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魔女のライナ  作者: あら あらさん
第三部 守り石の使い手とライナの使命
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第四十二話 地下道の奥に ~前半~

第四十二話 地下道の奥に ~前半~


コンコンコン…


薄暗い地下道に私の足音がこだます。


あの時、アメジストと出会ったこの地下道。なつかしい気持ちと苦い思い出が一緒になってこみあげてくる。


こんなことを考えていても、私にはこの地下道の異変が感じられた。


ー扉が、一つも無いー


そう、前ここに来たときにはあった、無数の扉が一つも無かった。


私はこの地下道に違和感を覚え、これ以上先に進むのを諦めようとしたがママの言った言葉を思いだして、さらに奥へと地下道を進んで行った。




歩いているうちに地下道はさらに薄暗く、狭くなっていった。


この前ウルと出会ったあの檻はここら辺かなあ…。


どこかからクリスタルが転がってくるかも…と言うわずかな期待をもってしゃがみ込むと、キラキラッと光るものがあった。


私は光る物体にぐっと顔を近づけた。


残念なことに、それはクリスタルではなかったが、おそらく何かガラスのようなものの破片だろう。あちこちにその破片が散らばっていた。


ただの破片だということが分かって、その場を立ち去ろうとしたとき、私の体は異変を察知した。


ー破片が、赤く点滅しているー


普通の魔女が見ればほんのり赤、またはじっくり見ると若干赤に見える、程度だろう。


しかし、ライナの目は他人より優れている。視力はもちろん、動体視力もいい。


破片が赤く点滅しているのを、ライナはいち早く見つけた。


破片を一つ手に取ると、それまで赤く点滅していたのが白い光を放った。


私は目を開けていることができなくなった。




光が収まった気がして目をそっと開けると、私の手の上には、澄んだクリスタルがあった。


私、守り石の使い手じゃないのに…。


本当の守り石の使い手じゃなかったことで、ライナはひどくショックを受けていた。なるべく考えないことにしようと心に誓ったのに、現実はいつも思い出せと言うようにふりかかってくる。


私は絶望感を押し殺して前へと進んだ。


突然、薄暗かった地下道が急に明るさを増してきた。


それとともに、女の子の声が聞こえてきた。


「ちょっと!ここから出してよ!!」


私は足がすくんだ。


「私のクリスタルはどこ!?クリスタルを返して!」


一歩一歩進む度に、その声は大きくなっていく。


……クリスタルを、返して?


私ははっとした。


もしかしたら、奥にウルが!?


そう思って、光の中に飛び込んだ。




「お探しのクリスタルなら、ここに。」


「ライナ…!」


そうウルが言った。


ウルの捕らえられている檻の近くにいた女が振り向いた。


その女は…


「夜空先生…!」


「月野さん…!」



続く…。

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