016 『報告』
『報告』
「ねぇ、君はこの部のことどう思う?」
なんとか期末も乗り切り、終業式も終えた一学期最後の今日。部室に顔を出すと、先輩にこんなことを聞かれた。
「どう思う、ってそりゃあ特徴的な部活だなぁ、とは思いますけど」
『カテイ部』という名前もだし、その内容もあまり見かけるものじゃないだろう。
「そう意味じゃなくて、一学期の間この部で過ごしてきた感想が聞きたいの」
「あぁそういう意味でしたか。それなら勿論、楽しかったって答えますよ」
独特な雰囲気だけど、先輩は美人だし、話しているのも楽しい。毎週部活の日を楽しみにするぐらいには、僕はこの部のことを気に入ってる。
「そう、それはよかったわ。けど、そんな君に残念な報告があるの」
「残念な報告?」
「実は、このカテイ部なんだけど、――このままじゃ今学期で廃部するわ」
「はっ!? えっ、廃部って、マジですか……!?」
予想外の報告だ。部員が少ないとは感じてたけれど、一学期で廃部なんて思いもしなかった。
「えぇ、冗談ではなく本当のことよ、残念なことにね」
「そんな……。じゃあ、もう二学期からは活動もなしになるんですか……?」
「そうなるわね。けど、手が無いって言うことじゃないわ。私はさっき、『このままだと今学期で廃部』と言ったでしょ。君が協力さえしてくれれば、なんとか部は存続できるのよ」
「何をすればいいんですか、僕が出来ることだったら、何だってやりますよ!」
この部を守るためなら、僕に出来ることはどんなことでもやろうと思う。いつの間にか、僕にとってこの部は、先輩との時間は、大切なものになっていた。
「ありがとう、そう言ってもらえると嬉しいわ。それで、君に頼みたいことなんだけれど、夏休みに学校に来てあることに参加して欲しいのよ」
「あること? 別に夏休みは特に予定も無いんで大丈夫ですけど、何をすればいいんですか?」
てっきり部員数が原因だと思っていたのだが違うらしい。一体何をすればいいのだろう?
「これに参加して欲しいの。それさえしてくれれば、この部が潰れるなんてこともないわ」
「……夏季総合ボランティア活動?」
先輩から渡された用紙、そこにはそう書いてあった。
「運動系みたいに大会へ参加しない部は、毎年夏はこれに参加しないと二学期から活動できなくなるの。君が出てくれてよかったわ。あぁ、申し込みはもう済んでるから心配要らないわよ」
「なに勝手にやってるんですか。まぁもう何でもやるといいましたし、いいですけど……」
脱力しつつも部が潰れないのならいいかと思い、理不尽な申し出を受け入れる僕だった。
なんだかんだで部活は大事というお話。
報告、連絡、相談は大切ですね。
そんなこんなで読んでくださりありがとうございました。
次回もどうかよろしくお願いいたします。