第三十七話 目覚めた力
第三十七話 目覚めた力
シャラリーン♪ シャラリーン♪
私のツーシンが鳴った。
「《カナ》からメールが届きました。」
「ライナちゃん、大事な話があるの。たしかライナちゃんの家に近かった、魔法広場に来て。カナ」
「大事な話…!?」
私はつぶやいた。
私は、あわてて家を出て行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ライナちゃん…、ひさしぶり…。」
カナちゃんが少し笑って言った。しかし、その瞳はいつものカナちゃんとは違う、不安や絶望の色をしていた。
「来てくれてありがとう。急だったのに。」
カナちゃんがぼそっと言った。
「どうしたの?大事な話って。」
「ごめんなさい。話したいことはたくさんあるんだけど、全部聞いてくれる?」
「うん、聞くよ。」
「ありがとう。ねぇ、今、気づいたことない?」
「気づいたこと…?」
「そう。」
「えっ…?あぁっ!!なんで、ここに!?」
「そうなの。私、普通の地球人のはずだった。でも、最近、深夜十二時になると、寝ていても起きてしまうくらい眩しい光を、エメラルドが発するのよ。それに、前に挑戦したけどあきらめた魔法文字の本を開いたら、自分でもびっくりするぐらいスラスラと読めるの!!そして…、昨日のこと。学校帰りにあぁ、ライナちゃんみたいに魔法を使って家まで一瞬で帰れたらな…。ってふと思ったら、その瞬間目の前が真っ白になって…、気づいたら、私は家の前にいたのよ。」
「えっ…、もしかして。」
「そう。私、魔女になっちゃったらしいのよ!!」
「そうか…。だからこの魔法星まで来れたんだね。」
「魔法文字の本、私たくさん読んだわ。その中に、『magic-legend -emerald-』っていうのがあったの。それにはね、エメラルドの使い手のことが、たくさん書いてあった。えっと…。」
「緑多き 地に住まう エメラルドの 真の使い手 奥に秘めたる その力 ある術により いまだに目覚めず エメラルドの 真の使い手 魔法をもつ 使い手の その眩しい アメジスト 紫色に 光しとき 眠る力 じょじょに目覚める エメラルドは光り 思いは現実に 読まぬ古書を 今に開けば 驚くほどに 読める文字」
「ーって書いてあったの。私の境遇と似てる…、っていうか同じでしょ?私、星型のエメラルドを持っていたから、前から自分の身に何か不思議なことが起こるかもしれないって、思ってた。でも、私には何が起こったのか、さっぱり分からなかったわ。それで、魔法文字の本をたくさん読んでたら、ようやく分かったの。私、ライナちゃんと同じ、守り石の使い手なの。そう、エメラルドの真の使い手よ。私、ライナちゃんと出会う運命に生まれて、眠っていた魔女としての力がライナちゃんのおかげで、今、目覚めたのよ。」
私ははっとした。
カナちゃんの魔法文字が少し読める力は不思議だとは思っていたが、まさか、私と同じ魔女であり、守り石の使い手だとは…。
「ふふ、運命っていうものはおもしろいわね。」
カナちゃんがあきらめたように笑った。
でも私は、笑うことができなかった。
続く…。




