた衝撃を受け流しながら静かに考察する。
オーク仮面は大仰な構え、言動、動作を行う。
それを愉快犯の趣味――矜持のようなものと断じてしまえばそれまでだが、ロヴァンはそれを、その不可解な力を使うための儀式なのではないかと推測した。雷撃とは違い、『溜め』のようなものが必要なのだろう。事実、あの斥力は組み合わせで使って来たことがない。一つ一つ、その場その場で使える魔法を使う見習い魔道士のように、数手先を読んで魔法を組み合わせていくような使い方が出来ていない。
その不完全さを奇っ怪な言動と不可解な動作で誤魔化し、ついでに相手を惑わしているというのであれば……
「隙を与えねば良いだけですね」
ちらり、とロヴァンはアーシェラを見やる。
聖女を相手に手こずっているようだ。
「……一人でやるしかありませんか」
二人でならば楽なのだが、と思いつつ、ロヴァンは発動句による即発の魔法を放つ。
「ファイア・アロー」
まずは発動句のみ、最速で放てる即発魔法をオーク仮面にぶつけて牽制する。
「オーク・ディフェンス!」
オーク仮面は左手のひらにその斥力を発生させ、炎の矢を受けとめて砕いた。
そのわずかな時間に――
「愚者よ数えるな、愛でよ。――ファイア・アロー」
詠唱を加え、同じ魔法を使用する。
炎の矢が放たれるのは確かに同じだったが、今度はその数は一本ではなく三十ほどに増大してのもの。
「ぬう……、オーク・シールド!」
迫り来る大量の炎の矢。オーク仮面は一度左腕を払う仕草を挟んで再び左手を突き出し、謎の斥力によって炎を防ぐ。
そしてオーク仮面が炎の矢を防いでいる間に、さらにロヴァンは長い詠唱を必要とする魔法を行使し、オーク仮面に防がせる。
「(……ひとまず、押し切る)」
ロヴァンは素早く、順々に詠唱が長く、威力が強力なものへと魔法を切り替えていき――そして狙いの魔法へ辿り着く。
「書を燃やすは過ちの火。いかなる信仰、いかなる理想、いずれは身を焼く火となろう。されどこの書は在ってはならぬ。故に我は命ず。狂人が祈りを記せし書よ、穢れを生む忌まわしき書よ、己を恥じて灰と化せ。――リブリサイド・フィールド」
一部を簡略化した魔法を放つ。
それは一定範囲を高熱で包みこむ魔法であり、かろうじて発動できた場合の最低温度でも紙が自然に発火する。術者の力量次第では鉄が溶ける温度にまで達する強力な炎系の魔法だった。
「ぬおおぉ……!」
高温に歪む空間のなかでオーク仮面は耐えていた。
ますますあの斥力がどういったものなのかわからなくなる。
あの空間内で生きているということは、あの斥力は圧倒的な熱も生存できる程度まで遮断しているということである。
しかしこの魔法で押さえ込めたなら、次はさらに強力な魔法を使用すればいい。この魔法の良いところは、持続時間があるというところだ。これでオーク仮面をしばらく――、完全詠唱でしか使えない魔法を使う時間を稼げる。
だがロヴァンが詠唱を始めようとしたそのとき、さらなる闖入者が上空から降ってきた。
「はぁぁぁ――――ッ!」
その人物は落下しながら掲げた剣を一閃。
ロヴァンが作りだした灼熱の空間を打ち砕いて霧散させる。
「また妙な者が……!」
忌々しげにロヴァンは言う。
その人物は顔の半分を覆う仮面を被った、男装の少女であった。
「オーク仮面、大丈夫!?」
少女が問うと、膝をついていたオーク仮面は驚いたように言う。
「レ、レディオーク! なぜ君がここに!?」
「心配だったから手助けに来たの!」
「しかし……、いいのか、我の手助けをしては、君までオークの掟を破ることになるぞ……!」
「掟? いいえ、そうではないわ! 世界は移ろう……、ならばいつまでも大昔に定められた掟に従うだけではいけないのよ!」
レディオークが差し伸べた手を掴み、オーク仮面が立ちあがる。
それをロヴァンは冷静に眺めていたが、小さくため息をつく。
現れたレディオークなる少女の力――、それはオーク仮面のように得体の知れぬものではなく、はっきりと高い魔力を持つ者であるということを感じることが出来た。
問題は、それがあきれるほど濃密で、ともすれば暴走していると思われるほど猛々しく、まともに力比べをしては負けると確信できるほどのものであるということだ。
「アーシェラ!」
ロヴァンは聖女と戦っていた妹を呼ぶ。
一人では無理――ならば妹と二人で。
