006 『RPG』
『RPG』
「ロールプレイングゲームってあるじゃない、あれって納得いかないのよね」
「なんですか、藪から棒に。納得いかないって、どこがですか?」
先輩の言動が唐突なのはいつものことだけど、今回はまた特に意味が分からない。
「全部よ、全部。ああいうのって、勇者が魔王を倒して世界が平和になるのが基本でしょう」
「王道だとそうですね。最近だと、魔王どころか神だったり、色々あるみたいですけど」
だけど口ぶりからして先輩が言ってるのは、俗に言うドラ○エ的な王道RPGのことだろう。
「現実的にああいう世界があると考えてみれば、いたるところにおかしなところがあるのよ」
「例えばどんなところですか?」
「まず敵がどんどん強くなったりするのがおかしいわ。魔王が本気で世界を滅ぼすつもりなら各個撃破で一つずつ国を潰すでしょうし、牽制が目的なら満遍なく戦力をさく筈よ」
確かに、言われてみればおかしいかもしれない。けど、序盤に弱い敵がいるおかげでレベル上げができるんだし、序盤から倒せないような敵がくるとどうにもならないだろう。
「人間側も、勇者とお供数人じゃなく、もっと大勢、他国と連合軍を組織して挑むべきだわ」
「けど、そこは外交問題とか、自国の防衛で仕方ないんじゃないですか?」
「それならそれでやりようはあると思うけど、まぁいいわ。ホントは勇者の行動とか、もっと色々言いたいところはあるのだけれど、一番は結末よ、結末」
「結末って、何か問題あるんですか? 魔王が倒されたら万々歳だと思いますけど」
魔王がいなくなれば世界は平和になるのは当然じゃないのだろうか。
「よく考えてみなさい。魔王のおかげで人間同士が争ってなかったのに、それが消えたら絶対人間同士で戦争が起こるに決まっているでしょう。歴史的に考えても、それは確定だと思うわ」
「あぁ、なるほど」
「それに魔王を倒した勇者一行だけど、つまりは魔王以上の戦力よ。そんな危険な存在、放って置けるはずないでしょう。私が王なら歓迎するふりをして暗殺や毒殺で始末するわ」
「納得はできますけど、生々しすぎますね……」
「つまり、私が言いたいのはRPGで世界を救って一見ハッピーエンドだとしても、その後そこから突き落とされるほどのバッドエンドが待っているってことなのよ」
嫌過ぎる結論だ。現実的だし斬新だけど、少なくとも僕はそんなゲームやりたくない。
「そこで、私が作ったのがこれよ。本当のRPGがどんなものかよくわかるわ」
そう言って先輩は一枚のディスクを取り出した。多分、中身は自作の現実基準RPGだろう。
「はぁ、分かりました、やればいいんですね……」
結局僕は先輩からディスクを受け取り、家に帰って律儀にプレイするのだった。
ちなみにゲームは開始数分で詰んだ。最初のマップに勝てる敵が出ないものをどうしろと?
今日の更新。
しかしメインで書いてる人外ものはあまり進められない、というか仕事忙しい悲しさ。
休日にがんばらねば……。