010 『言葉取り』
『言葉取り』
「利用できるのは言葉だけで、下校時刻まで。でも、どちらかが負けたらその時点で終了よ」
「よしきた。ただし、そう簡単には負けませんからね」
「ねぇ、その自信は何処からくるのかしら? 楽には勝たせてあげないわよ」
「……よく分かってますよ、そんなこと。とにかく勝てばいいんです、勝てば……!」
「罰ゲームをうけて君がどうなるか。考えるだけで心躍るわ」
「悪いけど、それはこっちの台詞です。素敵な恰好を披露するのは先輩のほうです」
「素敵な恰好、ね。ねぇ、君は私にいったいどんな恰好させたい?」
「いや、それはまだ決めてませんけど。どうするかは、勝ってから考えますよ。欲をだして、負けるのは嫌ですし」
「消極的。君はさっきあんなに自信満々なことを言ったくせに、拍子抜けだわ。私はもう決めてあるっていうのに。似合うと思うわ、絶対に君ならきっと」
「と、言われましても。もし、僕が負けたらどんなのを着せるつもりなんですか……?」
「可愛いもの、とだけは言っておくわ。私としては、それを見た君の反応も楽しみだから、くわしくは教えないけれど」
「どういうものか、なんかもう嫌な予想が出来ました……」
「楽しみだわ、君があれを着てどうなるか。可愛い晴れ姿は、写真にしっかり記録してあげる」
「ルールでそんなの決めてませんよ。よって、写真は禁止、罰ゲームは衣装を着させるだけで」
「でも、もし私が負けたら、君にも好きなだけ写真を撮らせてあげるけど? どうかしら、さっき君が言ったとおり、勝てばいいのよ、勝てば自分に被害は何も無いんだし」
「……仕方ない。いいですよ、撮影の追加、認めようじゃないですか。勘違いしないでください、決して写真に釣られたんじゃなくて、勝てばいいって割り切っただけですからね!」
「ねぇ、ところでこのままじゃ下校時刻までに勝負がつきそうにないし、いっそじゃんけんで決めてみない? 今すぐに決まるし、確立は半々、君にとっても悪い話じゃないでしょう?」
「受けて立ちますよ、こうなったらもう最後まで!」
「では、いくわよ、最初はグー……」
「ジャンケンポ」(先輩)「ジャンケンポン!」(僕)
「……ん?」
「『ん』がついたからこの会話しりとり勝負は君の負けね、お疲れ様」
「負けって、そんな、ずるいでしょ、いくらなんでも!?」
「もう、見苦しいわよ、そういう態度は。私は最初の取り決めどおり、言葉で君を誘導しただけ。結局のところ、うまく相手を嵌めたほうが勝つのよ、こういったゲームは」
「分かりはしましたけど、なんかもう色々と理不尽すぎません……?」
今日の分の更新。
三時の更新は、昨日の分ですので。
内容についてですが、無意味な仕込みネタです。
最後行くまでに気づいた人がいたらある意味驚きですが、何気に会話が全編しりとりになってたりします。
ただ、それをやりたかっただけとも言います。w
それでは、読んでいただきありがとうございました。
次回もよろしくお願いいたします。