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第九話 帰るとき
第九話 帰るとき
わたしがはっと我にかえったとき、わたしは人ごみの中でボーッと立っていた。
「あぁ、ライナ。ここにいたのねー。まったく心配したんだから、どうしちゃったのよ。」
玲ちゃんがわたしを見つけて言った。
「えぇ?どういうこと?」
わたしは不思議に思い、玲ちゃんに聞き返した。
「えっ?ま、まさか、ここに来るまでのこと、覚えてないの?」
私はふと気がついた。わたしには建物に入ってからの記憶が1つも残っていない。頭をひねって思い出そうとしたが、きれいさっぱり忘れていた。
「う、うん。そうみたい…。」
草組のみんなも来ていた。
「そうなんですよ。一部の人しか知らない情報なのですが…、気がついた時には、魔法をかけている間のことをすっかり忘れてしまうようなのです。月野さんが選ばれたとき、まさかとは思ったのですが…。これは魔法に違いありません。月野さんもこれにかけられてしまいました…。」
と、立ちつくしている間に時は流れていき─
「先生、もう五時になります。みんな、祭りのかたづけを始めていますよ。帰ったほうがいいんじゃないかですか。」
この発言は、やっぱり葵だ。冷静すぎる。
「あっ。そうですね。魔法祭も無事に終わりました。帰りましょうか。」
草組の十人はほうきに乗った。
ほうきに乗った十人のすがたが、空に消えていった。
続く…。