アーシェラは聖女に一当てすると、すぐにロヴァンの側に戻る。
「状況は悪いようです。なので……」
「やるの?」
「ええ、やります。あとは任せますよ」
そう言い、ロヴァンは跪き両手を地面につけた。
精神を集中させるように目を瞑り、朗々と祈りの言葉のように呪文を紡ぐ。
幼くして才を見いだされ、今も学園で知られるほど優秀な成績を収めた者、辺境伯の警護を任される魔道士であるロヴァンが敵から目をそらし無防備となってまで完成させようとする魔法はどのようなものか? 少なくとも、それは劣勢に傾きつつある状況を覆し得ると信じてのものであり、故にオーク仮面、レディオーク、アレグレッサはその詠唱を妨害しようとする。
だが――
「兄様の邪魔はさせません!」
それをさせないのがアーシェラだ。
「ウィンド・ブラスト! ウィンド・ブラスト!」
聖女を封じ込めることは出来なかった。
だが、近寄らせないだけならば簡単と、対象を吹き飛ばす突風の魔法を連続で使用して押しやる。
「ウィンド・バースト!」
レディオークが魔術で対抗しようとするが、規模の大きい一発では連続して放たれる魔法に対抗できず、状況を打開しようとその場から脱した。
だが、それはアーシェラにとっても好都合。
聖女と戦いつつも、レディオークとか言う少女が兄の魔法を切り裂いたのをアーシェラは見た。あれだけでも魔道士にとっては充分な脅威であるというのに、さらに威力の高い魔術まで使うというデタラメぶりではあるが――。
「何をぼうっとしているのですか! 貴方たちはその少女をどうにかしなさい! 囲んで牽制するだけでもいいのです!」
オーク仮面に蹴散らされ、そのまま怖じ気づいていた護衛の者たちを叱咤、レディオークにけしかける。
及び腰ながらレディオークを取り囲む護衛たち。
それでいい。倒す必要はないのだ。
時間が――、兄が詠唱を完了するまでの、二分程度の時間を稼げればそれで充分だ。
「……くっ」
護衛の者たちに囲まれたレディオークはやりにくそうに対処する。
オーク仮面はあれだけのデタラメな戦いをしながら、誰一人殺していない。ならばレディオークも殺さずに事を為そうとするのではないかというアーシェラの予想は当たりだった。
これで少し任せられるかと思ったが――
「ぐはぁ!」
「ごほっ!」
「ぎゃああぁ!」
護衛たちが次々と魔術で吹き飛ばされていく。
レディオークは剣を鞘に収めると、規模の小さい魔術を連続で行使し始めた。両手をそれぞれの方向に伸ばし、指を鳴らすと同時に放たれる魔術。規模も威力も小さなものだが、だからといって並の人間が耐えられるものではない。ランクCの上位、といった冒険者であれば対処のしようもあったのだろうが、借金をせざるを得ない状況に陥り、さらにレイヴァース家の襲撃と、その後、領地までの護衛を傭兵団に依頼までしたネーネロ辺境伯では、腕利きを雇う余裕などなかった。
オーク仮面と聖女は魔法の連続使用によって封じ込めているが、この状態ではレディオークからの攻撃には無防備になる。そちらに対処すれば、今度はオーク仮面と聖女が動くだろう。
護衛が次々と倒されていくが、ロヴァンの詠唱も終盤だ。
だがそこで護衛がすべて弾き飛ばされ、レディオークの水弾がアーシェラ目掛けて放たれる。
しかし――
「我が祈りの砂! 集いて形を為せ! ――ジャイアント・クレイマン!」
ロヴァンが発動句を叫んだとき、アーシェラに迫っていた水弾は地面からぬっと生えだした巨大な手によって受けとめられた。
「(……間に合った!)」
アーシェラは背後のロヴァンを見る。
ロヴァンは未だ全神経を集中させ、魔法の行使中だ。
発動した魔法は砂の巨人を作り、それを意のままに操る魔法である。
アーシェラを助けた巨大な手が地面を押し、まるで水面から這い出すようにその巨人は姿を現した。精巧さの欠片もない、人の形をしただけの稚拙な砂人形だが――、防衛においてはロヴァンの切り札となっている魔法だった。
※誤字の修正をしました。
ありがとうございます。
2019/01/31
※文章の修正をしました。
ありがとうございます。
2019/02/01
※さらに誤字の修正をしました。
ありがとうございます。
2021/09/25
※さらにさらに誤字の修正をしました。
ありがとうございます。
2023/05/05




