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赤木の森の下影に  作者: 一人雅伸
舟人渡る川の畔
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 <小規模校東日本研修会その1>

<小規模校東日本研修会その1>


 法令で、学校全体の学級数によって分類や教職員数、教頭や事務職員等の区分けがされています。「12学級以上18学級以下を標準」とされているようです。つまり、各学年2~3クラスが標準で、それより少ない学校は「小規模・過小規模・極小規模(複式)」、多い学校は、「大規模校・過大規模」というそうです。

 これまで私が赴任してきた学校では、「乃木山小・五口小」が小規模校にあたります。そして、この船水小は、学校全体で4クラスという、小規模校と極小規模校のギリギリのラインにある小規模校なのです。

 昔は各学年30名前後いたと書きましたが、私が赴任する大分前から、2~3年生、4~5年生を複式学級にするという状態でした。

 複式学級というと、学年の違う児童を同じ教室で勉強させるのですから、一人の先生ではカリキュラムが組み難いとか、学年の指導項目が十分に出来ないで学力低下に繋がるのではないかとか、様々な問題や疑問が指摘されています。

 とはいえ、少子高齢化という時代の流れ、地域や地区の様子や状態に左右されることもあります。学校の統廃合だって簡単に出来るものではありません。そんな様々な問題や課題を抱えながら、小規模校の教職員は、そういった学校の枠の中で、自らの経験と知識をフルに稼動させて、児童理解と指導教育に励まなければならないのが現実なのです。

 そんな中ですので、私自身「複式学級の受持ち」のためにも、研修や講習の必要性を感じ、『小規模校研修会』に参加させていただく申請をすることにしたのです。

 正直言って、小規模校というと、参加する先生が年配で、引け目を持った暗い感じの先生が多いだろうと思っていました。自分も、心の何処かに、そんな気持ちがあったのかもしれません。そんな時に、この『小規模校東日本研修会』の出張命令が出ました。


 茨城県水戸まで辿りつきました。それから大洗です。その頃は、まだ砂利の多い道でしたが、鹿島まで来ると、左手に小高い丘があって、その上に厳かな神社らしい建物が見えました。そこだけアスファルトで、一際広い道路でした。その右手奥に、大きな垢抜けしたホテルが建っていました。

 二泊三日の研修会場です。参加者は約50人位でした。先ず自己紹介から始まりました。

『○○島の○○です。』

『○○山の麓の○○です。』

『東京都○○区の○○です。』

と言われて、その地域のイメージがピーンときて、珍しく感じたのが、半分位あって、感動しました。

 自己紹介だけで、こんなに、心を動かす会は初めてでした。それぞれの先生が、興味と関心を高め合い、生き生きした雰囲気を醸し出しました。そして、住んでいる地域の様子や、子どもたちの生活態度の紹介になると、一層興味・関心が高まり、地域や子どもに対する愛情や誇りさえ伺えるのです。その上に、若くて、元気の良い人が多いのです。

 そのような地域、ともすれば、日本の観光地に近いような所の僻地教育は、やはり、複式学級が悩みでした。子どもは少なくて、育て易いのですが、皆共通した悩みは,複式学級でした。これについての解決法は、なかなか見つかりませんでした。

 しかし、子どもとの触れ合いは、すばらしい体験や、指導を披歴してくれました。映画の『二十四の瞳と似たような学校生活』を実践していて、皆、それぞれが感動でした。分科会になると、一層それが濃密になり、感動と意欲の高い教育生活そのままが、溢れていました

 夕食会になると、アルコールが入ったせいか、歌や踊りや、地域の伝統文化まで披歴されて、本当に、無邪気で、元気で、前向きで、明るい雰囲気に輪をかけて、子供が大好きであると言うことが、雰囲気の中に溢れていました。

 ややともすると、上司がどうの、仲間がどうの、地域の人たちがどうの、子供がどうのとか、不足の多い宴会などが多いのですが、この、50人前後の二泊三日の研修会には、一言もそのような愚痴は聞かれませんでした。


 こんな前向きの溢れた研修会は、後にも先にも初めてで、これが本当の教師であり、これが本当の教育であると、感激と感動の心で一杯でした。



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