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3:学生寮とメイドさんⅣ

逃げ場がなくなるほど、炎を出しまくるリーゼには何とか抑えてもらい、命からがら自分の部屋へと逃げ込んだ。


「はぁ、死ぬかと思った」

「すいません。ラルク様」


ルキナもリーゼも着替えるために自分の部屋に入ったようだ。ただチェルシーだけは、俺の部屋に一緒に入ってきてしまう。


「どうしてチェルシーも入ってきたんだ?」

「はい。ラルク様のお部屋のご説明をと思いまして。それに、言い忘れてましたけど私、ラルク様の専属メイドですよ」

「へぇそうなんだ」


さすが異世界。さすが本職のメイドさんだな。専属とかあるなんて凄いな。


「……えぇ! 専属!? マジで!?」

「はい。そうですよ」


嫌そうな顔もせずニッコリと微笑むメイドさんこと、チェルシーちゃん。天使だ。天使はここにいたんだ。眩しい。その可憐な笑顔が眩しくてかなわない。

一瞬不覚にも、専属という最重要ワードを流しそうになってしまった。俺としたことが何たる失態だろう。専属のメイドとか、もう考えられるのは一つだ。エロいことしか思い付かん。異世界転生してマジで良かったよ。こんな可愛いロリメイドとエロいことが出来るなんて。神様ありがとう。そういや異世界転生をしたわりにはまだ会ってないけど。まぁいいや、ありがとう。


「むふふ……」

「あ、もちろんエロいことはないですよ」

「……え、あ、あぁ。で、ですよねぇ……」


そ、そうなのか。やはり神はいなかったのか。がっくしと項垂れる俺。せっかく異世界転生したのに。勇者にも魔王にもなれず、エロいことも出来ないのか。リア充になれるかと思ったのに。

いや、でも待てよ。専属メイドであることには変わらない。生前の俺にメイドはいたか。答えはノーだ。ということは、事故のふりして覗いてしまったり、お触りしても大丈夫ではなかろうか。


「あとちなみに、私はリーゼちゃんやルキナちゃんのメイドでもあるので、如何わしいことしたら言い付けますよ?」

「ははは、気をつけるから大丈夫だよ」


可愛い笑顔で言われた。それもはや専属じゃねぇ。期待しちゃった分泣けてきたわ。ついさっき殺されるかと思ったとこだぞ。やらかして告げ口なんかされた日には、俺に明日は絶対来ない。しかも焼死か感電死と死因まで決まってしまっている。また俺の死ぬ要素増えたよ。くそ〜。


「どうかしましたか?」

「ううん。何でもない。何でもないデス。持ち上げられて叩き落されただけだから」


まぁでも、メイドさんと仲良くできるだけでも良いか。もしかしたら、お背中流しますとかあるかもしれないし。


「何かよく分かんないですけど、お部屋の説明しときますね」

「うん」


俺に与えられた部屋は中々豪華だった。ちょっと良いホテルの一室という感じで、大きなベッドが真ん中にある。他には着替えが入っているであろう両開きのタンスに本棚、雰囲気のある机と椅子があった。

奥にも部屋があるらしく、扉を開けると洗面台、風呂、トイレに続くと教えてもらった。ちなみにちゃんと全部別だった。


「何か凄いな。この部屋」


完全な洋風には違いないのだが、どうも慣れない雰囲気がある。全体的な装飾のせいだろうか。煌びやかすぎて落ち着かない気もする。洗面台一つとっても、ピカピカなのは当たり前で、水道の捻るところとか、鏡の縁が何で金なんだよ。と突っ込みたい。


「すぐに慣れますよ」

「そうかなぁ。ってあれ?」


ここで俺は重要なことに気付く。鏡の前に立ったわけだが、目の前のこいつは誰だ?

まず小顔。無駄な肉はなく綺麗な肌をしている。ぱっちりした綺麗な眼。色素が薄いのか、髪は黒ではなく茶色だった。ちょっとくせ毛が気になるが、髪質も以前に比べれば良好だ。単に若返ったとかではなく、明らかにブサ……いや、生前イケメンではなかった俺とは別人で、とんだイケメン野郎である。


「うおおおおぉぉぉ!?」

「っ……」

「一瞬誰だとか思ったよ。何だ何だ。俺凄えイケメンになってんじゃん。かっこいいな。モテそうだな。よっしゃあー。異世界てん……てん……」


まさかイケメンにシフトチェンジしてるとは思ってなかった。ハイテンションになった俺だが、気付けばチェルシーがめっちゃ引いてた。距離的にも。


「チェ、チェルシー……?」

「いえ、何でもないです。ラルク様はその、あれですね。ナルシストだったんですね。大丈夫です。私引いてませんから」


ぐさっ!

精一杯笑顔を振りまくチェルシー。なのに、さっきまで近くにいてくれたのに、今は部屋を跨いで五メートルくらいも離れてる。心が痛い。


「ち、違うんだよ」

「だ、大丈夫です。私はメイドですから、たとえラルク様がナルシストであっても、気にしてませんから」

「いやいや、めっちゃ気にしてるし。俺ナルシストじゃないし。むしろ俺自分卑下するタイプだよ」


このままではメイドさんであるチェルシーに嫌われてしまう。焦った俺はチェルシーと話をしようと近付く。が、チェルシーも同じように笑顔のまま後退りする。


「ちょ、待って。本当に違うから」

「だ、大丈夫ですよ」


全然大丈夫じゃない。メイドさんとむふふしたいのに、これじゃああんまりだ。何とか説得を試みようとするけど、ベッドを中心にぐるぐる回るだけだ。


「と、とりあえず止まって」

「ら、ラルク様が止まってください」

「だってそれだと……あ」


もう少しで追い付きそうだったところで俺はつまづいてしまう。俺はそのまま転倒してしまった。

くそっ。倒れてる場合じゃない。早く誤解を解かないと。

その時、妙に柔らかい感触と甘ったるい匂いがした。俺は一瞬で一つの可能性を察知して青くなる。


「あ、ちがっ、ごめ……」


やばい。やばい。やばい。ラブコメみたいに俺は、転倒した拍子にチェルシーを押し倒してしまったらしい。背後から覆いかぶさったような感じだが、転んだときチェルシーは横になってしまったらしく、非常にドキドキ……あ、いや非常にまずい態勢である。


「き、……」

「ま、待って。しー」


チェルシーは当然ながら声を上げようとした。やばい。隣の部屋にはリーゼとルキナがいるんだぞ。二人には絶対知られないようにしなければ。

咄嗟に俺はチェルシーの口を塞いだ。少々涙目になっているのが可愛くてそそら……あ、いや可哀想になってきたが、俺の生き死にが掛かっている。


「ごめん。わざとじゃないんだ。何もしないから……す、すぐに退くから声は出さないで」


分かってくれたようで、チェルシーはこくこくと頷く。良かった。とりあえずに死なずに済んだ。


「ねぇ。さっきから五月蝿いけど何やって……」

「……あ」


いきなりリーゼが扉を開けて部屋に入ってきちゃった。ま、待て。何てタイミングで入ってくるんだよ。これじゃあまるで、俺がチェルシーを押し倒して声を出さないように口を塞いだみたいじゃないか。

あ、半分当たってたよ。


「あ、あんた。一体何やって……」

「ち、違うんだ。これはよくラブコメで使われる手法であって、実は俺は悪くなくてだな」

「問答無用っ!」

「ぶばらっ」

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