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022 『ヒーロー』

『ヒーロー』


「特撮ヒーローって、どうしていつも怪人は一人しか来ないんでしょうか?」


 単身でヒーローを追い詰める怪人を複数投入すれば、簡単に勝てたんじゃないだろうか?


「いきなりな質問ね。まぁ夏休みに再放送でやってたのを見たからでしょうけど」


 ご明察である。夏休み、数十年前製作のバイクに乗る特撮の初代が再放送されていたのだ。


「で、どうなんでしょう? 正直、なんで馬鹿正直に一体ずつ怪人を出すんでしょう?」


「それは勿論、製作側の都合でしょう。予算とか脚本とかのね」


 見も蓋も無い。確かにそうかもしれないが、僕が聞きたいのはそういうのではないのだ。


「ふふっ、冗談よ。そうね、もしその設定の中で考えるなら、二つほど思いつくかしら」


「二つもですか。正直、僕は疑問になるだけで、理由の方は全然浮かばなかったんですが」


「まず考えられるのは、怪人の性格の問題ね。複数いても、いがみあったらマイナスでしょう」


「あぁ連携できないどころか、仲間割れしたら意味無いですもんね」


 確かに怪人は戦闘員より強いし、それぞれ自分の能力に絶対の自信を持っている。そんな怪人が複数いても、我が強すぎて協力させるのはかなり難しそうだ。


「そしてもう一つ、そもそも勝つつもりが無い、という可能性よ」


「勝つつもりが無い? いや、ヒーローと戦うのも、世界征服に邪魔だからじゃないんですか」


 勝つつもりが無いのなら、なんのために新しい怪人を用意したり、作戦を考えているのか。


「こう考えてみたらどう? 全てがマッチポンプ、誰かに見せるための自作自演だとしたら?」


「自作自演って、どことどこが協力するっていうんです? そもそも何のために?」


「勿論、正義と悪がよ。幹部同士で裏取引をして、ギリギリで負けるように画策するの」


「それは出来るかもしれませんが、どこにメリットがあるんですか?」


「色々よ。例えば正義側は働きを認めさせて国や市民の支援が受けられ、組織はその代わりある程度の行為を見逃されるといった風にね。お互い利益を得るために形は戦う必要があるのよ」


「それでマッチポンプですか。それ、組織はよくても一般人には堪ったものじゃないですね」


 争いで被害を受けるのは一般人、両組織の利益だけを考えるなら特に関係ない。寧ろ組織からすれば、片方がなくなり争いが終わってしまえば、利益がなくなってしまうということか。


「そう考えると変身前や組織自体が狙われることが少ないのも説明が付くわ。悪の組織が潰されるのは、正義側が利用価値なしと切り捨てたか、ヒーローの暴走と考えればいいのだし」


「色々嫌になりますね。やっぱりああいうのは、純粋に童心で見るのがいいんですね……」


 幼い子供ならば、ヒーローは正義で格好良いというだけで、疑問なんか抱かないだろう。


「あら、けどさっき話した内容は、私が小学生のときに考えたことなんだけれど?」


「どれだけひねくれた子供だったんですか……」


 やはり先輩は、昔から今のような性格だったということか。


ヒーローについての元も子もないお話。

けれど、よく考えてみると、そう考えるのが一番自然に思えたりもするという。


個人的には結構気に入ってたりする話。

無意味な思考実験、無駄話がメインですので。


それでは、次回もよろしくお願いいたします。

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