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プロローグ・事の発端(例日から外れた0日目)

 退屈という檻は、認識をちょっとズラすだけで、その姿を視認できる奇妙な奴で、迷惑な奴だと思った。


自宅ほどのオアシスは無く、人に囲まれる社会生活の檻ほど、ヒトに囲まれる動物園の檻こそ、劣悪にたりる環境だという思想を持つなんて、アメーバのような単細胞みたいに生きていたぼくが、今日初めて、自宅内で退屈を感じた。


退屈を感じる――?


頻繁では、あったはずだ。


友人も無く――、特徴も無く――、学力も無い――、趣味も無い――、そんなぼくなら退屈を、隣人にしていたはずなのだ。むしろ頻繁に挨拶を交わす関係は、友情や恋愛感情に発展してもおかしくないレベルに。


そう思う度、やはり僕は昨日の出来事をストレスにしているのだと思う。


見えない隣人――。

 見て見ぬふりをしていた隣人――。


その存在を認識してしまうほどのストレス。

 心に、吊るしたおもりの様なストレス。


自宅の中――余りにもするべき事に迷ったぼくは、一先ず睡眠をとった。そして、二時間後に起床する。母親の夕飯を食えと命令が下ったのだ。皿を綺麗にしてもらわないと、困るらしい。


寝ぼけた意識で、食卓に向かうと、テレビはクレヨンしんちゃんを放送していた。面白かった。やはり、ドラえもんと違い、オチはキチンと親が子供の悪行を叱るからこそ、クレヨンしんちゃんは好きだ。


八時になると、気力が一気に削られる。


金曜日――、休日が始まってもいないのにここまで希望の無い日本人は、ぼくくらいだろうと思った。

弟がyutubeで動画を視聴していた。僕も隣に座り、一緒に楽しむ。しかしすぐに、退屈はやってくる。弟は暇に耐えきれず、パソコンから離れる。ぼくは、孤独。


そこで、閃いた。

そうだ、小説でも書くか。


といっても、ぼくは今、創作意欲に欠けていた。――創作自体は、別に不慣れではない。このサイトで、少しだけ連載小説を執筆していたこともあるし、短編小説は日々に二作投稿するくらい気力にあふれていた時期もある。他人にそれを評価してもらう経験は反比例して、スズメの涙なのだけれど。


あ――そうだ、とぼくは再び、閃く。

今のぼくを主人公にするのはどうだろうか?


冒頭プロローグから絶望を感じている物語の主人公は、少なくないはずだ。そして、ぼくの人生経験上、絶望と言うのは自身を道化にする。ヒトの不幸は、蜜の味。他人の幸せこそ、水の味。バラエティー番組に頻出する、体を張った芸人が売れている理由こそ――それを証明する。いやむしろ――名前で売れていない芸人が、体を張るという儀式こそ、なのだろうか? まぁ、どうだっていい。


こんなに薄幸なぼくはヒトから笑われるのではないか?

 こんなに不幸なぼくは、人が笑ってくれるのではないだろうか?


そうして、ぼくはキーボードを叩いた。

長らく触っていないせいか、ミスが多い。


そうだなぁ、この経緯をプロローグにして構成だとかは、後に考えよう。


と言う訳で、次回があるかもわからないこの物語は――。

始まりから、雲行きが怪しい。

 終わりは、見えない。

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