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041 『推測』

『推測』


 二月の末日。丁度部活のある曜日だったことに感謝しつつ、僕は先輩に語りかける。


「分かったんです、遂に。あの時、先輩が言っていた言葉の意味が」


「私が言った言葉の意味? 一体、何のことかしら?」


「僕の誕生日の時のことですよ。あの時、誕生日を聞いたら、『再来年』って答えましたよね?」


 あの時は、適当にはぐらかされたのだと思った。けど、ようやくその意味に気づけたのだ。


「えぇ、確かにそう言ったわね。けれど、それがどうかしたのかしら?」


「だから、その言葉の意味が、先輩の誕生日が分かったってことですよ」


 本来、一年一回は必ず来る誕生日。けれど、それに対し『再来年』と答える理由はただ一つ。


「先輩の誕生日は閏年、つまりは二月二十九日ってことです。今年は閏年じゃなく二十八日しかないので一日早くなっちゃいますが、誕生日おめでとうございます」


 そう言って、贈り物の包みを渡そうとしたところで、先輩がくすりと笑った。


「なるほど、面白い考えだけれど、私がいつ閏年生まれだと言ったのかしら?」


「えっ? そっ、それは、口に出しては言ってないですけど……」


 もしかして、全て僕の勘違いで、実際は先輩の誕生日は全く違う日だったのか? だとしたら、訳知り顔で『分かったんです』なんて推論を語った僕は、どれだけ恥ずかしいことを……。


「ふふっ、冗談よ。君の推測どおり、私の誕生日は閏年の二月二十九日だから、安心しなさい」


「ちょっと、本気で焦りましたよ!? 冗談にしても酷すぎますって!?」


「ごめんなさい。でも、もし否定したら君がどう反応をするか、試してみたくなったのよ」


 なんて悪趣味な……! そういう茶目っ気はもっと時と場所を選んでやってもらいたかった。


「はぁ、まぁそれじゃあ、改めましてもう一度。誕生日おめでとうございます、先輩」


「えぇ、ありがとう。まさか、祝ってもらえるなんて思ってなかったから、本当に嬉しいわ」


 今度こそ、先輩に包みを渡す。今度はちゃんと、からかわれずに受け取ってもらえた。


「僕のときのお返しですよ。サプライズでやられたからには、サプライズで返したいですから」


「もう、そんなに気を使わなくてもいいのに。折角だし、ここで開けてもいいかしら?」


「勿論です。あー、でも、僕の感覚で選んだので、先輩の好みに合うかは分かりませんけど」


「いいのよ、そんなの。君が選んでくれただけで、十分嬉しいもの。これは、わぁ……」


「誕生日の贈り物で、これは安直かもしれませんが、下手なもの贈るよりはと思いまして」


 ――僕が贈ったのは二月の誕生石であるアメジストのペンダント。


 どこか神秘的な印象を受ける紫の輝きも含めて、先輩に似合うと思ったのだ。


「ううん、とても綺麗だし嬉しいわ。ありがとう、大切にさせてもらうわね」


 そう言うと先輩は、早速ペンダントを着けてくれる。どうやら気に入ってもらえたらしい。


 こうして、色々焦りはしたけれど先輩の誕生祝いは何とか成功できたのだった。


更新忘れによって珍しく連続投稿。

二話めです。


内容としては、先輩の誕生日。

32話の複線回収、というか答え合わせ。


予想できた人は何人ぐらいいたのでしょうかね?


そして、そろそろ色々な伏線の回収な、終盤に入りそうです。

具体的には後10話で綺麗に纏まる予定です。


それでは、次回もよろしくお願いいたします。

……明日のぶんはもういまのうちに予約投稿しておきます。

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