<一輪車>
<一輪車>
小規模校ならではの教育ということで、忘れてはいけない事がありました。
その頃、文部省の指導要領の改定があり、中学年の体育科の中に、一輪車が新しく導入されたというのです。
「船水川小学校のように小規模校では、全児童に遣らせてメインとなるものは、この一輪車しかない。これに決めよう。」
と当時の校長先生が、大分乗り気になって決めてしまいました。
校長先生が、先ず一輪車を購入して乗り始めました。体育主任も乗り始めました。こうなると、先生方も乗り始めてきました。休み時間になると、全校一斉に、ぎこちない乗り方で、一輪車乗りの練習が始まりました。体育館も校庭も、一輪車の練習で一杯です。
その内、一輪車の検定試験の内容が、発表されました。
<検定例>
① 10級 → 真っ直ぐに10m以上走れた。
② 9級 → 右と左に曲がれた。
③ 8級 → 真っ直ぐに50メートル以上走れた。
④ 7級 → 走りながら、握手ができた。
⑤ 6級 → 走りながら、ターンができた。
⑥ 5級 → 等々、1級迄続く。
この様な検定試験の内容が発表されると、練習が一段と過熱してきて、めきめきと、上達して来ました。この、校長先生の指導振りと情熱には、皆感心して全校一斉に指導に当たりました。
その頃稲榎市では、伝統的な七夕祭りが、街全体の稲榎祭りになりました。やがて、現在の『佳郷祭り』に発展して来たのですが、その祭りは、城山公園と市役所を中心に、パレードが行われました。
その外に子どもの遊び場とか、カラオケ大会とか、様々なイベントが展開されましたが、そのパレードは年々発展して、婦人会を始め町内毎に、又他の団体も入って、稲榎音頭などを踊りながら、大変賑やかに展開されてきました。
ある年のそのパレードの先頭を切って、船水川小学校の50名ちょっとの全児童が一輪車に乗って走って来るのです。しかも、次の団体との差が出来ると、自然とユータンを取り入れ、その差をうまく縮めていくのです。数人で手をつないで回転したり、一人で何回転もして観客から拍手を浴びている子供もいます。それぞれのパレード中に『一輪車の自由演技」を披露してるのです。しかも、高学年の上手な子供たちが、低学年の危なっかしい乗り方をしてる子供のサポートをしている様子もよく分かります。
いつの間にこんなに上達してしまったのかと、驚きました。
観客からすれば、単なる子供達の集団(?)演技と見えるかもしれませんが、私には「初めて一輪車に乗った子供たち」の様子から、学校全体の取り組み、そして検定制度でのめざましい上達ぶりなどを見てきた経験があります。そして、今、目の前で市民の皆様に、その「上達ぶり」を満面の笑みで披露している子供達のイキイキとした姿を見ることが出来たのです。
まさに、小規模校の特性を生かした教育の成果が、こんな形で現れるとは夢にも思っていませんでした。




