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4:ギルドと依頼書Ⅲ

「冗談よ冗談。そんなに警戒しなくてもいいじゃない。ただの賢者ジョークよ」


 あんたどう見ても賢者ではないだろ。どこが賢者なんだよ。野太い声でそんなことを言われても悪夢だよ。俺の全力ツッコミもゾルバは意に介した様子はない。むしろ何故か嬉しそうで、バチンッとウインクを飛ばしてきた。頭の中でひらりと躱す。


「じゃあ説明するけど、ギルド自体は色んな街にあって何処もシステムは一緒よ。おつかいからモンスターの討伐まで、ありとあらゆる依頼がここに集まってくる。依頼内容の難しさ、また報奨金によって依頼書はランク付けされるわ。全部でSSからEランクまであるんだけど、Aのランク以上は(ライセンス)を持ってないと引き受けが出来ないのよ」


 なるほど。依頼書に書かれたアルファベットは難易度を示していたのか。それで、ルキナが手にしたSSはライセンスがないとやらせてもらえないというわけだな。


「大体分かった。つまりルキナのライセンスだと、SSは出来ないんだな。リーゼは出来るのか?」

「私も無理よ」


 と、リーゼは腕組みをして少し言い淀む。察するに、まだ認められてない事実を口にしたくない様子だった。


「リーゼも私と同じセカンドだからね」


 そしてルキナが付け加える。言葉だけを受け取ると、いつものように煽ってるのかと危惧してしまった。けれどルキナの様子を見るに、そういうわけではないらしい。どちらかと言うと、自分も同じ境遇であり、まだ上に到達出来ていないことに口惜しいようだ。


「……そのセカンドってのがライセンスを指しているのか」

「えぇそうよ。ライセンスにもランクがあってね。最初はファースト。次にセカンド。最後はサードライセンス。それぞれAランク、Sランク、SSランクに挑むことができるわ。普通はライセンスを取ることも熟練者じゃないと取れないんだから、この娘たちが凄すぎるのだけど」


 ゾルバはそう言って二人を見定める。もちろんリーゼとルキナだ。今の俺にとってはもう驚かん。さんざんチートっぷりを見せてもらったのだから、なるほどなと、何処かしら納得出来る。


「それじゃあ、俺はライセンスを持ってないから出来てせいぜいBランクまでってことだな」


 いきなり高ランクの依頼をするつもりはない。ゲームでも、簡単なものからコツコツとこなしていくのが俺の流儀である。特に気にすることでもなかったが、笑みを浮かべるルキナから説明を加えられる。ルビーのようなまんまるい眼が、一瞬光ったように感じたのは気のせいだと思いたい。


「そこでこのクラスだよ」

「?」


 いまいち要領を得ないルキナの物言いに俺は首をかしげた。察したリーゼが、桃色の髪をいじりながら補足する。


「ライセンスを持ってる者は一人でも該当するランクに挑戦することができるわ。つまり、私とルキナがライセンスを持っているから、あんたも私たちと同じ依頼をこなす場合は、Sランクまで挑戦することができるってことよ」

「なるほど。そういうことか」


 アドゥルスにクラス分けされた理由の一つというわけだ。この三人でクラス、というかチームみたいなもんだな。むしろまともに魔法を遣えない俺は、二人について行ったほうが安全だとも言える。願ったり叶ったりの状況だった。


「まぁそういうことよ。私が全部説明したかったけど仕方ないわね」


 ゾルバは何故か不服そうな様子だった。依頼書を管理する仕事も請け負っている以上、その辺は完遂したかったのだろうか。妙に視線を感じるのは気のせいにしておこう。


「それで、今日は何を請け負ってくれるわけ? お二人さんなら、討伐とか少し難易度が高いのでお願いしたいのだけど」


 ゾルバによると、ランク分けされた依頼でも、さらに細かく難易度は分けられる。当然のことだが、例えば同じSランクでも、ライセンスを持っている者であれば誰でもこなせるものと、SSランクに近い難易度で資格者でも敬遠されがちな依頼もあると言う。


「これとかどう? なかなか希望者がいないのだけど」

「なになに?」

「農作物を荒らすモンスターをやっつければいいのね」


 ルキナは嬉しそうに渡された依頼書を眺める。リーゼと俺も横から顔を出して確認した。文字自体は異世界のためか共通用語でないらしく、俺に読むことは叶わなかった。けれど、デカデカと載せられた絵面で何となく察する。狂暴そうなトカゲがそこには描かれていた。これがモンスターだろう。というかドラゴンかもしれない。よくよく見れば、大きく伸ばした前足にヒレがついている。いや、これもしかして羽か?


「そう。空の支配者ガルバンよ。最近ミネス地方のほうで出没するようになったのよね。集団でいるみたいだから。しっかりと全部追い払うこと。報酬は20万ジェルよ」


 それは割の良い仕事なんだろうか。とてもじゃないが、写真にあるこのガルバンとかいうモンスターの集団相手なんぞ、命がいくらあっても足りない気がするぞ。俺が後ろ向きに考えているなか、リーゼは燃えていた。


「ガルバン相手なんてやりがいあるじゃない」

「んーまぁそうだね」


 ルキナも同意しているようで、やはりこの二人にとっては何でもないことらしい。でもまぁそれならいいか。


「20万っていいのか?」

「は? 当たり前じゃない。クォルネルが何個食べられると思ってるのよ」


 知らねぇよ。と思うが口にはしまい。とりあえずリーゼの反応を見るに報酬は相当良さそうだ。なら俺はついて行くだけだ。


「じゃあこのガルバンの討伐をお願いするわね」

「はい。お願いします」


 元気よく返事するリーゼ。対してルキナはおとなしいものだった。


「ルキナ。どうしたんだ? この依頼は嫌とかか?」

「う、ううん。そんなことないよ」

「ならいいけど」

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