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037 『旅』

『旅』


 今日は週一回のカテイ部の活動日、――なんだけど、僕は部室には行かず家に帰った。別にサボりというわけではない。単に部室に行っても入れない、というか行く意味がないのだ。


「流石に、部活のために修学旅行をサボってなんて、言うわけにもいかないし」


 そう、先輩達は修学旅行なのである。そんなわけで、部室に行ったところで誰もいないのだ。


「それにしても、この季節に北海道ってどうなんだろう?」


 先輩達の行き先は北海道。冬のなかでも特に寒い一月中旬、わざわざ新学期も始まりたてのこの時期に、最北端の地域に旅行しないでもと思う。その分、色々旬なのかもしれないけれど。


 ――なんてことを部屋で考えていると、携帯が音を響かせ着信を報せてきた。先輩からだ。


「こんばんは、先輩。どうしたんです? 今って旅行中じゃなかったんですか?」


『どうしたって、今日は部の活動日じゃない。それと旅行中でも電話ぐらいはできるわよ』


「活動日って言っても、流石に今日は部活なんてできないじゃないですか」


『できるわよ、部活はちゃんと。というか、現に今やってるでしょう?』


「なるほど、電話部活ということですか。わざわざそんなことしなくても……」


『こっちにも色々事情があるのよ。女性について余計な詮索するのは、マナー違反よ』


「あぁ……。先輩も、色々大変なんですね。あの、僕でよかったらいつでも相談乗りますから」


 そう、考えれば分かることだ。学校最後の思い出作りに、和気藹々と巡る修学旅行。そんな中、誰かと一緒というわけでもなく一人電話をかけて話す時間があるということは……。


『……なんだか、とても失礼な勘違いをされている気がするわ』


「いえいえ、そんなことありませんって。それで、部活ということでしたら何を話します?」


『まぁいいわ。そうね、折角旅行に来ているのだし、それらしい話をしましょうか』


「あっ、就学旅行って中等部も一緒なんですよね。うちの妹はちゃんとしてましたか?」


 我が家にいない妹に思い当たる。うちの学校の修学旅行では、自立性や社交性を培うという名目で高等部と中等部で一緒に行い、高等部の生徒に中等部の生徒の引率をさせるのだ。


『君の妹さんの顔、私は見たことないのだけれど。まぁ苗字が違うし私の班ではないわよ』


「あぁそういえば先輩に妹の話をしたことはあっても、紹介をしたことはなかったですね」


『じゃあ、今度は私からの質問よ。もし君が、旅行先ではぐれてしまったとした

らどうする?』


「旅行先ではぐれる……? そうですね、とりあえず地図を見たり人に道を聞くとか。はぐれた相手に連絡をする、もし相手に連絡できないなら他の知り合いにかけてみるとか。……あ」


 そこまで言って、旅先で一人の理由が、友達が少ない以外にもう一つあることに思い至る。


「あのー、先輩、もしかしてはぐれ……」


『あっ、あら、ごめんなさい、なんだか電波が突然悪くなってきたみたい』


 そんな棒読みセリフを残し電話が切れた。なんというか、こういうときは分かりやすい人だ。


予約を入れ忘れ(ry


そんなわけで修学旅行なお話。

地味に先輩はドジ属性だったり。


あと、何処がかはあえて言いませんが何気に伏線回だったりします。


それでは、次回もよろしくお願いいたします。

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